君の蒼に溺れたい

しろみ

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出会いの話

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「イリヤぁ~なんで1番安い部屋にしたの?」

 扉を開くとそこは簡素なキングサイズのベッド、一般家庭にあるものよりも一回りほど大きなサイズの液晶テレビがあった。ペットボトル数本程しか入らなさそうな小さい冷蔵庫や、棚に埋められた大人の玩具の自動販売機を一瞥し、靴を脱いで狭い通路を進んだ。
比較的身長のある男性2人が使うには少し狭さを感じる、その部屋の中心にあるベッドに腰掛ける。
僕の後ろを歩いてた彼が、傍に腰掛けると同時にスカートがふわりと広がった。
脚をきちんと揃えて座る彼は本当に女性らしい立ち居振る舞いで、彼が本当に男性かどうか疑わしくなる。
 そんな彼は、僕の肩に頭を乗せ、上目遣いで此方を見つめ、こう呟いた。

「ただヤるだけなのにお金が勿体ないじゃないの」
「えぇ~っ、せっかくだから1番いい部屋にすればよかったのに」

彼は倹約家なのかどうかは分からないが、せっかく好きな人を抱くのだったらもう少しいい所が、なんて僕は思っていた。しかし自分の好きな人がそう言うなら、僕はその意志を尊重する。
だから安いラブホテルの更に1番安い部屋に入ったのだった。

「そんなのいいわよ、で……支払いは半々にしましょ」
「俺が出すからいいのに」

彼なりの気遣いだったのだろうが、自分がほぼ無理やり彼を此処に連れてきたのだ。そんなこと気にしないでと呟き、彼の頭を撫でた。
しかし、そんな彼から出た言葉は、ほんの少しの毒を含んだ冗談交じりであろう一言だった。

「なぁに?アンタお金持ちなのね?」
「……どうしてか知りたい?」
「教えてくれるの?」
「うち親が2人とも医者だからね」
「うっわぁ……」
「めちゃくちゃ引いてんじゃん」

彼は僕から少しばかり身を引いて、わざとらしく眉を顰める。暫くの沈黙の後、彼はこう呟いた。

「……いや、親が医者で本人も医者目指してて、長身で顔も悪くないのに眼球だけで恋人探すなんて残念にも程があるって思っただけ」

紛れもない事実を毒を含めつつ淡々と告げる彼だが、顔も悪くないという言葉に少しだけ救われたような気がした。
こんなにも上品、耽美という言葉が似合う姿をした彼から出る言葉は、毒と、ほんの少しの褒め言葉だった。
素直じゃないところが可愛い、なんて言ったら怒りそうだから、失礼だねと一言だけ彼に告げた。

「気を悪くしたなら謝るわ」
「いや、俺の顔悪くないって言ってくれたのは嬉しいなぁ」

 ばつが悪そうに俯いた彼の顎先をくいと持ち上げ、此方に目を向けさせる。僕が一目惚れした、吸い込まれそうな程美しい蒼眼を見つめていると、彼はわざとらしく瞬きを繰り返し、視線を逸らした。
彼は艶を帯びた唇を震わせながら、小さくこう呟くのだった。

「ま、まぁ、悪くないと思うわよ……普通に女の子にモテそうなのにね……」
「いや、世の中の女の子皆カラコンしてるじゃん……ちゃんとした目を見た事ないし、俺の事好きになってくれた子いないよ、皆顔と身長とスペックに寄ってくるんだ……俺の本当の姿見せたら引いちゃう」

自分で言うのもなかなかに恥ずかしいことを彼に話すと、彼はふふと笑顔を見せる。そして、相変わらずの毒舌で僕にこう言うのだった。

「まぁ、引かない女の子いないと思うわ」
「俺、実は別に女好きってわけでもないよ」
「バイなの?あんた」
「んー、そうかもしれない……ハッキリ言って、目以外興味なかったからなぁ……きっと、綺麗な目をした人だったらどっちでもいいのかも」

 そう言って僕は彼をベッドに押し倒し、白いシーツに広がる銀の髪に指を通した。さらりとシーツに落ちるその髪はとても美しい。本物の銀を糸にしたような、そんな髪を持つ彼は目を見開いて僕を見つめていた。

「、……ほんとにアンタ、人の目見て勃ってんの……?」
「何その反応、見たい?」
「別に見たくはないわよ」
「……ほんとに勃ってるよ?」

ベッドに広がる彼のスカートの中心部を捲り、中身を晒す。萎えきった彼のモノが仕舞われた下着の上に自分自身のそれを服越しに押し付け、わざとらしく腰を動かした。

「ん、ぅ……何……っ、」
「本当に勃ってるかどうか知りたかったんでしょ……?ほら、すっごく硬くなってんの分かる?」
「や、だ……ッ」
「ふふ……かーわい……」

自分のそれと彼のそれを何度も布越しに擦り合わせていると、彼がびくびくと震え、僕の肩に手を回した。
吐息混じりに小さく声を上げる彼がとても可愛くて思わず意地悪をしたくなる。

「イリヤってほんと敏感だよね……こんなので感じちゃって、えっろ……」
「っ……」
「こんなえっろい身体して、女の子のカッコしてたらまた下衆な男にめちゃくちゃにされちゃうかもしれない……俺、そんなのほんとに耐えらんないな……」
「……、アンタがアタシのこと……ほんとに好きならそういうことしないわよ……」

彼は僕から目を逸らし、小さくそう呟いた。
その発言は、彼がまだ僕のことを信用していないような、そんな発言だった。思わず、そんな彼に対してこう呟いていた。

「……礼央って呼んでよ、イリヤ……」
「……、何で、名前」
「恋人同士は名前を呼び合うものなのかなって思うから」
「……礼央くん、」
「ん、呼び捨てでもいーよ?さっきいっぱい呼んでくれたじゃん……礼央♡って」
「ッ……うるさい……あの時は、その場のノリっていうか……まさかこんな所連れてくるなんて思わなかったし」
「えっ……もしかして俺がイリヤのこと好きって言ったの信じてないの」
「……、まだ……ね、」
「……信じてよ、俺ほんとにイリヤのこと好きだから……」

彼は僕のことを信用してないようで、未だに目を逸らしたままだ。
 せめて此方に目を向けたいと思い、彼の着ているブラウス越しに胸を撫でる。僕の方に首を動かした彼は肩に回していた手を離し、逆に押し退けるように手の平で僕の鎖骨辺りを押すのだった。

「ん、ッ……れお、ちょっと……」
「まだ撫でてるだけじゃん……、何?きもちーの……?」
「ちが、違うからぁ」
「気持ちいいんでしょ?ほら、此処……イリヤの乳首、服越しにも分かる」
「やめ、ッ、やめてってば……」
「やめない」

彼の薄っぺらいブラウスを身体に押し付けると、小さく膨らむ突起が存在を主張していた。そこを爪で何度も引っ掻く。
彼は先程同様、身体を大きく跳ねさせた。嫌だやめてと抵抗してはくるが、吐息混じりの甘ったるい嬌声を上げて腰をもぞもぞと動かしている辺り、本当にやめて欲しい訳ではないというのが伝わる。

「何でそんなに胸弱いのイリヤ……」
「わかん、ない……、そんなの……」
「ふーん、……ほんとにわかんないの?」

彼は絶えず息を荒げ、僕の肩を力なく押している。抵抗の意を見せたいのかどうかすら分からない彼の行動に少し苛つきを覚えてしまった。
何度も彼の胸の突起を爪で引っ掻き、服越しに強く摘んで根元をグリグリと抓る。

「ん、んっ、はぁ……あ、っ……やだ、れお、っ……もぉ、や……ッ、」
「教えて、何でこんなとこ弄られて気持ちよくなってんの」
「あ、あ、ッ、やだ、言えな……ッ」
「何で?今までイリヤのこと抱いてきた男共にここ沢山虐められて開発されたの?可哀想、こんな身体にさせられて……」

絶えず胸の突起を虐め続けていると、快楽に負けたようで抵抗の意を見せなくなる。
力なく手を下ろし、シーツに爪を立てていた彼は、突然自分の目の辺りを腕で隠し、蚊の鳴くような声で呟いた。
その言葉に思わず手が止まってしまう。

「ッ、……男じゃ、ない……自分で……した、の……ッ、」
「……え、」
「はずかし、こと……いわせ、ないで……ッ、ばかぁ……」

彼は顔を耳まで紅潮させ、此方に一切目を向けずそう言ったのだ。
自分で、した……?
思わずその発言に思考すら止まってしまう。その発言の意味が理解できた途端、ぶわっと何かが湧き上がってきたような気がした。
 人の目以外にあまり興味を持てなかった自分が、初めて目の前にいるこの男性に、目を含めた全てに愛おしさを感じたのだった。

「……っ、待って……可愛すぎ……嘘、何で?ねぇ何で自分でそういう事したの……?ねぇ、ほんと可愛すぎ……イリヤ……無理……意味わかんない、ほんと……可愛い……」

矢継ぎ早に出てくる言葉に自分自身も引いてしまう程だが、彼は顔を紅潮させたまま口を噤んでいた。
普段だったら気持ち悪いとか毒を吐かれそうな気もするが、そういったことは全く言われなかった。
 そんな彼のブラウスのボタンを一つ一つ丁寧に取り、上半身を露わにして、先程まで散々虐めていた胸の突起に舌を這わせる。

「ねぇ……俺も、イリヤの乳首たっくさん気持ちよくさせたい……、いっぱい……俺もイリヤの乳首開発したい……、ね?いい……?」
「あ、ぁ!まって……ッ、それ、や、ぁ、っ、やだぁ、やだやだぁ……っ!」

自分で開発したと言っていた其れの、左側を口に含んで舌先で小さな割れ目を突き、吸い上げた。そして口を離して歯で甘噛みする。右側は爪で先を引っ掻いたり抓ったりを繰り返した。
彼は脚をビクビクと震わせ、腰を上下させる。腹に当たる彼の下腹部の其れはとても固くなっており、今にもはち切れそうだった。

「ん、んぅうッ……!く、ぅぅっ、あ、ぁぁ、ッ、や、ぁぁ、っあ、あぁ、あんんッ、」

嬌声を上げ続ける彼から手を離し、耳許に顔を近づける。彼の濡れた唇を親指で撫で、吐息混じりに囁いた。

「ねぇ……きもちよかった?イリヤ……、どう?どんな感じか俺に教えて?」
「あ、ぁ、きもち、のが、あたまに、びりびりって、くるの……、すっご……ぃ……♡」
「すっげーきもちよかったってこと?ひとりじゃできないもんね……、こーゆうこと♡」
「ッ……!」
「今後は俺がたくさんしてあげる……、イリヤのココ、自分でやんなくても俺がいっぱい気持ちよくしてあげるから……女のコみたいに、ココでイけるようにがんばろーね?」

彼の真っ赤に染まる耳を舌で舐め上げ、耳朶を甘噛みすると身体をびくつかせた。彼のそんな反応が可愛くてつい虐めたくなってしまう。
 先程まで腹に当たっていた彼の下腹部のモノに手を伸ばし、下着越しに撫でるとぬるつく液体が手に付いた。

「……乳首、ほんと弱いんだねイリヤ……こんなに濡らして、えっちな身体……」

下着の中に手を入れて脱がし、彼の其れを外に出す。先は透明の液体を溢れさせ、今にも零れそうである。普通の男性のものより少し大きな其れを、彼の脚を無理矢理拡げて上から見下ろした。

「イリヤって結構おっきいよね」
「な、なによ……あんまり、見ないで……」
「こんなに女の子みたいでかわいーのに、えっぐいのついてるなぁって思って」
「うるさい……、アンタも、でかいじゃない……」
「んー、そーかな……おっきいって分かる?さっきイイトコ当たってた?」
「……、すぐそういうこと言う……」
「え~、いーじゃん……こういうこと言うと恥ずかしがるイリヤ面白いもん」
「……うるさ……馬鹿!変態!いちいち気持ち悪い!」
「あれ、毒舌に戻っちゃった」
「……、アタシ……そんなに毒舌?」
「自覚ないの?そういう所も可愛いな」

彼は眉根を寄せて此方を上目遣いで見る。少し、しょげた様な声色で此方を伺う様子が可愛くて思わず可愛いと口走ってしまった。
可愛いと言う度に黙ってしまう彼はこの言葉に弱いらしい。今も顔を真っ赤にして黙ったまま俯いてしまう彼の様子を見ていると此方もそろそろ限界だ。

「ねぇイリヤ、」
「何よ、礼央」
「コレ、舐めてほしーな?」

 自分のベルトを緩めてズボンのボタンを取り、チャックを下ろす。下着を下ろし、勢いよく出る其れを彼に見せつけると、一瞥してまた俯いてしまった。
そして、突然身体を起こした彼はスカートに手を伸ばして脚から抜き、ブラウスからも腕を抜いたのだった。

「服、これ以上汚したくないから……、シャワー……浴びたい」
「……いーよ、俺も一緒に行く」


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