276 / 292
人生の機微
我が子と歩む未来は
しおりを挟む
「今夜は最後の晩でございますからお二人でゆっくりお話し下さいませ 秀和坊ちゃんには私がついておりますから」
「泉さん、わたし今日は早く休みますから」
「自宅に送る荷物を一人でまとめたんだから疲れただろう 今夜はもう休んだほうがいいよ」
「雅和さんは本当にそれでよろしいのですか わたくしには今の言葉が本心とは思えませんが 佐知さんは明日ここを出て行かれるのでございますよ 雅和さんもアメリカに御発ちになります。お二人がお顔を合せお話しするのも今夜が最後これからはお会いする事もままならないのです 雅和さんは後悔なされぬようご自分の心にしかと向き合い嘘だけは付かないで下さいませ」
「俺は嘘なんかついていないよ でも泉さんが言うとおり今日は最後の晩だ、佐知が平気だったらもう少し二人で話さないか」
「そうね、最後だものね 泉さん秀和をお願いします」
「はい今夜は私の部屋で寝かしつけましょう わたくしは残りの仕事を片付けて秀和ぼっちゃんと先に休ませて頂きますね」
「泉さんすまないね、よろしく」
「お父様の柳木沢様とは大違い、いざという時の押しがきかないそこだけは惜しゅうございますね」
「んっなに・・俺のこと」
「そうでございますよ ではあとは佐知さんにお任せしてわたくしは退散いたしますね お休みなさいませ」
「雅和も泉さんには敵わないみたいね」
「いつもあんな調子さ ここに来る事務所の人たちはお決まりのように二人はまるで親子みたいだなって笑うんだ」
「わかるような気がするわ」
「こうしてゆっくり話すのは佐知がこの家に来て今夜が最初で最後だな」
「泉さんがいないとなんだか落ち着かないわね」
「俺、佐知に聞きたいことがあるんだけどいいかな」
「えぇいいわよ」
「秀和のことだけど、両親のもとに帰るんだから心配ないと思うけど・・」
「秀和のこと心配してくれているの ありがとう」
「余計なことかもしれないけれどこれから秀行を抱えての生活は大変だと思うんだ 実家に戻れば親と同居だから心強いし安心だろうけどだからこそ聞いておきたいんだ 佐知に秀行と生きて行く覚悟が出来ているのか・・親がいないものと仮定して佐知は君一人でも秀行を育て上げる覚悟があるか聞きたかった」
「覚悟は産もうと決めた時にできているわ 雅和は私と秀行のこれからの事を心配しているのね でも先のことは私もだれかに聞きたいくらい分からないの 今はまだ何も考えていないし見えてないけど実家に帰ったらしっかり考えるわ」
「だったら当分は秀和オンリーの生活だな」
「私は秀和がいるから悲しみをはねのけて気丈にしていられるの あの子といるとわたし笑っていられる秀行さんが好きだと言ってくれた笑顔でいられるの これからのことは秀和を育てながら考えるわ しばらくは雅和の言うように秀和オンリーの人生になりそうね」
「佐知なら秀和をしっかり育てて行けると俺が太鼓判を押すよ でも子供を育てるのは並大抵じゃない いくら気丈にしていたって不安や心配はいやでも付きまとうよ」
「雅和は明日香ちゃんがいたからわかるのよね 本心を言えば一人で育ててゆくのは不安ばかりよ でもそれは親だったら誰もが感じることで私に限ったことじゃないでしょ それに私は一人じゃない雅和あなたがいる いつでも助けてくれる雅和という強い見方、助っ人のあなたがいるわ」
「もしその俺が・・いなくなったら佐知きみはどうする」
「秀行さんを亡くした私にどうしてそんなこと聞くの そんな悲しいこと・・答えられない」
「いやでも考えるんだ 秀和としっかり生きてゆくと誓ったのなら俺が居ようが居まいがそんなことに動じるな」
「雅和との絆が切れないようにわたし神に祈り続けるわ 再び巡り会えたあなたとの絆だけは何があっても離したくないの」
知らず知らず涙が溢れていた
「泉さん、わたし今日は早く休みますから」
「自宅に送る荷物を一人でまとめたんだから疲れただろう 今夜はもう休んだほうがいいよ」
「雅和さんは本当にそれでよろしいのですか わたくしには今の言葉が本心とは思えませんが 佐知さんは明日ここを出て行かれるのでございますよ 雅和さんもアメリカに御発ちになります。お二人がお顔を合せお話しするのも今夜が最後これからはお会いする事もままならないのです 雅和さんは後悔なされぬようご自分の心にしかと向き合い嘘だけは付かないで下さいませ」
「俺は嘘なんかついていないよ でも泉さんが言うとおり今日は最後の晩だ、佐知が平気だったらもう少し二人で話さないか」
「そうね、最後だものね 泉さん秀和をお願いします」
「はい今夜は私の部屋で寝かしつけましょう わたくしは残りの仕事を片付けて秀和ぼっちゃんと先に休ませて頂きますね」
「泉さんすまないね、よろしく」
「お父様の柳木沢様とは大違い、いざという時の押しがきかないそこだけは惜しゅうございますね」
「んっなに・・俺のこと」
「そうでございますよ ではあとは佐知さんにお任せしてわたくしは退散いたしますね お休みなさいませ」
「雅和も泉さんには敵わないみたいね」
「いつもあんな調子さ ここに来る事務所の人たちはお決まりのように二人はまるで親子みたいだなって笑うんだ」
「わかるような気がするわ」
「こうしてゆっくり話すのは佐知がこの家に来て今夜が最初で最後だな」
「泉さんがいないとなんだか落ち着かないわね」
「俺、佐知に聞きたいことがあるんだけどいいかな」
「えぇいいわよ」
「秀和のことだけど、両親のもとに帰るんだから心配ないと思うけど・・」
「秀和のこと心配してくれているの ありがとう」
「余計なことかもしれないけれどこれから秀行を抱えての生活は大変だと思うんだ 実家に戻れば親と同居だから心強いし安心だろうけどだからこそ聞いておきたいんだ 佐知に秀行と生きて行く覚悟が出来ているのか・・親がいないものと仮定して佐知は君一人でも秀行を育て上げる覚悟があるか聞きたかった」
「覚悟は産もうと決めた時にできているわ 雅和は私と秀行のこれからの事を心配しているのね でも先のことは私もだれかに聞きたいくらい分からないの 今はまだ何も考えていないし見えてないけど実家に帰ったらしっかり考えるわ」
「だったら当分は秀和オンリーの生活だな」
「私は秀和がいるから悲しみをはねのけて気丈にしていられるの あの子といるとわたし笑っていられる秀行さんが好きだと言ってくれた笑顔でいられるの これからのことは秀和を育てながら考えるわ しばらくは雅和の言うように秀和オンリーの人生になりそうね」
「佐知なら秀和をしっかり育てて行けると俺が太鼓判を押すよ でも子供を育てるのは並大抵じゃない いくら気丈にしていたって不安や心配はいやでも付きまとうよ」
「雅和は明日香ちゃんがいたからわかるのよね 本心を言えば一人で育ててゆくのは不安ばかりよ でもそれは親だったら誰もが感じることで私に限ったことじゃないでしょ それに私は一人じゃない雅和あなたがいる いつでも助けてくれる雅和という強い見方、助っ人のあなたがいるわ」
「もしその俺が・・いなくなったら佐知きみはどうする」
「秀行さんを亡くした私にどうしてそんなこと聞くの そんな悲しいこと・・答えられない」
「いやでも考えるんだ 秀和としっかり生きてゆくと誓ったのなら俺が居ようが居まいがそんなことに動じるな」
「雅和との絆が切れないようにわたし神に祈り続けるわ 再び巡り会えたあなたとの絆だけは何があっても離したくないの」
知らず知らず涙が溢れていた
0
お気に入りに追加
4
あなたにおすすめの小説
Last Recrudescence
睡眠者
現代文学
1998年、核兵器への対処法が発明された以来、その故に起こった第三次世界大戦は既に5年も渡った。庶民から大富豪まで、素人か玄人であっても誰もが皆苦しめている中、各国が戦争進行に。平和を自分の手で掴めて届けようとする理想家である村山誠志郎は、辿り着くためのチャンスを得たり失ったりその後、ある事件の仮面をつけた「奇跡」に訪れられた。同時に災厄も生まれ、その以来化け物達と怪獣達が人類を強襲し始めた。それに対して、誠志郎を含めて、「英雄」達が生れて人々を守っている。犠牲が急増しているその惨劇の戦いは人間に「災慝(さいとく)」と呼ばれている。
ちょっと大人な体験談はこちらです
神崎未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない
ちょっと大人な体験談です。
日常に突然訪れる刺激的な体験。
少し非日常を覗いてみませんか?
あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ?
※本作品ではPixai.artで作成した生成AI画像ならびに
Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。
※不定期更新です。
※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。
微熱の午後 l’aprés-midi(ラプレミディ)
犬束
現代文学
夢見心地にさせるきらびやかな世界、優しくリードしてくれる年上の男性。最初から別れの定められた、遊びの恋のはずだった…。
夏の終わり。大学生になってはじめての長期休暇の後半をもてあます葉《よう》のもとに知らせが届く。
“大祖父の残した洋館に、映画の撮影クルーがやって来た”
好奇心に駆られて訪れたそこで、葉は十歳年上の脚本家、田坂佳思《けいし》から、ここに軟禁されているあいだ、恋人になって幸福な気分で過ごさないか、と提案される。
《第11回BL小説大賞にエントリーしています。》☜ 10月15日にキャンセルしました。
読んでいただけるだけでも、エールを送って下さるなら尚のこと、お腹をさらして喜びます🐕🐾
小さなことから〜露出〜えみ〜
サイコロ
恋愛
私の露出…
毎日更新していこうと思います
よろしくおねがいします
感想等お待ちしております
取り入れて欲しい内容なども
書いてくださいね
よりみなさんにお近く
考えやすく
💚催眠ハーレムとの日常 - マインドコントロールされた女性たちとの日常生活
XD
恋愛
誰からも拒絶される内気で不細工な少年エドクは、人の心を操り、催眠術と精神支配下に置く不思議な能力を手に入れる。彼はこの力を使って、夢の中でずっと欲しかったもの、彼がずっと愛してきた美しい女性たちのHAREMを作り上げる。
ママと中学生の僕
キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。
サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由
フルーツパフェ
大衆娯楽
クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。
トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。
いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。
考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。
赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。
言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。
たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。
ガラスの森
菊池昭仁
現代文学
自由奔放な女、木ノ葉(このは)と死の淵を彷徨う絵描き、伊吹雅彦は那須の別荘で静かに暮らしていた。
死を待ちながら生きることの矛盾と苦悩。愛することの不条理。
明日が不確実な男は女を愛してもいいのだろうか? 愛と死の物語です。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる