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人生の機微
けじめと決意6
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「お母さん、お父さんは親ばかならぬ爺ばかだよね」
「佐知が小さい時もあんな風だったのよ、まったく変わらないわね」
「お父さん親ばかだったんだ」
「可愛くて仕方なかったのね 休日で家にいる時はあなたのそばを一時も離れようとしなかった」
「お父さんそんなに私のことを、うれしいな~」
「お父さんだけじゃないわ 忘れてもらっちゃ困るわ お母さんもあなたが可愛くてたまらなかったのよ」
「お母さん、焼きもちですか」
「とにかく佐知はお父さんとお母さんに愛されて大きくなった事を忘れないで」
「はいはい、両親の深い愛情に感謝します」
「その二つ返事はやめなさい 秀和が真似したらどうするの」
「はーい、気を付けま~す」
「はいはい」は止めろと母と同じことを言っていた雅和を思い出した。佐知が自宅に戻って雅和を思い出すのはこれが初めてだった。
アメリカで頑張っている姿を想像しながら佐知は雅和の家で共に過ごした日々を懐かしく思い起こしていた。そんな時父の大きな声がした。
「オーイ早く来てくれ、秀和がウンチしているぞ~」
「今行くからそのまま待ってて 結局お父さんに任せるといつもこうなるんだよね」
「うふっふ、お父さんは昔と同じね 佐知が幼かったあの頃が懐かしいわ」
「いやだなぁ~お母さん、思い出し笑いなんかして」
「思い浮かぶのは楽しかった事ばかり・・不思議よね、子育ては決して楽じゃなかったのに。困ったり手を焼いたり泣いている佐知と一緒に泣きたくなったり大変な事も沢山あったはずなのに」
「お母さん私これまで辛いとか嫌だとか思ったことないよ 秀和といられる毎日が楽しくて仕方ないの でもお母さんが言うように子育ては楽じゃないってことは十分承知してる いつか大きな壁にぶつかる日が来ることも覚悟して、秀和をしっかり育ててゆくつもりよ」
「それなら母親としての佐知に及第点をあげられるわね」
「お~い何してるんだ、佐知、母さんどっちでもいから早く来てくれ~」
「はいはい、いま行きますよ~」
「また~そのハイハイは止めなさいと言ったばかりでしょ佐知」
「はい、では私は父上の援護に行ってきますので母上は朝食の支度をお願いしまぁ~す」
「はいはい、いいから早く行ってあげなさい」
「あぁ~お母さん今はいはいって言ったよ はいはいって移るんだね」
「だから秀和には移さないようにはいはいは止めなさい ほら早く秀和のオムツかえてあげないと可哀想よ」
「はいわかりました~」
「いい返事だわ それなら秀和のいいお手本になるわね」
やっぱり我が家は最高だと佐知はしみじみ思った。
そんな家族がいる君はそれだけで十分幸せ者だと言った雅和の父、柳木沢の言葉が蘇った。柳木沢は心底愛した佐知の実母と幸せな家庭を作りたかったに違いなかった。しかしその実母は柳木沢ではない別の男性と結婚し突然の事故で生涯を終えた。すべて自分のせいだと責め続け後悔の念に満ちた柳木沢が歩んだ人生は歯車がかみ合わなくなったゼンマイ時計のようだった。柳木沢に限らず誰しもがあの時ああしていればと悔いを残すことがあっても不思議ではないと佐知は思っていた。だがたった一度の人生だからこそ悔いなく生きなければならないそれを教えてくれたのは柳木沢と美香そして秀行だった。今は亡き異なる三人の生き様は人生の教訓と言っても過言ではなかった。雅和、柳木沢そして秀行、美香との出会いや別れが佐知の人生に組み込まれたものだったとしてもこれから生きて行く歩みの中で望み通りに自分の人生を刻んで行きたい佐知には何故か分からないがそれが不可能な事とは思えなかった。自分の心ひとつで人生、未来を変える事ができたら人生は希望に満ちて生きやすくなる きっと出来ると佐知は思い始めていた 秀和を生む決断をし、秀行への愛を貫く決意をし、自分の望む心のままアメリカに渡った佐知はあの頃を振り返り自分にも計り知れない力が隠されているのだと思った。思い願う事を手にするためには恐れや不安を払拭し行動に起こすことが必須なのだと感じていた たとえそれが思う結果にならなかったとしても佐知はやれることをやった自分を誉め称えくじけず望む未来のため惜しみない努力を続けていく決意をしていた。
今もなお続く雅和との関係をどうすべきか、雅和からの宿題でもある二人の今後についての答えは未だ見つからないまま月日だけが過ぎていた。しかしその答えはいつか必ず自分の心があぶりだしてくれると佐知は信じ疑わなかった。
心の赴くまま・・
「佐知が小さい時もあんな風だったのよ、まったく変わらないわね」
「お父さん親ばかだったんだ」
「可愛くて仕方なかったのね 休日で家にいる時はあなたのそばを一時も離れようとしなかった」
「お父さんそんなに私のことを、うれしいな~」
「お父さんだけじゃないわ 忘れてもらっちゃ困るわ お母さんもあなたが可愛くてたまらなかったのよ」
「お母さん、焼きもちですか」
「とにかく佐知はお父さんとお母さんに愛されて大きくなった事を忘れないで」
「はいはい、両親の深い愛情に感謝します」
「その二つ返事はやめなさい 秀和が真似したらどうするの」
「はーい、気を付けま~す」
「はいはい」は止めろと母と同じことを言っていた雅和を思い出した。佐知が自宅に戻って雅和を思い出すのはこれが初めてだった。
アメリカで頑張っている姿を想像しながら佐知は雅和の家で共に過ごした日々を懐かしく思い起こしていた。そんな時父の大きな声がした。
「オーイ早く来てくれ、秀和がウンチしているぞ~」
「今行くからそのまま待ってて 結局お父さんに任せるといつもこうなるんだよね」
「うふっふ、お父さんは昔と同じね 佐知が幼かったあの頃が懐かしいわ」
「いやだなぁ~お母さん、思い出し笑いなんかして」
「思い浮かぶのは楽しかった事ばかり・・不思議よね、子育ては決して楽じゃなかったのに。困ったり手を焼いたり泣いている佐知と一緒に泣きたくなったり大変な事も沢山あったはずなのに」
「お母さん私これまで辛いとか嫌だとか思ったことないよ 秀和といられる毎日が楽しくて仕方ないの でもお母さんが言うように子育ては楽じゃないってことは十分承知してる いつか大きな壁にぶつかる日が来ることも覚悟して、秀和をしっかり育ててゆくつもりよ」
「それなら母親としての佐知に及第点をあげられるわね」
「お~い何してるんだ、佐知、母さんどっちでもいから早く来てくれ~」
「はいはい、いま行きますよ~」
「また~そのハイハイは止めなさいと言ったばかりでしょ佐知」
「はい、では私は父上の援護に行ってきますので母上は朝食の支度をお願いしまぁ~す」
「はいはい、いいから早く行ってあげなさい」
「あぁ~お母さん今はいはいって言ったよ はいはいって移るんだね」
「だから秀和には移さないようにはいはいは止めなさい ほら早く秀和のオムツかえてあげないと可哀想よ」
「はいわかりました~」
「いい返事だわ それなら秀和のいいお手本になるわね」
やっぱり我が家は最高だと佐知はしみじみ思った。
そんな家族がいる君はそれだけで十分幸せ者だと言った雅和の父、柳木沢の言葉が蘇った。柳木沢は心底愛した佐知の実母と幸せな家庭を作りたかったに違いなかった。しかしその実母は柳木沢ではない別の男性と結婚し突然の事故で生涯を終えた。すべて自分のせいだと責め続け後悔の念に満ちた柳木沢が歩んだ人生は歯車がかみ合わなくなったゼンマイ時計のようだった。柳木沢に限らず誰しもがあの時ああしていればと悔いを残すことがあっても不思議ではないと佐知は思っていた。だがたった一度の人生だからこそ悔いなく生きなければならないそれを教えてくれたのは柳木沢と美香そして秀行だった。今は亡き異なる三人の生き様は人生の教訓と言っても過言ではなかった。雅和、柳木沢そして秀行、美香との出会いや別れが佐知の人生に組み込まれたものだったとしてもこれから生きて行く歩みの中で望み通りに自分の人生を刻んで行きたい佐知には何故か分からないがそれが不可能な事とは思えなかった。自分の心ひとつで人生、未来を変える事ができたら人生は希望に満ちて生きやすくなる きっと出来ると佐知は思い始めていた 秀和を生む決断をし、秀行への愛を貫く決意をし、自分の望む心のままアメリカに渡った佐知はあの頃を振り返り自分にも計り知れない力が隠されているのだと思った。思い願う事を手にするためには恐れや不安を払拭し行動に起こすことが必須なのだと感じていた たとえそれが思う結果にならなかったとしても佐知はやれることをやった自分を誉め称えくじけず望む未来のため惜しみない努力を続けていく決意をしていた。
今もなお続く雅和との関係をどうすべきか、雅和からの宿題でもある二人の今後についての答えは未だ見つからないまま月日だけが過ぎていた。しかしその答えはいつか必ず自分の心があぶりだしてくれると佐知は信じ疑わなかった。
心の赴くまま・・
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