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人生の機微
けじめと決意11
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「彼の母親、彼女は財務省に勤めていてご主人も確か省庁勤めのはず。そんな二人の間に生まれた彼は傍から見れば羨ましい限りだったでしょうね でも隣の芝生は青く見えるもの 家庭の内情は羨ましいとはいえなかったわ 彼はいつしか両親と口をきかなくなったの 別人のように急変した息子との関係がどんどん拗れて眠れなくなった彼女は体調を崩してしまって」
「それで西條病院に来たのですね」
「待合室にいた彼女の衰弱ぶりが尋常じゃなくて声をかけたのが縁で悩みを相談されるようになったのよ」
「彼のご両親はそろってエリートなんですね 期待に応えられないと言った彼の気持ちがわかるような気がします」
「彼女とご主人は生まれた時から恵まれた環境で何不自由なく難なく人生を渡ってきたんでしょうね だから息子も自分たちと同じなのだと疑わずにいたのね だけど子どもに親の望む人生を強いるなんて時代錯誤もいいとこよね 彼女とご主人には最良の人生だったのかもしれないけれどそれが子供にとって最良でないことに二人はもっと早く気づくべきだった 両親に逆らえず言いなりになってきた純真無垢な彼のこれまでの人生が不憫に思えて仕方なかったわ そんなとき彼女の自宅に招かれて偶然彼と会うことができたの」
「彼と話すことはできたのですか」
「えぇ彼を紹介されたとき電話が鳴って彼女席を外したその時」
「どんな会話を」
「彼女から息子の気持ちを聞いてほしいと言われていたからお節介を承知で言ってやったわ
あなたはもう少年じゃない その気になれば家を出て一人で生活できるいっぱしの青年なの 絶望に近い環境でもあきらめず頑張って夢を達成した人を何人も知っているわ もし今日が人生最後の日だとしてやっておけばよかったと思うこと何かある?やりたかったことが浮かんでいるのならおやりなさい 誰もが羨む恵まれた環境に生まれた君がちっとも幸せに見えないのは何故なのかしらね 人生を生かすも殺すも自分次第このまま生きるのもあなたの勝手だけどやりたいことがあるなら行動を起こさないと何も始まらないとおもわない 言い終えたその時に彼女が戻ってきたから彼の気持ちは聞けなかったけど彼は少しずつ変わっていったわ 服装は変わらなかったけどね」
「お義母さんが彼を変えたのかもしれませんね 親への反抗手段だとしてもあんな恰好しなくてもと思うんだけど」
「うふふそうね でも自分の夢の実現に努力していく彼を見守ってあげたいわ」
「彼はちゃんと自分の将来を見据えていましたよ お父さんに自分の夢を話す決心もついたようですし」
「彼がそんなことを、ならもう大丈夫だわ これで彼の母親も子育てが間違っていたなんて自分を責めて苦しむ日々から解放されるわね」
「子供って成長して大きくなっても大変なんですね」
「子育てに終わりはないと思った方がいいのかもしれないわね なにがあれども親はど~んと胸を張って子供と向き合い受け止めるしかないみたいよ そういえば患者さんで子育ては人生で一番貴重で幸せな時間だったと言った人がいたわね」
「お義母さんが人生で幸せだと思ったのいつですか」
「佐知さんと秀和君に会えた今日が最高に幸せよ」
「質問を変えますね お義母さんが一緒にいて心から幸せだと思えた男性いましたか 院長先生は駄目ですよ」
「実はね佐知さん、こんな私でも一緒になってほしいと言ってくれる人がいたのよ その人とは私が秀行を院長夫妻の養子にしたことを悔やみ苛まれていたときに出会ったの 沈んでいる私に黙って寄り添ってくれる優しい人だった 悲しみを忘れさせてくれる彼の愛を受け入れてもいいと思うようになっていたけどうまくいかなかった」
「そんないい人に出会えたのにどうして、何があったのですか」
「・・・・」
「お義母さんごめんなさい 根掘り葉降り聞くなんて無神経すぎますよね 今の質問は忘れて下さい」
「それで西條病院に来たのですね」
「待合室にいた彼女の衰弱ぶりが尋常じゃなくて声をかけたのが縁で悩みを相談されるようになったのよ」
「彼のご両親はそろってエリートなんですね 期待に応えられないと言った彼の気持ちがわかるような気がします」
「彼女とご主人は生まれた時から恵まれた環境で何不自由なく難なく人生を渡ってきたんでしょうね だから息子も自分たちと同じなのだと疑わずにいたのね だけど子どもに親の望む人生を強いるなんて時代錯誤もいいとこよね 彼女とご主人には最良の人生だったのかもしれないけれどそれが子供にとって最良でないことに二人はもっと早く気づくべきだった 両親に逆らえず言いなりになってきた純真無垢な彼のこれまでの人生が不憫に思えて仕方なかったわ そんなとき彼女の自宅に招かれて偶然彼と会うことができたの」
「彼と話すことはできたのですか」
「えぇ彼を紹介されたとき電話が鳴って彼女席を外したその時」
「どんな会話を」
「彼女から息子の気持ちを聞いてほしいと言われていたからお節介を承知で言ってやったわ
あなたはもう少年じゃない その気になれば家を出て一人で生活できるいっぱしの青年なの 絶望に近い環境でもあきらめず頑張って夢を達成した人を何人も知っているわ もし今日が人生最後の日だとしてやっておけばよかったと思うこと何かある?やりたかったことが浮かんでいるのならおやりなさい 誰もが羨む恵まれた環境に生まれた君がちっとも幸せに見えないのは何故なのかしらね 人生を生かすも殺すも自分次第このまま生きるのもあなたの勝手だけどやりたいことがあるなら行動を起こさないと何も始まらないとおもわない 言い終えたその時に彼女が戻ってきたから彼の気持ちは聞けなかったけど彼は少しずつ変わっていったわ 服装は変わらなかったけどね」
「お義母さんが彼を変えたのかもしれませんね 親への反抗手段だとしてもあんな恰好しなくてもと思うんだけど」
「うふふそうね でも自分の夢の実現に努力していく彼を見守ってあげたいわ」
「彼はちゃんと自分の将来を見据えていましたよ お父さんに自分の夢を話す決心もついたようですし」
「彼がそんなことを、ならもう大丈夫だわ これで彼の母親も子育てが間違っていたなんて自分を責めて苦しむ日々から解放されるわね」
「子供って成長して大きくなっても大変なんですね」
「子育てに終わりはないと思った方がいいのかもしれないわね なにがあれども親はど~んと胸を張って子供と向き合い受け止めるしかないみたいよ そういえば患者さんで子育ては人生で一番貴重で幸せな時間だったと言った人がいたわね」
「お義母さんが人生で幸せだと思ったのいつですか」
「佐知さんと秀和君に会えた今日が最高に幸せよ」
「質問を変えますね お義母さんが一緒にいて心から幸せだと思えた男性いましたか 院長先生は駄目ですよ」
「実はね佐知さん、こんな私でも一緒になってほしいと言ってくれる人がいたのよ その人とは私が秀行を院長夫妻の養子にしたことを悔やみ苛まれていたときに出会ったの 沈んでいる私に黙って寄り添ってくれる優しい人だった 悲しみを忘れさせてくれる彼の愛を受け入れてもいいと思うようになっていたけどうまくいかなかった」
「そんないい人に出会えたのにどうして、何があったのですか」
「・・・・」
「お義母さんごめんなさい 根掘り葉降り聞くなんて無神経すぎますよね 今の質問は忘れて下さい」
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