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終わりの後の始まりは
心の赴くままに
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雅和との関係を世間一般の型にはめなくてもいいのではと佐知は思い始めていた。絆が断ち切られぬ限り二人の関係は不変なのだと佐知は自分に言い聞かせていた。
泉から連絡が入ったのはそんな時だった。
「お久しぶりでございます ご無沙汰しておりましたが佐知さんも秀和坊ちゃんも御変りございませんか」
「おかげさまで親子共々元気に暮らしています」
「それならようございました 今日は雅和さんから伝言を申しつけられましたのでお電話いたしました」
「井川君も元気にしているのでしょうか」
「はい、いつもと変わらず精力的にお仕事しておられますよ その雅和さんの帰国の件なのでございますが当初の予定よりも遅れると申しておりました はっきりした帰国日は追って連絡下さるそうですのでその時は又ご連絡致しますね 佐知さんわたくし雅和坊っちゃんのお帰りをそれは楽しみにしておりましたから予定日が長くなると聞いた途端力が抜けて床に座り込んでしまいました 電話を切ったら急に悲しくなって涙が溢れて・・」
「泉さん・・大丈夫ですか」
「あっごめんなさいね佐知さん わたくしが人様に弱音を吐くなんて初めてでございます」
「泉さんわたし嬉しいわ 心許せる人にしか自分の弱さは見せられないわ 泉さん私たちは家族同然なんだもの謝らないでいいのよ」
「佐知さんはいつもお優しいですね 私たちは家族その言葉で元気が戻ってまいりました 佐知さんありがとうございます」
「明るい泉さんに戻って良かった泉さん井川君の帰国日がわかったら真っ先に教えてくださいね これから弱音吐きたくなったら遠慮しないでいつでも電話してください私たち家族なんですから」
「勿論でございますとも一番に、お知らせいたします 雅和さんがお帰りになったら佐知さんとまたお会い出来ますよね わたくしはその日が待ち遠しゅうございます 佐知さん坊っちゃんもお体に気をつけてお過ごしくださいませね」
「あっ泉さん、母が電話を代わってほしいと言っていますのでかわりますね」
母と泉の電話は30分にも及んでいた
「泉さんとお母さんはいつから親しい間柄になったの どんな話であんなに長話になるのかな」
「いつも大した話はしてないけどつい長話になるのよね 佐知と真砂子ちゃんの電話と同じよ」
「それならお母さんと泉さんは私と真砂子と同じ仲良しこよしってことだ」
「泉さんは佐知のことで大層お世話になった人よ 佐知の日常を泉さんは折に触れて電話で伝えてくれていたの お父さんとお母さんはあの泉さんが側にいるのなら佐知は大丈夫とだから口も手も出さず見守っていられたのよ お母さんね実直でちょっとだけ天然な泉さんのこと大好きなの」
「私もお母さんと一緒、泉さんは人一倍苦労してきたはずなのにその苦労もいい思い出話にしてしまうような人なのよ」
「長い人生には荒れ狂う波が襲ってくることもあるけどそれは長い歳月を生き抜くための戒めだったりするんじゃないかしらね どんなことが起ころうとも強く生き続けなければならない人の定めを泉さんは当たり前のように実践して生きてきたのね」
「そう言えばおじいちゃんが言っていたよね いい時もそうでない時も変わることなく平常心でいるのが一番だって お母さん覚えている」
「えぇ何かにつけいつも口にしていたわね 泉さんはおじいさんと似ているかも」
「うん、私もそう思う」
母は泉の話は口にするも雅和のことは名前すらのぼらなかった。長電話をするほどの仲である泉から雅和の話を聞いていないわけがないと佐知は確信していた。子供の事は何でも分かってしまうものよと言った部長の言葉をふと思い出した
もしかして母はなにかを感じとっているのかも・・わたし以上に私のことをわかっていたのはお母さんなのかも・・
「お母さん井川君のこと知っているけど会ったことないよね お母さんは彼のことどう思ってるの」
「そうね、佐知がお世話になることが決まって電話でご挨拶しただけだけどとても丁寧な受け答えが好印象でいい青年だと思ったわ」
「一度話しただけでいい青年なんて決めつけていいのかな」
「佐知は知らないでしょうけど彼は頻繁に手紙をくれたのよ 心理カウンセラーの講習に通っていること、食欲旺盛はいいけど体重増加で医師に注意されたこと定期検診の報告、泉さんからは電話報告だったけどその日その日の出来事を事細か彼は手紙で知らせてくれたわ 手紙のことは内緒にしてほしいと頼まれていたから言わなかったけど約束破っちゃったからもう全部話すわね 井川君のアメリカ行きが決まったあと届いた手紙に佐知さんとの将来を自分なりに真剣に考えています。佐知さんにも考えてほしいと伝えてあります
と書かれてあったの こういうことは親が口を挟むことじゃないから何も言わないわ よく考えたうえで井川君には正直に自分の気持ちを伝えなさい 彼のこと泉さんと同じお母さん嫌いじゃないわ」
「どうしてそんな回りくどいこと言うのかな~ 嫌いじゃないってことは好きってことでしょう さっき自分の気持ちを正直に伝えなさいって言ったのはお母さんなんだよ」
「お母さんはお父さんには正直に好きっていくらでも言えるわよ 佐知もお母さんと同じそうでしょ」
「わたし・・井川君のことは」
「やぁね佐知ったらもじもじしちゃってお母さんはお父さんの事を聞いているのに何を勘違いしちゃったのかな」
「もう意地悪なお母さんとなんか話しするのや~めたぁ」
「なに怒っているのよ」
「怒ってなんかいないもん」
「だったらちゃんとこっちを向きなさい 佐知あなたも井川君のことが好きなのよね」
「あなたも・・って他にもだれか」
「なに寝ぼけたことを言っているの お母さんは井川君も佐知も二人は両想いなのかって事を聞いているの」
「お母さん、わたしの気持ちがお母さんにわかるなら教えて」
「なにバカなこと言ってるのお母さんにわかるはずないでしょ 自分の気持ちを佐知自身がわからなくてどうするの 余計なことは考えこまないで心赴くままそれでいいのよ」
「お母さん私がもし又ここを出て行くって言ったら寂しいよね」
あとがき
完結が近づいてまいりました
更新もあとわずかとなり寂しくなりますが最後まで宜しくお願い致します
泉から連絡が入ったのはそんな時だった。
「お久しぶりでございます ご無沙汰しておりましたが佐知さんも秀和坊ちゃんも御変りございませんか」
「おかげさまで親子共々元気に暮らしています」
「それならようございました 今日は雅和さんから伝言を申しつけられましたのでお電話いたしました」
「井川君も元気にしているのでしょうか」
「はい、いつもと変わらず精力的にお仕事しておられますよ その雅和さんの帰国の件なのでございますが当初の予定よりも遅れると申しておりました はっきりした帰国日は追って連絡下さるそうですのでその時は又ご連絡致しますね 佐知さんわたくし雅和坊っちゃんのお帰りをそれは楽しみにしておりましたから予定日が長くなると聞いた途端力が抜けて床に座り込んでしまいました 電話を切ったら急に悲しくなって涙が溢れて・・」
「泉さん・・大丈夫ですか」
「あっごめんなさいね佐知さん わたくしが人様に弱音を吐くなんて初めてでございます」
「泉さんわたし嬉しいわ 心許せる人にしか自分の弱さは見せられないわ 泉さん私たちは家族同然なんだもの謝らないでいいのよ」
「佐知さんはいつもお優しいですね 私たちは家族その言葉で元気が戻ってまいりました 佐知さんありがとうございます」
「明るい泉さんに戻って良かった泉さん井川君の帰国日がわかったら真っ先に教えてくださいね これから弱音吐きたくなったら遠慮しないでいつでも電話してください私たち家族なんですから」
「勿論でございますとも一番に、お知らせいたします 雅和さんがお帰りになったら佐知さんとまたお会い出来ますよね わたくしはその日が待ち遠しゅうございます 佐知さん坊っちゃんもお体に気をつけてお過ごしくださいませね」
「あっ泉さん、母が電話を代わってほしいと言っていますのでかわりますね」
母と泉の電話は30分にも及んでいた
「泉さんとお母さんはいつから親しい間柄になったの どんな話であんなに長話になるのかな」
「いつも大した話はしてないけどつい長話になるのよね 佐知と真砂子ちゃんの電話と同じよ」
「それならお母さんと泉さんは私と真砂子と同じ仲良しこよしってことだ」
「泉さんは佐知のことで大層お世話になった人よ 佐知の日常を泉さんは折に触れて電話で伝えてくれていたの お父さんとお母さんはあの泉さんが側にいるのなら佐知は大丈夫とだから口も手も出さず見守っていられたのよ お母さんね実直でちょっとだけ天然な泉さんのこと大好きなの」
「私もお母さんと一緒、泉さんは人一倍苦労してきたはずなのにその苦労もいい思い出話にしてしまうような人なのよ」
「長い人生には荒れ狂う波が襲ってくることもあるけどそれは長い歳月を生き抜くための戒めだったりするんじゃないかしらね どんなことが起ころうとも強く生き続けなければならない人の定めを泉さんは当たり前のように実践して生きてきたのね」
「そう言えばおじいちゃんが言っていたよね いい時もそうでない時も変わることなく平常心でいるのが一番だって お母さん覚えている」
「えぇ何かにつけいつも口にしていたわね 泉さんはおじいさんと似ているかも」
「うん、私もそう思う」
母は泉の話は口にするも雅和のことは名前すらのぼらなかった。長電話をするほどの仲である泉から雅和の話を聞いていないわけがないと佐知は確信していた。子供の事は何でも分かってしまうものよと言った部長の言葉をふと思い出した
もしかして母はなにかを感じとっているのかも・・わたし以上に私のことをわかっていたのはお母さんなのかも・・
「お母さん井川君のこと知っているけど会ったことないよね お母さんは彼のことどう思ってるの」
「そうね、佐知がお世話になることが決まって電話でご挨拶しただけだけどとても丁寧な受け答えが好印象でいい青年だと思ったわ」
「一度話しただけでいい青年なんて決めつけていいのかな」
「佐知は知らないでしょうけど彼は頻繁に手紙をくれたのよ 心理カウンセラーの講習に通っていること、食欲旺盛はいいけど体重増加で医師に注意されたこと定期検診の報告、泉さんからは電話報告だったけどその日その日の出来事を事細か彼は手紙で知らせてくれたわ 手紙のことは内緒にしてほしいと頼まれていたから言わなかったけど約束破っちゃったからもう全部話すわね 井川君のアメリカ行きが決まったあと届いた手紙に佐知さんとの将来を自分なりに真剣に考えています。佐知さんにも考えてほしいと伝えてあります
と書かれてあったの こういうことは親が口を挟むことじゃないから何も言わないわ よく考えたうえで井川君には正直に自分の気持ちを伝えなさい 彼のこと泉さんと同じお母さん嫌いじゃないわ」
「どうしてそんな回りくどいこと言うのかな~ 嫌いじゃないってことは好きってことでしょう さっき自分の気持ちを正直に伝えなさいって言ったのはお母さんなんだよ」
「お母さんはお父さんには正直に好きっていくらでも言えるわよ 佐知もお母さんと同じそうでしょ」
「わたし・・井川君のことは」
「やぁね佐知ったらもじもじしちゃってお母さんはお父さんの事を聞いているのに何を勘違いしちゃったのかな」
「もう意地悪なお母さんとなんか話しするのや~めたぁ」
「なに怒っているのよ」
「怒ってなんかいないもん」
「だったらちゃんとこっちを向きなさい 佐知あなたも井川君のことが好きなのよね」
「あなたも・・って他にもだれか」
「なに寝ぼけたことを言っているの お母さんは井川君も佐知も二人は両想いなのかって事を聞いているの」
「お母さん、わたしの気持ちがお母さんにわかるなら教えて」
「なにバカなこと言ってるのお母さんにわかるはずないでしょ 自分の気持ちを佐知自身がわからなくてどうするの 余計なことは考えこまないで心赴くままそれでいいのよ」
「お母さん私がもし又ここを出て行くって言ったら寂しいよね」
あとがき
完結が近づいてまいりました
更新もあとわずかとなり寂しくなりますが最後まで宜しくお願い致します
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