21 / 22
村の隠し事
訓練2
しおりを挟む
射撃訓練はほぼ毎日行われた。
しかし、銃の詳細については教えてくれなかった。
「俺達一体いつまで続けるんだ?」
「さぁな。」
「サヨリに会いてえ」
「お前はそればっかりだな」
僕達は毎日同じ場所でひたすら射撃練習をしていた。
「いつきくん、最近ここ空気が薄く感じない?」
「え?」
「酸素が薄く感じるんだ。」
「君もやっぱりそう思う?」
話しかけてきたのは知らない男だった。
「いきなり話しかけてごめんね、僕はシチって言うんだ。よろしく。」
「僕はいつきだ。よろしく。」
「僕以外にも異変に気づいてる人がいるんだ。体力のない僕は直ぐに気づいたんだけど。」
合格者の中に体調不良で脱落者が何人か出たのは知っていた。
これが原因だったのか。
「僕も最近は立っていられないん………」
バタッ
「お、おい!しっかりしろ!」
シイという男はいきなり倒れてしまった。
係員に運ばれて行ったがその日以降見かけることは無かった。
「合格者の皆様。よくぞ頑張ってくれました。明日、皆様には地上にでて未知の生物の排除をして頂きます。」
それはいきなりだった。
「あまりにもいきなりすぎねーか?」
「いつか来るとは思っていたが……まさか明日だとはな。」
泣き出す者もいた。
僕自身も戸惑いを隠せないでいた。
みんな知っているのだ。
化け物がどんな姿なのかを。
「皆様の活躍を期待しております。」
辞めるといえば何をされるかわからない。
それをみんなはわかっていた。
「あんな化け物に殺されるくらいならここで死んでやる!!!!」
そう言って自殺する者もいた。
髪の毛をむしり取っている人もいる。
余計に嫌な雰囲気が流れた。
「俺も……逃げたい……」
そうきも不安そうだった。
誰もが恐怖を感じていた。
「エマ、私怖いの。」
「どうしたのよ、やこらしくないわ。」
怖かった。
ずっと死ぬことが怖かった。
死んだらどうなるんだろうとか、
私という存在が消えたらどうなるんだろうとか。
そんなことが頭でぐるぐると回るんだ。
「死んだらどうなるの?」
「知らないわよ、死んだことないから。死ぬこともないし。」
「そういえばなんでエマは検査に引っかからなかったの?」
「私にもそれが分からないの。ずっと考えてるんだけど、何か意図でもあるんじゃないかって。」
「エマは生きたくないの?」
「そうね、終わりがない人生はあまりいいものじゃないわ。価値を見出しても意味を与えられても、結局は無意味なの。」
「へぇ~……私にはわかんないや」
エマはいつも愛想笑いをする。
人と関わっているのもあまり見たことがない。
人と距離を置いているようにも見える。
不老不死っていうのはあまり良いものでもないらしい。
「今日はもう寝ましょ。」
「うん。」
「そうきはあまりよく眠れなかったみたいだな?」
「意外とびびりなんだな」
「うるさーい!ビビってなんかないさ!」
僕達は変な服に着替えさせられた。
「皆様、スーツには着替えて頂きましたでしょうか?」
大きさがやけにぴったりだった。
「そちらのスーツを着ていれば感染のおそれはほぼないと言っていいでしょう。」
(ほぼ……?)
「それでは皆様!あちらの車にお乗り下さい。」
久々に出る地上はやけに太陽が眩しくて目を背けたくなるような景色が広がっていた。
しかし、銃の詳細については教えてくれなかった。
「俺達一体いつまで続けるんだ?」
「さぁな。」
「サヨリに会いてえ」
「お前はそればっかりだな」
僕達は毎日同じ場所でひたすら射撃練習をしていた。
「いつきくん、最近ここ空気が薄く感じない?」
「え?」
「酸素が薄く感じるんだ。」
「君もやっぱりそう思う?」
話しかけてきたのは知らない男だった。
「いきなり話しかけてごめんね、僕はシチって言うんだ。よろしく。」
「僕はいつきだ。よろしく。」
「僕以外にも異変に気づいてる人がいるんだ。体力のない僕は直ぐに気づいたんだけど。」
合格者の中に体調不良で脱落者が何人か出たのは知っていた。
これが原因だったのか。
「僕も最近は立っていられないん………」
バタッ
「お、おい!しっかりしろ!」
シイという男はいきなり倒れてしまった。
係員に運ばれて行ったがその日以降見かけることは無かった。
「合格者の皆様。よくぞ頑張ってくれました。明日、皆様には地上にでて未知の生物の排除をして頂きます。」
それはいきなりだった。
「あまりにもいきなりすぎねーか?」
「いつか来るとは思っていたが……まさか明日だとはな。」
泣き出す者もいた。
僕自身も戸惑いを隠せないでいた。
みんな知っているのだ。
化け物がどんな姿なのかを。
「皆様の活躍を期待しております。」
辞めるといえば何をされるかわからない。
それをみんなはわかっていた。
「あんな化け物に殺されるくらいならここで死んでやる!!!!」
そう言って自殺する者もいた。
髪の毛をむしり取っている人もいる。
余計に嫌な雰囲気が流れた。
「俺も……逃げたい……」
そうきも不安そうだった。
誰もが恐怖を感じていた。
「エマ、私怖いの。」
「どうしたのよ、やこらしくないわ。」
怖かった。
ずっと死ぬことが怖かった。
死んだらどうなるんだろうとか、
私という存在が消えたらどうなるんだろうとか。
そんなことが頭でぐるぐると回るんだ。
「死んだらどうなるの?」
「知らないわよ、死んだことないから。死ぬこともないし。」
「そういえばなんでエマは検査に引っかからなかったの?」
「私にもそれが分からないの。ずっと考えてるんだけど、何か意図でもあるんじゃないかって。」
「エマは生きたくないの?」
「そうね、終わりがない人生はあまりいいものじゃないわ。価値を見出しても意味を与えられても、結局は無意味なの。」
「へぇ~……私にはわかんないや」
エマはいつも愛想笑いをする。
人と関わっているのもあまり見たことがない。
人と距離を置いているようにも見える。
不老不死っていうのはあまり良いものでもないらしい。
「今日はもう寝ましょ。」
「うん。」
「そうきはあまりよく眠れなかったみたいだな?」
「意外とびびりなんだな」
「うるさーい!ビビってなんかないさ!」
僕達は変な服に着替えさせられた。
「皆様、スーツには着替えて頂きましたでしょうか?」
大きさがやけにぴったりだった。
「そちらのスーツを着ていれば感染のおそれはほぼないと言っていいでしょう。」
(ほぼ……?)
「それでは皆様!あちらの車にお乗り下さい。」
久々に出る地上はやけに太陽が眩しくて目を背けたくなるような景色が広がっていた。
0
お気に入りに追加
0
あなたにおすすめの小説
薄い彼女
りゅう
SF
今年、大学四年になる神岡龍一は迷っていた。
就職先を決められないのだ。
そんな時、付き合っていた彼女の一言で彼の人生は大きく変わることになった。
彼女はこう言ったのだ。
「私には予知能力があるの」
もちろん、この一言で彼の人生は変わるのだが、それよりも驚いたのは彼女の存在確率が極めて低いという事実だった。
CoSMoS ∞ MaCHiNa ≠ ReBiRTH
L0K1
SF
機械仕掛けの宇宙は僕らの夢を見る――
西暦2000年――
Y2K問題が原因となり、そこから引き起こされたとされる遺伝子突然変異によって、異能超人が次々と誕生する。
その中で、元日を起点とし世界がタイムループしていることに気付いた一部の能力者たち。
その原因を探り、ループの阻止を試みる主人公一行。
幾度となく同じ時間を繰り返すたびに、一部の人間にだけ『メメント・デブリ』という記憶のゴミが蓄積されるようになっていき、その記憶のゴミを頼りに、彼らはループする世界を少しずつ変えていった……。
そうして、訪れた最終ループ。果たして、彼らの運命はいかに?
何不自由のない生活を送る高校生『鳳城 さとり』、幼馴染で彼が恋心を抱いている『卯月 愛唯』、もう一人の幼馴染で頼りになる親友の『黒金 銀太』、そして、謎の少女『海風 愛唯』。
オカルト好きな理系女子『水戸 雪音』や、まだ幼さが残るエキゾチック少女『天野 神子』とともに、世界の謎を解き明かしていく。
いずれ、『鳳城 さとり』は、謎の存在である『世界の理』と、謎の人物『鳴神』によって、自らに課せられた残酷な宿命を知ることになるだろう――
日本国転生
北乃大空
SF
女神ガイアは神族と呼ばれる宇宙管理者であり、地球を含む太陽系を管理して人類の歴史を見守ってきた。
或る日、ガイアは地球上の人類未来についてのシミュレーションを実施し、その結果は22世紀まで確実に人類が滅亡するシナリオで、何度実施しても滅亡する確率は99.999%であった。
ガイアは人類滅亡シミュレーション結果を中央管理局に提出、事態を重くみた中央管理局はガイアに人類滅亡の回避指令を出した。
その指令内容は地球人類の歴史改変で、現代地球とは別のパラレルワールド上に存在するもう一つの地球に干渉して歴史改変するものであった。
ガイアが取った歴史改変方法は、国家丸ごと転移するもので転移する国家は何と現代日本であり、その転移先は太平洋戦争開戦1年前の日本で、そこに国土ごと上書きするというものであった。
その転移先で日本が世界各国と開戦し、そこで起こる様々な出来事を超人的な能力を持つ女神と天使達の手助けで日本が覇権国家になり、人類滅亡を回避させて行くのであった。
新・三国志
明日ハレル
SF
皆さんも三国志はご存じですね、私も学生の頃嵌って読みふけりました。丁度図書委員をしていたので放課後遅くまで図書館で読んでいたのを思い出します。
三国志を見ていると弱い劉備と強い曹操を見て何時も不思議に思っていました。劉備の配下には曹操配下の猛将に劣らない関羽、張飛、趙雲等の勇将が居るのに、なぜ?何時も負けているのか?
劉備も漸く軍師諸葛亮を得て蜀と言う辺境の小国の主となりますが、漢王朝の復興も出来ないまま死んでいきます。
反三国志等が出て、徐庶の母親を趙雲が助けて、鳳士元、諸葛亮、徐元直の3名の軍師が揃って、劉備が曹操を打倒する物語もあります。
他だ黄巾党が滅んだ時点で軍師なり有能な文官が付いていれば1国の主となり、曹操や孫権、董卓や袁紹等にも対抗で来たのではないでしょうか?
兎も角劉備に漢帝国を再興して欲しいので、この物語を書きました。是非、皆さんも応援してください!
9歳になり早くに父親を失った劉備は従兄らと長安を牛耳る秦王劉星玄に招集され、彼の一番下の息子となる。秦王には16名の息子があり、それぞれが英雄クラスの武官・文官であった。
彼らの教育を受けながら劉備は成長して行く、10歳になり幼年学校に進み同じく劉氏の子弟達と争いながらも成長して行く。幼年学校を3年で納めた劉備は12歳で高校に進んだ。
劉備はここで知己を得て人脈を築いていく、師範級の兄達に幼少時から剣術、槍術、弓術、太極拳等を叩き込まれた劉備は学生では敵う者がなかった。高校を是も2年で終わらせ大学へ進む。
大学では学生以外に学者や官吏、商人とも接する機会があり、劉備の人脈は急速に拡大した。
大学を3年で終わらせ劉備は18歳で南陽の丞(太守の副官)となり政治の世界に入った。
これから太守を目指して勉学に勤しむ劉備の姿があった。
蒼空のイーグレット
黒陽 光
SF
――――青年が出逢ったのは漆黒の翼と、紅蓮の乙女だった。
桐山翔一は雨の降る夜更け頃、異形の戦闘機を目撃する。漆黒のそれはYSF-2/A≪グレイ・ゴースト≫。操縦にESP能力を必要とする、真なる超能力者にしか操れない人類の切り札だった。
その戦闘機を駆る超能力者の少女、アリサ・メイヤードと出逢ったことで、彼の運命は急速に動き始める。人類が秘密裏に戦い続けていた異形の敵、地球へ侵攻を始めた謎の異星体『レギオン』。外宇宙からもたらされた重力制御装置『ディーンドライヴ』と、それを利用し大宇宙を駆ける銀翼・空間戦闘機。この世界は嘘だらけだった。嘘で塗り固めた虚構の中で、人々は生き続けて……いいや、生かされ続けてきたのだ。偽りの歴史の中で、何も知らぬままに。
運命に導かれるままに出逢いを果たし、そして世界の裏側と真実を知った翔一は、それでも飛びたいと願ったのだ。この蒼い空を、彼女となら何処までも飛べると感じた、この空を――――。
大いなる空と漆黒の宇宙、果てなき旅路に黒翼が舞い上がる。
SFフライト・アクション小説、全力出撃開始。
※カクヨムでも連載中。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる