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最終章

【26】巨大地下施設調査

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2000年12月下旬

私たちはスイスに到着して少し観光した後、地下施設調査の実行日を迎えた。

そして輝が一人で施設に向かったところだ。
私たちは拠点で待機。

内通者に施設内への侵入をアシストしてもらった後は輝が一人でメタルギアシリーズのスネークの様に施設の最深部を目指している。
輝の能力で難なく最深部付近までたどり着けてしまった。

私たちはブレスレットの機能で輝の周囲の状況をモニターしている。

『今最深部の構造が確認できる位置まで来た。
縦横200m高さ50m程の巨大な地下空間がある。』

巨大な空間…?
何のためにあるんだろう。

『近くまで行ってみる。』

気を付けてよ。どきどき。

最深部は普段は鍵がかけられていて1日1回正午に幹部が出入りする。
他は新たに来た子供たちに洗脳を施す時だけ解放されるらしい。

幹部の出入りの時間に合わせて襲撃する作戦だ。

『巨大空間の入口付近まで来た。死角にポータルを設置する。』

輝がポータルを設置してくれたので私たちも現地に移動した。
正午の3分前だ。

幹部が3人やってきた。
どうやら食事を持ってきているらしい。

鍵を解除しドアを開けた瞬間に私と輝と茜の3人でライフルを撃って気絶させた。
そして拘束しておいた。

さて。大きな空間にいるなんてまさにラスボスって感じ。
どんな姿をしているんだろう。

4人で静かに中に入ると10m程の廊下の先に巨大空間があって、その先にぽつんとベッドがあるのが見えた。
だれか寝ている。妙に体が小さいような…。

近くに行くと6才くらいに見える女の子が寝ていた。
みんなで顔を見合わせた。

すると女の子が目を覚まして。

「食事の時間のはずだが。
お前たちは例の神を宿した人間の戦士たちではないか。」

と話し始めた。

「ついにここまでたどり着いてしまったのか。
しかし私はもう目的を果たした。お前たちに興味はない。
あとはただ死を待つ身だ。」

輝が応じる。

「目的を果たしたとはどういうことだ。
子供たちに洗脳を続けて世界を支配しているのはお前じゃないのか?」

「私の目的は同族への復讐だった。こちらの世界の支配に興味はない。
今は眷族化した人間たちの希望に惰性で付き合ってるに過ぎない。」

と言うと急に立ち上がって掌から紫の霧を出し始めた。
霧は一気に周囲に広がって私たちを包み込んだ。

「なるほど。お前たちは無効化できるようだな。」

私たちは守護の光の効果で守られた。
そして私は気絶させようと剣を出して切りかかった。

でも驚異的身体能力で後方に避けられてしまったんだ。

「ただ死を迎える前に人間の戦士と戯れるのも面白い。」

そう言うと少女の体が紫の炎に包まれた後、大きな球状の霧の渦に変化した。
そして霧の中から羽のある大きな黒い竜が現れた。
全長20mくらいある。

とっさに輝から指示が来た。

『茜は煙幕を張ってくれ。夢は距離を取りつつ弓で攻撃。莉愛は夢の援護。』

私たちは指示通りに動き出した。
距離を取って矢を放ちまずは気絶できないか試した。

『矢が当たったけど気絶しない。』

『こうなったら倒すしかない。』

輝にそう言われ覚悟を決めた。

でも紫の矢を放とうとしたら竜が高速で飛んできて掌で吹き飛ばされた。
とんでもない威力で守護の光の効果があっても大ダメージを受けてしまって私は意識を失いかけた。

と思ったら次の瞬間、煙幕の中に体が移動した。
そして莉愛が癒しの光で回復してくれた。

輝が強制転移で私と莉愛を自分の位置に移動してくれたんだ。

『夢ごめん。動きが早すぎて強制転移が間に合わなかった。
気絶が効かないから夢の攻撃力だけが頼みだ。まず羽を狙ってくれ。』

煙幕で目視はできないけど輝がワイヤーフレームのように竜の形を示してくれている。

『了解。』

竜がこちらの気配を感じて向かってきたから私は最大威力で羽を狙って撃った。
見事命中して空中にいた竜がバランスを崩して落下した。

でももう片方の羽で体勢を立て直して、その勢いでまた私たち3人のほうに突っ込んできた。
とっさに輝と莉愛が左右に退避したけど、2人が危ないと思った私は勢いで竜に向かって突っ込んでた。

そして間一髪掌の攻撃をかわして剣で首を切り落としてやった。

轟音を立てて竜の体が地面に激突した後、紫の霧になって消えた。

「夢。無茶しすぎ。」

茜に呆れられてしまった。
もしかして私たちはラスボスを倒してしまったのだろうか。

なんだか体の力が抜けてしばらく4人で呆けてしまった。

そこに愛さんが姿を現した。

「施設内に私が心を読める人が現れだして増え続けてるの。
さっきの竜が死んで洗脳が解除されていってるみたい。もしかしたら世界中で解除されてるのかも。」

輝が応じる。

「でも竜が言っていた同族への復讐を果たしたという意味が謎のままで気になりますね。」

「たしかに気になるね。何か手掛かりを探さないとね。」

とりあえずで茜が竜が寝ていたベッドの下をのぞいたら大量の日記のような物が保管されていた。
でも見たこともない文字で読むことができない。
神さまたちも誰も読めないみたいだ。

「たぶん竜の言語なんじゃないかな。」

と愛さん。

そこで輝が切り替えて。

「まずは協力者の人たちに一報を入れよう。何かあった時のために待機してくれてるから。」

と言って施設内の人間の洗脳が解除されていると一報を入れてくれた。

そして協力者たちが施設の調査に入ったんだ。
尋問みたいなことは私たちは専門外なので日記のこと含めあとはお任せすることにした。

もしかしたらこのまま世界が平和になったりするのかな。
なんて考えながら私たちは休息を取ることにしたよ。



この日を境に世界中の過激派組織やマフィアなどの解体が相次いで、自白する人もたくさん出て世界がちょっと混沌とした。
黒川さんたちも情報が錯綜して大忙しだったみたい。

でも大晦日を迎える頃にはクリスマスの奇跡なんて呼ばれて世界的お祭り騒ぎになったよ。
ちょうど私たちが施設に向かったのがクリスマスイヴの日だったんだよね。

私たちも便乗して家族交えて少しだけ豪華な年越しを過ごすことにしたんだ。

でもやっぱり竜の言っていた復讐を果たしたの意味が気になっていた。
もしかしたら以前に神託のあった大きな厄災に繋がったりするのかなって不安になったよ。

そして年を開けてから1週後に黒川さんから連絡があって岡山の本部に向かうことになった。
そこで今まで秘匿されていた世界の真実を知ることになるんだ。
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