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始まりの章
【2】日常が壊れた日
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まったりしてきたところで輝が切り出した。
「ずっともやもやしてたことがあるんだけどさ。」
「なんだろ。」
3人で顔を見合わせた。
「俺と莉愛が付き合うきっかけになった中学3年生の夏祭りの事。」
「ああ…。」
あのことか。
それは私もずっともやもやしてた。
私たちは中学2年生頃からずっと一緒だ。
クラス委員で一緒に何かすることが多かったのがきっかけ。
3年生になる頃には輝と莉愛はちょいちょいお互い意識してるようないい感じの雰囲気が出てた。
でも中々発展はしなかったんだよね。
仲良し4人組の関係が壊れてしまうんじゃないかって怖かったんだと思う。
そしたら夏が近づいた頃に茜も莉愛の事気にかけるような感じを出し始めたんだ。
莉愛はほんとかわいいからやっぱそうなっちゃうかーって私は思ったよ。
でもね。茜って何考えてるかわかんない所あるけど、遊ぶときは私とペア組んでくれること多かったんだ。
だから本音を言うと私にもチャンスがあるのかもって意識しちゃってた。
それからは4人で遊んでても内心は莉愛の取り合いなのかなって思って。いつも心がちくってしてた。
事件が起きたのは夏休みに4人で夏祭りに行ったとき。
なんとなーく茜が莉愛の横に居て。なんとなーく輝が遠慮してる感じだった。
屋台を一通り満喫してみんなで花火を見に行った。
浴衣を着た4人で並んでぼーっと眺めてた。
一番左が私。少し前に茜と莉愛が並んでて。少し下がった右に輝がいて。
花火がすっごくきれいで幻想的なんだけどなぜか切ない気持ちになったんだよね。
ふいに茜が莉愛をきゅっと抱き寄せて向かい合う形になった。
こいつ普段はすごく物静かなのにこんな一面もあるんだってどきっとしたよ。
一瞬戸惑った莉愛と見つめ合ってて。
ああもうこのままキスしちゃうんだろうなって時間がスローになった気がした。
「茜。」
輝が茜に声を掛けた。一瞬時が止まったかと思ったよ。
声をかけられて茜が輝の方を見たとき平手打ちが飛んできた。
花火の音は鳴り響いてるのにすごく静かなような沈黙。
「少し頭冷やす。今日は帰るよ。」
そう言って茜は帰っちゃった。
残された私たちはきっとそれぞれ思うところがあって。でも言葉が出なかった。
3人並んでとぼとぼ歩いてた。
私はこのまま4人の楽しい日々が終わっちゃうのかなって怖くなった。
長い長い沈黙の後、莉愛が突然立ち止まって輝に声をかけた。
「輝くん。」
少し間があって。
「私。輝くんのこと好きだよ。」
輝は少し戸惑って一瞬沈黙した。
でも。
「俺も莉愛のことが好きだ。」
そう言い返したんだ。
莉愛は黙って頷いて。
なんかすごく不思議な雰囲気。
気持ちを確認したはずなのにどこか切なげな二人。
その日はそのままばいばいした。
夏休みも残り少なくなった時期。
私はあの日の出来事が頭から離れなくてずーっとぐるぐる考え事してた。
茜が何を考えてるか分からないのはいつものことだけど。
輝が茜を平手打ちした意味。
そこが一番引っかかってた。
輝って自分の想いの為に人を叩くようなタイプでは絶対にないんだよね。
だからきっと何か意味があるんだ。
そんな風に考えた。
もしかしたら輝は私の小さな想いに気付いてたのかな。
だから私の目の前であんな風に振舞う茜に思わず手が出たのかもしれない。
そう思うとなんだか腑に落ちたんだ。
そして莉愛があの日、輝に自分から告白した意味。
あんな空気から告白するのはすごく勇気がいると思うんだ。
日を改めて2人で会ったときに伝えるほうが気まずくもないと思う。
もしかしたら4人の関係がこのまま終わってしまうかもしれない。
そんな日に告白した理由。
もしかしたらあれは莉愛の小さな賭けだったのかもしれない。
きっと莉愛も私の想いに気付いてたんだ。
だから私のいる前で輝に告白した。
それは私へのメッセージ。
そして輝もその賭けに乗った。
考えすぎかもしれないけど、なんだかそう思うと全て辻褄が合う気がしたんだ。
だから私は勇気を出して行動することに決めた。
夏休み最後の日に茜に会いに行った。
ちょっと気まずかったけど。
なんとなく雑談して。
なんとなく輝と莉愛の事を伝えて。
そしてなんとなく。
「私じゃダメかな。」
そう口走ってた。
いやもうわかんない。全然何となくなかったかもしれない。
頭が真っ白で長い時間が流れた気がしたよ。
「いいよ。」
茜の返事はそれだけだった。
もうちょっとなんかないのとは思ったけどじわじわ嬉しくなった。
気恥ずかしくて何話していいか分からなくなってたら。
「よし。明日あいつらに報告しよう。」
茜はそう言った。
私はえーってなったよ。
確かに明日は始業式で顔を合わせる機会あるだろうけど。
あんな出来事の後で気まずくないのかこいつは…。
告白した相手ながら本当に何考えてんのか分からなかった。
そして始業式の日。
絶対気まずくなると思ってたけど。
茜が普通に輝に声かけるし。普通に4人集まって。
躊躇なく私とのこと報告するし。
あっさり輝と莉愛が気持ちを伝え合ったことにも触れるし。
茜のペースでカップル2組成立の空気が気付けば完成してた。
しばらくちょっとぎこちなさはあったけど。
4人で楽しく遊べる日々が戻ってきたんだ。
その後は受験も控えてたけど色々なことして遊んだな。
試験前の1月にダブルデートして。
クリスマス後のイルミネーションが残った夜の街中にglobeのDEPARTURESが流れてた。
きらきらの世界に粉雪も降ってきたのがすっごくエモくて。
こんな日々がいつまでも続いたらいいのにって祈りのような気持ちになったんだよね。
おっと。つい回想が長くなってしまった。
時は流れて今は茜の家に4人集まっているところだ。
輝が夏祭りの日の話の続きをしてる。
「あの日。俺は自分が莉愛のこと好きだからって茜を叩いたこと後悔しててさ。」
輝は嘘をついてる。少なからず私の解釈では。
「うやむやにしてたけどずっと謝りたかったんだ。」
私はちくりとしたけど確信がある事ではないのでつっこめなかった。
「悪いのは僕だよ。正直、輝の事かっこいいって思ったし。」
茜節が出た。
「どう考えてもかっこよくはないだろ。」
輝よ。君はかっこいいぞ。私の解釈では。
「俺は未だにあのときの茜の気持ちがわからないんだ。やっぱり莉愛の事好きだったのか?」
すごいぶっ込まれた気がした。
4人いる状況でその質問をするのはあまりに際どい。
でもみんな心の中でもやもやしてたことだし、今の私たちならちゃんと聞ける気もする。
茜はちょっと考えて間を置いた。
「この感覚は共感してもらえるかわかんないんだけどさ。」
ごくり。
「僕は3人のことがほんと好きなんだよ。
あの頃の輝と莉愛ちゃん。いい感じなのにぶっちゃけじれったいなって思ってて。
ちょっとやらしい空気にしてやろう理論があんな感じになっちゃったかも。」
お前はいったい何を言っているんだ。
「ま。茜なりに俺と莉愛のためだったってことか。」
え。今ので伝わったの。何この人たち。
「いやいや。それは僕のこといいように捉えすぎ。ほんとに莉愛ちゃん口説いてるつもりだったし。」
こじらすなよこの野郎。
「よく言うよ。茜くんはほんと捻くれてるからな。」
あれ。なにこの莉愛の察した感じ。
なんか3人は納得して和やかなのが不思議だ。
よくわからないけど私だけすっごい子供な気がして置いてけぼり感がやばい。
「さて。そろそろ帰らないと夢の親が心配するんじゃないか。」
輝が気を使ってくれた。
確かに私の親はこの中では一番心配する方だ。
「そうだね。今日はこれで解散で。」
茜がそう言った瞬間だった。
凄まじい爆発音と一緒に部屋全体が大きな地震みたいに揺れた。
みんなびっくりして固まる。
私は爆発音がしたときに玄関の方向の床が大きく跳ね上がるのを見た。
そして床が崩れ落ちると同時に煙と炎が噴き出してきた。
輝が叫ぶ。
「やばい!窓から逃げよう!」
だけど茜がカーテンを開けると既に外は炎で包まれていた。
これじゃ逃げれない…。
「何だこれ。異常に火の回りが早い。」
いつも冷静な茜が見たことない表情をしていた。
私はそれを見て本当に絶望的な状況なのだと悟った。
みるみるうちに黒い煙が充満してきて私は気が遠くなるのを感じた。
私たちここで死んじゃうんだ。
そして私は意識を失った。
「ずっともやもやしてたことがあるんだけどさ。」
「なんだろ。」
3人で顔を見合わせた。
「俺と莉愛が付き合うきっかけになった中学3年生の夏祭りの事。」
「ああ…。」
あのことか。
それは私もずっともやもやしてた。
私たちは中学2年生頃からずっと一緒だ。
クラス委員で一緒に何かすることが多かったのがきっかけ。
3年生になる頃には輝と莉愛はちょいちょいお互い意識してるようないい感じの雰囲気が出てた。
でも中々発展はしなかったんだよね。
仲良し4人組の関係が壊れてしまうんじゃないかって怖かったんだと思う。
そしたら夏が近づいた頃に茜も莉愛の事気にかけるような感じを出し始めたんだ。
莉愛はほんとかわいいからやっぱそうなっちゃうかーって私は思ったよ。
でもね。茜って何考えてるかわかんない所あるけど、遊ぶときは私とペア組んでくれること多かったんだ。
だから本音を言うと私にもチャンスがあるのかもって意識しちゃってた。
それからは4人で遊んでても内心は莉愛の取り合いなのかなって思って。いつも心がちくってしてた。
事件が起きたのは夏休みに4人で夏祭りに行ったとき。
なんとなーく茜が莉愛の横に居て。なんとなーく輝が遠慮してる感じだった。
屋台を一通り満喫してみんなで花火を見に行った。
浴衣を着た4人で並んでぼーっと眺めてた。
一番左が私。少し前に茜と莉愛が並んでて。少し下がった右に輝がいて。
花火がすっごくきれいで幻想的なんだけどなぜか切ない気持ちになったんだよね。
ふいに茜が莉愛をきゅっと抱き寄せて向かい合う形になった。
こいつ普段はすごく物静かなのにこんな一面もあるんだってどきっとしたよ。
一瞬戸惑った莉愛と見つめ合ってて。
ああもうこのままキスしちゃうんだろうなって時間がスローになった気がした。
「茜。」
輝が茜に声を掛けた。一瞬時が止まったかと思ったよ。
声をかけられて茜が輝の方を見たとき平手打ちが飛んできた。
花火の音は鳴り響いてるのにすごく静かなような沈黙。
「少し頭冷やす。今日は帰るよ。」
そう言って茜は帰っちゃった。
残された私たちはきっとそれぞれ思うところがあって。でも言葉が出なかった。
3人並んでとぼとぼ歩いてた。
私はこのまま4人の楽しい日々が終わっちゃうのかなって怖くなった。
長い長い沈黙の後、莉愛が突然立ち止まって輝に声をかけた。
「輝くん。」
少し間があって。
「私。輝くんのこと好きだよ。」
輝は少し戸惑って一瞬沈黙した。
でも。
「俺も莉愛のことが好きだ。」
そう言い返したんだ。
莉愛は黙って頷いて。
なんかすごく不思議な雰囲気。
気持ちを確認したはずなのにどこか切なげな二人。
その日はそのままばいばいした。
夏休みも残り少なくなった時期。
私はあの日の出来事が頭から離れなくてずーっとぐるぐる考え事してた。
茜が何を考えてるか分からないのはいつものことだけど。
輝が茜を平手打ちした意味。
そこが一番引っかかってた。
輝って自分の想いの為に人を叩くようなタイプでは絶対にないんだよね。
だからきっと何か意味があるんだ。
そんな風に考えた。
もしかしたら輝は私の小さな想いに気付いてたのかな。
だから私の目の前であんな風に振舞う茜に思わず手が出たのかもしれない。
そう思うとなんだか腑に落ちたんだ。
そして莉愛があの日、輝に自分から告白した意味。
あんな空気から告白するのはすごく勇気がいると思うんだ。
日を改めて2人で会ったときに伝えるほうが気まずくもないと思う。
もしかしたら4人の関係がこのまま終わってしまうかもしれない。
そんな日に告白した理由。
もしかしたらあれは莉愛の小さな賭けだったのかもしれない。
きっと莉愛も私の想いに気付いてたんだ。
だから私のいる前で輝に告白した。
それは私へのメッセージ。
そして輝もその賭けに乗った。
考えすぎかもしれないけど、なんだかそう思うと全て辻褄が合う気がしたんだ。
だから私は勇気を出して行動することに決めた。
夏休み最後の日に茜に会いに行った。
ちょっと気まずかったけど。
なんとなく雑談して。
なんとなく輝と莉愛の事を伝えて。
そしてなんとなく。
「私じゃダメかな。」
そう口走ってた。
いやもうわかんない。全然何となくなかったかもしれない。
頭が真っ白で長い時間が流れた気がしたよ。
「いいよ。」
茜の返事はそれだけだった。
もうちょっとなんかないのとは思ったけどじわじわ嬉しくなった。
気恥ずかしくて何話していいか分からなくなってたら。
「よし。明日あいつらに報告しよう。」
茜はそう言った。
私はえーってなったよ。
確かに明日は始業式で顔を合わせる機会あるだろうけど。
あんな出来事の後で気まずくないのかこいつは…。
告白した相手ながら本当に何考えてんのか分からなかった。
そして始業式の日。
絶対気まずくなると思ってたけど。
茜が普通に輝に声かけるし。普通に4人集まって。
躊躇なく私とのこと報告するし。
あっさり輝と莉愛が気持ちを伝え合ったことにも触れるし。
茜のペースでカップル2組成立の空気が気付けば完成してた。
しばらくちょっとぎこちなさはあったけど。
4人で楽しく遊べる日々が戻ってきたんだ。
その後は受験も控えてたけど色々なことして遊んだな。
試験前の1月にダブルデートして。
クリスマス後のイルミネーションが残った夜の街中にglobeのDEPARTURESが流れてた。
きらきらの世界に粉雪も降ってきたのがすっごくエモくて。
こんな日々がいつまでも続いたらいいのにって祈りのような気持ちになったんだよね。
おっと。つい回想が長くなってしまった。
時は流れて今は茜の家に4人集まっているところだ。
輝が夏祭りの日の話の続きをしてる。
「あの日。俺は自分が莉愛のこと好きだからって茜を叩いたこと後悔しててさ。」
輝は嘘をついてる。少なからず私の解釈では。
「うやむやにしてたけどずっと謝りたかったんだ。」
私はちくりとしたけど確信がある事ではないのでつっこめなかった。
「悪いのは僕だよ。正直、輝の事かっこいいって思ったし。」
茜節が出た。
「どう考えてもかっこよくはないだろ。」
輝よ。君はかっこいいぞ。私の解釈では。
「俺は未だにあのときの茜の気持ちがわからないんだ。やっぱり莉愛の事好きだったのか?」
すごいぶっ込まれた気がした。
4人いる状況でその質問をするのはあまりに際どい。
でもみんな心の中でもやもやしてたことだし、今の私たちならちゃんと聞ける気もする。
茜はちょっと考えて間を置いた。
「この感覚は共感してもらえるかわかんないんだけどさ。」
ごくり。
「僕は3人のことがほんと好きなんだよ。
あの頃の輝と莉愛ちゃん。いい感じなのにぶっちゃけじれったいなって思ってて。
ちょっとやらしい空気にしてやろう理論があんな感じになっちゃったかも。」
お前はいったい何を言っているんだ。
「ま。茜なりに俺と莉愛のためだったってことか。」
え。今ので伝わったの。何この人たち。
「いやいや。それは僕のこといいように捉えすぎ。ほんとに莉愛ちゃん口説いてるつもりだったし。」
こじらすなよこの野郎。
「よく言うよ。茜くんはほんと捻くれてるからな。」
あれ。なにこの莉愛の察した感じ。
なんか3人は納得して和やかなのが不思議だ。
よくわからないけど私だけすっごい子供な気がして置いてけぼり感がやばい。
「さて。そろそろ帰らないと夢の親が心配するんじゃないか。」
輝が気を使ってくれた。
確かに私の親はこの中では一番心配する方だ。
「そうだね。今日はこれで解散で。」
茜がそう言った瞬間だった。
凄まじい爆発音と一緒に部屋全体が大きな地震みたいに揺れた。
みんなびっくりして固まる。
私は爆発音がしたときに玄関の方向の床が大きく跳ね上がるのを見た。
そして床が崩れ落ちると同時に煙と炎が噴き出してきた。
輝が叫ぶ。
「やばい!窓から逃げよう!」
だけど茜がカーテンを開けると既に外は炎で包まれていた。
これじゃ逃げれない…。
「何だこれ。異常に火の回りが早い。」
いつも冷静な茜が見たことない表情をしていた。
私はそれを見て本当に絶望的な状況なのだと悟った。
みるみるうちに黒い煙が充満してきて私は気が遠くなるのを感じた。
私たちここで死んじゃうんだ。
そして私は意識を失った。
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