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私と恋人。

囚われて、捕えて。☆

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店員さんの顔が歪む。好きな人に恋人が出来た時の女の顔は、こんなにも怖いのか。般若面のような恐ろしい表情をした彼女をジャックさんは宥めるが、事態は変わらない。

今にも殺されてしまいそうな雰囲気に、ゴクリと息を飲んだ。

あぁ、私死んじゃうのかなぁ、、一度死んだら、二度も三度も変わらないってか。もうちょっとママと一緒に居たかったな。恋人が出来たのも、好きになったのも、、初めてだったのに。

そんな事を思っていると、心臓が段々苦しくなってきた。鼓動がどくんどくんと大きくなって苦しいのに、身体は金縛りにあったように動かない。

震えを抑えるように身体を抱え込むと、その上に手が重ねられ、視界が温かいもので遮られた。

「ジャック、私達帰るわね。その子、ちゃんと教育してあげなさい。」

「ママ、うちの店員が失礼な事をして申し訳ありません。ユーリちゃん、嫌な思いさせてごめんな??」

「悪いけど、次は無いわよ。」

「はは、、すんません。」


------------


ママに手に導かれてお店を出た。
深呼吸をしようとすると、呼吸の仕方を忘れてしまったかのような、ひゅっと息の音がした。久しぶりに吸い込んだ空気は、味はしないはずなのにほろ苦い。
視界が開かれ、眩しい光が入り込んできた後、ママと目が合う。その距離が思っていた以上に近くて、別の意味で息が詰まる。

「ユーリちゃん、大丈夫??」

「うん。でも、息ができなくて、怖くて、、あれは何だったの??」

「簡単に言うと威嚇よね。それでユーリちゃんは怯んじゃったってわけ。」


なるほど、、、。ママが魔法を使えるのだから、それぐらいケットシーの方々が出来ても、不思議じゃない。
それに比べて、私ったら、、異世界に来た割には何も能力を感じない。強いて言うなら、性欲が増した。エロくなった。ただ変態が加速しただけだ。


「私も魔法使えたらなぁ、、」

「ユーリちゃんも魔法使ってみたいの?」

「そりゃあ、、使えたらかっこいいじゃん。」

「使えたら誰でもかっこいいの?」


「え」


そんな事を言われるなんて思わなくて、びっくりしていると、唇を塞がれた。触れるだけの優しいキスは、私の中に芽生えた恐怖を摘み取る。
それから、むぎゅっとママの腕の中に閉じ込められて、ここが外だと言う羞恥心が込み上げてきた。


「マ、ママ、、ここ、外だよ??」


「外じゃなきゃいいのかしら?」


視界がぐるりと捻れたかと思えば、景色は良く知る玄関に変わっていた。瞬間移動したのだろうか、、、魔法って色んな事が出来るんだなぁと感心する。4次元の道具なんて必要ともしないこの世界は、異世界の他ないだろう。
出来れば、私も魔法を使ってみたかった。


「ほら、家よ?」

「え、あぁ、、そ、そうだね。」

「もっとしていいんでしょう?」

「え、ちがっ」


優しく、壁に押さえ込まれてしまうと、言葉はもう出ない。ただ真剣な表情をしたママに惚れていくばかりだ。

太陽の光が少しだけ差し込んだ玄関は、あまり明るくはない。だけども、夜ほど暗くもないこの空間では、お互いの表情を誤魔化す術もない。
背中で感じるひんやりと冷たい壁とは反対に、私の身体はママの視線に火照っていく。熱くて、冷たくて、生温い体温におかしくなりそうだ。


「アナタは誰にも奪わせない。私が守るわ」


その言葉の意味がわからず黙り込んでいると、顎に手を添えられてママの方へ顔を向けられる。またキスされちゃうのかな、なんて淡い期待を抱いた自分が恥ずかしい。
欲しいの?なんてイケメンに言われてしまえば、「はい」か「YES」しか答える選択肢は無いでしょ。

「俺もユーリちゃんが欲しい。」

その言葉を聞いて、瞳を閉じた。


くすっと鼻で笑われ、唇を舐められれば、簡単に貴方の手の中に落ちていってしまう。


触れるだけのキスが、啄む様になって、舌を絡め始めると、気持ちが良くて腰が抜けそうになる。ビクビクと震えてしまう身体が、自分の敏感さを物語っていて恥ずかしい。
唾液なんて甘く無いはずなのに、花の蜜に様に甘くてもっと欲しくなる。気づけば、自分から貪るように求めていて、いやらしい女だと思われて無いか不安になった。

薄ら目を開けてママを見ると、綺麗な瞳はしっかりと閉じられていて、ほんのりと赤く染まった頬と、視界に捉える赤い舌がいやらしくて、腰にぞわぞわとした快感が巡る。
呼吸する音も、腕を掴む大きな掌も、首をするりと撫でる手も、服越しに感じるママの体温も、全てが私の熱を高めていっておかしくなりそうだ。

知らぬ間に溢れた愛液が、太腿を伝う感覚で現実に引き戻される。
キスだけでこんな事になってしまう淫乱な身体だと知られたくなくて、離れようとすると、ママの瞳がゆっくりと開いて目が合った。

その美しい瞳は、逃がさないと言っていた。首を触っていた手は後頭部に周り、ママから離れないように囚われる。腕を押さえていた手は、太腿の付け根を撫で、愛液を溢し続ける割れ目を撫でた。

与えられるであろう快感から逃げたくて、腰を動かすと逆に強請っているようだ。
違う、そんなつもりじゃ無いのに、と否定する自分と、もっと欲しいと疼く自分が居て、脳内がごちゃごちゃになる。
熱を孕んだママの瞳と、お腹に当たる硬いものが、私の理性を奪っていく。

-----------------

「っは、ぁ、、は」

銀色の糸が引いたのは、お互いの理性が焼き切れた頃。
どれほどの時間が経ったのかわからないが、それほど時間は経ってないと言われればそうかもしれない。ただ、私にはとても長い時間に感じて、与えられるものが多すぎて、どろどろだ。

腰が抜けて、へたり込む。
見上げて捕らえたママの顔は、欲情した男だった。

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