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【世界の転覆編】
【18】考察
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Yは体調を崩して会社を欠席している。
会社から潰されそうとしていると分かってからも「ぶっ倒れるまで戦えるだけ戦う」とか言っていた。
そして本当に倒れた。マジでバカだ。
このまま会社を辞める流れにする事にしたらしい。
そしてこれから二人で例の現状を考察してみるところだ。
「Y。とりあえず会社の件と痴漢の件からしてお前の状況がやばいのはよく分かった。」
「痴漢の件は僕もびっくりだったよ。会社の件だけなら例の宗教の信者が役員にいるとか、そっちの線の可能性考えてたけど。」
「お前、過去の会社でもたびたび過度の負荷をかけられて違和感を感じてたんだろ?それ含めても、ただ宗教絡みってだけじゃなさそうだな。」
「まあ。よく妄想したのは、キリスト教を操っているのは世界の支配者だったみたいな事かな。」
「今の状況考えるとあながちただの妄想じゃない気がしてくるな。」
「とはいえ、そんなやつらがいたとして、今更なんで僕にちょっかいかけてくるのかが全く分からない。僕には何の影響力もないのに。」
「何考えてるか分からないし、何するか分からなくてキモいからだろ。」
「キモいからか。それじゃ納得するしかない。」
「真面目にちょっと思いつくのはパワーバランスかな。」
「パワーバランス?」
「例えばだけど、小さなきっかけから世界を巻き込む大きな戦争に発展したなんて歴史が過去にあるじゃん。」
「なんかあったような。」
「実は世界は微妙なパワーバランスで保たれていて、それが崩れると戦争に発展しかねない状況があると予測してみる。」
「ふむふむ。」
「しかも現代においてはそれが核戦争のトリガーになる可能性があるとしたら。」
「なるほど。それなら小さな影響だとしても過剰に芽を摘み取るムーブが発生してもおかしくない気もしてくる。」
「お前は過去にキリスト教の矛盾を指摘した過去があるし、目を付けられてるのかもな。」
「とはいえちょっと納得いかないな。ダヴィンチコードって小説がベストセラーになったことあるじゃん?」
「あったね。」
「キリスト教への影響ならあれのほうがよっぽど大きいと思うけど、それで世界がどうこうなったとか無いし。」
「確かにな。ただ時期によってパワーバランスの変動も色々あるだろうから、それも影響してるとか?」
「うーん。腑に落ちるような落ちないような。」
「お前が拷問被害にあったのいつ頃だったっけ。」
「たぶん1992年頃だったと思う。あの時はインターネットがなかったから拡散して助けを求めるとか出来る時代じゃなかったな。」
「親以外に助けを求めなかったの?学校の教師とか。」
「本当に何するか分からないと思ったから、もう誰かを巻き込むのは止めようと思ったんだよ。」
「確かに。今の状況考えるとそれが正解だったのかも。」
「父親のことは恨んだけど、もし父親が動いていたとしたら家族ぐるみで嫌がらせを受ける事になったかもとも思うんだ。兄弟多いんだよ。」
「そういう意味では父親の選択も間違いではない気もしてくるな。」
「今ではそう思うことにしてるよ。」
「同じことが起きても、ネットのある世界になってる10年後だったら結果が違ったのかもな。」
「その10年が致命的かもね。ネットではそんな矛盾を言語化して吐く人なんてごろごろいるだろうから。」
「情報インフラが確立される前だったし、近年確立される予測もできてなかったから、強制的に封殺した側面はありそうだ。」
「となると今のムーブが何なのかだよ。」
「拷問した事実を拡散されることを恐れているとか?」
「物的証拠が何も残ってないし、なんの影響力もない情報として埋もれるとしか思えない。」
「それに影響あるとして当事者の宗教がダメージを受けるだけか。」
「そうそう。トカゲの尻尾切りじゃ意味ないんだ。背景にいる何かの正体を見つけたいんだよ。」
「お前のそういう単純に宗教に復讐しようと考えないあたりが不気味で警戒してるのかもな。」
「自分じゃなんもできないだけなんだけどなあ。」
「これ以上は憶測で語ってもしょうがないか。」
「先生。ちょっと支配者さんと友達になって聞いてきてくれない?」
「じゃあ。そうすっか。」
「え。マジで。」
「マジマジ。」
「なんか本当にやりそうな気もしちゃうんだよなこの人。」
「楽しそうじゃん。世界の支配者を探す冒険。」
「とりあえず僕は、目に見えない世界の状況によっては、小さな事が核戦争のトリガーにもなり得るって視点を持てただけでも収穫だよ。」
「それだけ言葉にすると抽象化されすぎてて馬鹿みたいだけどな。」
「確かに。」
「これからどうするの?」
「なんかおとなしく細々と生きていくよ。病気もあるしね。」
「俺は冒険の旅に出るとするかな。」
「いや。さっきのは冗談。僕のために危険なことしないでいいって。」
「お前のためじゃないよ。純粋な興味だね。」
「もし僕が監視されてるとしたら先生との関係にも気付かれてる可能性ある気がする。」
「お前とはずっとうちの製品使ってしかやり取りしてないし、最近の会話はずっと念話だから。」
「何をいつからどの程度監視されてるかにもよるけど、物理的接触はしてないね。」
「それに気付かれてるなら、会社と痴漢の件の調査も阻害されてたはずだろ。」
「確かにそうかもしれない。」
「気付かれてない可能性が高いと判断するよ。」
「興味だけで危険に踏み込むの絶対頭おかしい。」
「正直今の日々に退屈してたし、世界に裏があるなんて思ってもなかったからな。面白いんだよ。」
「やべーやつに火を付けちゃったよ。」
「ま。尻尾くらいは見つけてくるから待ってろよ。何年かかるかは分かんないけどな。」
「じゃあ微妙に期待して待ってるよ。」
「おう。とりあえずまたな。」
会社から潰されそうとしていると分かってからも「ぶっ倒れるまで戦えるだけ戦う」とか言っていた。
そして本当に倒れた。マジでバカだ。
このまま会社を辞める流れにする事にしたらしい。
そしてこれから二人で例の現状を考察してみるところだ。
「Y。とりあえず会社の件と痴漢の件からしてお前の状況がやばいのはよく分かった。」
「痴漢の件は僕もびっくりだったよ。会社の件だけなら例の宗教の信者が役員にいるとか、そっちの線の可能性考えてたけど。」
「お前、過去の会社でもたびたび過度の負荷をかけられて違和感を感じてたんだろ?それ含めても、ただ宗教絡みってだけじゃなさそうだな。」
「まあ。よく妄想したのは、キリスト教を操っているのは世界の支配者だったみたいな事かな。」
「今の状況考えるとあながちただの妄想じゃない気がしてくるな。」
「とはいえ、そんなやつらがいたとして、今更なんで僕にちょっかいかけてくるのかが全く分からない。僕には何の影響力もないのに。」
「何考えてるか分からないし、何するか分からなくてキモいからだろ。」
「キモいからか。それじゃ納得するしかない。」
「真面目にちょっと思いつくのはパワーバランスかな。」
「パワーバランス?」
「例えばだけど、小さなきっかけから世界を巻き込む大きな戦争に発展したなんて歴史が過去にあるじゃん。」
「なんかあったような。」
「実は世界は微妙なパワーバランスで保たれていて、それが崩れると戦争に発展しかねない状況があると予測してみる。」
「ふむふむ。」
「しかも現代においてはそれが核戦争のトリガーになる可能性があるとしたら。」
「なるほど。それなら小さな影響だとしても過剰に芽を摘み取るムーブが発生してもおかしくない気もしてくる。」
「お前は過去にキリスト教の矛盾を指摘した過去があるし、目を付けられてるのかもな。」
「とはいえちょっと納得いかないな。ダヴィンチコードって小説がベストセラーになったことあるじゃん?」
「あったね。」
「キリスト教への影響ならあれのほうがよっぽど大きいと思うけど、それで世界がどうこうなったとか無いし。」
「確かにな。ただ時期によってパワーバランスの変動も色々あるだろうから、それも影響してるとか?」
「うーん。腑に落ちるような落ちないような。」
「お前が拷問被害にあったのいつ頃だったっけ。」
「たぶん1992年頃だったと思う。あの時はインターネットがなかったから拡散して助けを求めるとか出来る時代じゃなかったな。」
「親以外に助けを求めなかったの?学校の教師とか。」
「本当に何するか分からないと思ったから、もう誰かを巻き込むのは止めようと思ったんだよ。」
「確かに。今の状況考えるとそれが正解だったのかも。」
「父親のことは恨んだけど、もし父親が動いていたとしたら家族ぐるみで嫌がらせを受ける事になったかもとも思うんだ。兄弟多いんだよ。」
「そういう意味では父親の選択も間違いではない気もしてくるな。」
「今ではそう思うことにしてるよ。」
「同じことが起きても、ネットのある世界になってる10年後だったら結果が違ったのかもな。」
「その10年が致命的かもね。ネットではそんな矛盾を言語化して吐く人なんてごろごろいるだろうから。」
「情報インフラが確立される前だったし、近年確立される予測もできてなかったから、強制的に封殺した側面はありそうだ。」
「となると今のムーブが何なのかだよ。」
「拷問した事実を拡散されることを恐れているとか?」
「物的証拠が何も残ってないし、なんの影響力もない情報として埋もれるとしか思えない。」
「それに影響あるとして当事者の宗教がダメージを受けるだけか。」
「そうそう。トカゲの尻尾切りじゃ意味ないんだ。背景にいる何かの正体を見つけたいんだよ。」
「お前のそういう単純に宗教に復讐しようと考えないあたりが不気味で警戒してるのかもな。」
「自分じゃなんもできないだけなんだけどなあ。」
「これ以上は憶測で語ってもしょうがないか。」
「先生。ちょっと支配者さんと友達になって聞いてきてくれない?」
「じゃあ。そうすっか。」
「え。マジで。」
「マジマジ。」
「なんか本当にやりそうな気もしちゃうんだよなこの人。」
「楽しそうじゃん。世界の支配者を探す冒険。」
「とりあえず僕は、目に見えない世界の状況によっては、小さな事が核戦争のトリガーにもなり得るって視点を持てただけでも収穫だよ。」
「それだけ言葉にすると抽象化されすぎてて馬鹿みたいだけどな。」
「確かに。」
「これからどうするの?」
「なんかおとなしく細々と生きていくよ。病気もあるしね。」
「俺は冒険の旅に出るとするかな。」
「いや。さっきのは冗談。僕のために危険なことしないでいいって。」
「お前のためじゃないよ。純粋な興味だね。」
「もし僕が監視されてるとしたら先生との関係にも気付かれてる可能性ある気がする。」
「お前とはずっとうちの製品使ってしかやり取りしてないし、最近の会話はずっと念話だから。」
「何をいつからどの程度監視されてるかにもよるけど、物理的接触はしてないね。」
「それに気付かれてるなら、会社と痴漢の件の調査も阻害されてたはずだろ。」
「確かにそうかもしれない。」
「気付かれてない可能性が高いと判断するよ。」
「興味だけで危険に踏み込むの絶対頭おかしい。」
「正直今の日々に退屈してたし、世界に裏があるなんて思ってもなかったからな。面白いんだよ。」
「やべーやつに火を付けちゃったよ。」
「ま。尻尾くらいは見つけてくるから待ってろよ。何年かかるかは分かんないけどな。」
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