274 / 316
人生の機微
我が子と歩む未来は
しおりを挟む
「泉さん、今日のケーキはなあに」
「アプリコットを練りこんで作りましたケーキでございますよ さぁたんと召し上がれ」
「う~ん今日のケーキも美味しいアプリコットのこの香り、癒されるぅ~」
「佐知おまえは食べているときスッゴク幸せな顔を見せるよね」
「佐知さんのそのお顔が見たくてわたくしケーキを焼いているのですから嬉しゅうございます 雅和さんは淡々とお召し上がるだけでございますから」
「それは申し訳ない でも俺は男だし男はみんなそんなもんだろう」
「雅和いまはスイーツ大好き男子もいる時代なのよ 俺は男だし、なんてドラマの森田健作じゃあるまいし古いふるい」
「時代って・・お前こそ森田健作なんていつの時代の人なんだ」
「はいはい、私は古臭い昭和の匂いプンプンの女ですよ~」
「おまえな、いい加減ハイハイはやめろって言ってるだろう」
「仲の良いお二人のお話を中断させて申し訳ございませんがよろしいでしょうか」
「今まで和泉さんは話し中に割り込んでくること一度もなかったわ私たちに何か話しがあるのですね」
「申し訳ございません たわいのないことではございますが、わたくし佐知さんが此処にお戻りになるご意思は御有りなのかそれをお聞きしたくて」
「泉さんごめんなさい 必ず戻ってきますと今は・・でもその答えが見つかったらその時は真っ先に泉さんに報告しますね もう泉さんは私の家族同然なのですから、だから雅和がアメリカに行っても秀和と一緒に泉さんがいるこの家に会いに来ます」
「この家で生活した俺たちみんな家族も同然なんだ いつだってここではみんな家族になれる 佐知また会いにこい、必ず会いに来るんだぞ それを一番望んでいるのは目の前にいる泉さんなんだ だから約束だ、佐知は泉さんとの繋がりをなくさないでくれ」
「分かってます ここで暮らす私のお母さんは泉さんだったわ だから泉さんに出会えたこのご縁は生涯ずっと大切に繋げていきたいと思っているわ」
「佐知さん心に染み渡るお言葉を本当にありがとうございます お二人がいなくなってしまうのはおさみしゅうございますが何かを始めるとき誰しもみんなゼロからでございます 全てを手離したとき新たな何かが始まるものでございます きっとこれからお二人の関係も同じでございましょう」
「ほらきた~ 俺たちの関係も同じ?わからないことまた言い始めたぞ」
「私には泉さんが言おうとしていることがわかる気がするわ」
「女同士はわかりあえていいな」
「同年代は殿方より女性のほうが精神的に大人でございますからね」
「それはないだろう、泉さん気を付けたほうがいいよ、泉さん最近恐ろしいくらい佐知に似てきたから」
「佐知さんと似てきたなんてまるで親子みたいでわたくしは嬉しゅうございますよ」
「二人には何を言ってもけむに巻かれそうだな」
「私たちには敵わないってやっとわかったみたいね」
「ハイハイ、俺の負けです 立て板に水の女どもには負けました」
「雅和さん、ハイハイはいけませんのでは」
「泉さんやっぱり佐知に似てきたよ」
「家族はどこかしら似るものでございます 雅和坊っちゃんがお父様の柳木沢様に似てきたように」
「泉さん、俺のこと坊っちゃんと言うのだけは止めてほしいな」
「いいじゃない泉さんは幼少の坊っちゃんだった雅和を見てきたんだもの仕方ないわ ねぇ泉さん、此処で暮らした私たちは家族でしたよね」
「はい、仲良しの佐知さんと雅和さんは我が子のようでございました」
この家を去ると決めた佐知だったが、此処での血族のない三人の生活がたまらなく愛おしくてならなかった。その生活に別れを告げなければならない時は刻々と近付いていた。
「アプリコットを練りこんで作りましたケーキでございますよ さぁたんと召し上がれ」
「う~ん今日のケーキも美味しいアプリコットのこの香り、癒されるぅ~」
「佐知おまえは食べているときスッゴク幸せな顔を見せるよね」
「佐知さんのそのお顔が見たくてわたくしケーキを焼いているのですから嬉しゅうございます 雅和さんは淡々とお召し上がるだけでございますから」
「それは申し訳ない でも俺は男だし男はみんなそんなもんだろう」
「雅和いまはスイーツ大好き男子もいる時代なのよ 俺は男だし、なんてドラマの森田健作じゃあるまいし古いふるい」
「時代って・・お前こそ森田健作なんていつの時代の人なんだ」
「はいはい、私は古臭い昭和の匂いプンプンの女ですよ~」
「おまえな、いい加減ハイハイはやめろって言ってるだろう」
「仲の良いお二人のお話を中断させて申し訳ございませんがよろしいでしょうか」
「今まで和泉さんは話し中に割り込んでくること一度もなかったわ私たちに何か話しがあるのですね」
「申し訳ございません たわいのないことではございますが、わたくし佐知さんが此処にお戻りになるご意思は御有りなのかそれをお聞きしたくて」
「泉さんごめんなさい 必ず戻ってきますと今は・・でもその答えが見つかったらその時は真っ先に泉さんに報告しますね もう泉さんは私の家族同然なのですから、だから雅和がアメリカに行っても秀和と一緒に泉さんがいるこの家に会いに来ます」
「この家で生活した俺たちみんな家族も同然なんだ いつだってここではみんな家族になれる 佐知また会いにこい、必ず会いに来るんだぞ それを一番望んでいるのは目の前にいる泉さんなんだ だから約束だ、佐知は泉さんとの繋がりをなくさないでくれ」
「分かってます ここで暮らす私のお母さんは泉さんだったわ だから泉さんに出会えたこのご縁は生涯ずっと大切に繋げていきたいと思っているわ」
「佐知さん心に染み渡るお言葉を本当にありがとうございます お二人がいなくなってしまうのはおさみしゅうございますが何かを始めるとき誰しもみんなゼロからでございます 全てを手離したとき新たな何かが始まるものでございます きっとこれからお二人の関係も同じでございましょう」
「ほらきた~ 俺たちの関係も同じ?わからないことまた言い始めたぞ」
「私には泉さんが言おうとしていることがわかる気がするわ」
「女同士はわかりあえていいな」
「同年代は殿方より女性のほうが精神的に大人でございますからね」
「それはないだろう、泉さん気を付けたほうがいいよ、泉さん最近恐ろしいくらい佐知に似てきたから」
「佐知さんと似てきたなんてまるで親子みたいでわたくしは嬉しゅうございますよ」
「二人には何を言ってもけむに巻かれそうだな」
「私たちには敵わないってやっとわかったみたいね」
「ハイハイ、俺の負けです 立て板に水の女どもには負けました」
「雅和さん、ハイハイはいけませんのでは」
「泉さんやっぱり佐知に似てきたよ」
「家族はどこかしら似るものでございます 雅和坊っちゃんがお父様の柳木沢様に似てきたように」
「泉さん、俺のこと坊っちゃんと言うのだけは止めてほしいな」
「いいじゃない泉さんは幼少の坊っちゃんだった雅和を見てきたんだもの仕方ないわ ねぇ泉さん、此処で暮らした私たちは家族でしたよね」
「はい、仲良しの佐知さんと雅和さんは我が子のようでございました」
この家を去ると決めた佐知だったが、此処での血族のない三人の生活がたまらなく愛おしくてならなかった。その生活に別れを告げなければならない時は刻々と近付いていた。
0
お気に入りに追加
4
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。


サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由
フルーツパフェ
大衆娯楽
クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。
トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。
いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。
考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。
赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。
言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。
たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。

クラスメイトの美少女と無人島に流された件
桜井正宗
青春
修学旅行で離島へ向かう最中――悪天候に見舞われ、台風が直撃。船が沈没した。
高校二年の早坂 啓(はやさか てつ)は、気づくと砂浜で寝ていた。周囲を見渡すとクラスメイトで美少女の天音 愛(あまね まな)が隣に倒れていた。
どうやら、漂流して流されていたようだった。
帰ろうにも島は『無人島』。
しばらくは島で生きていくしかなくなった。天音と共に無人島サバイバルをしていくのだが……クラスの女子が次々に見つかり、やがてハーレムに。
男一人と女子十五人で……取り合いに発展!?

【完結】ぎゅって抱っこして
かずえ
BL
幼児教育学科の短大に通う村瀬一太。訳あって普通の高校に通えなかったため、働いて貯めたお金で二年間だけでもと大学に入学してみたが、学費と生活費を稼ぎつつ学校に通うのは、考えていたよりも厳しい……。
でも、頼れる者は誰もいない。
自分で頑張らなきゃ。
本気なら何でもできるはず。
でも、ある日、金持ちの坊っちゃんと心の中で呼んでいた松島晃に苦手なピアノの課題で助けてもらってから、どうにも自分の心がコントロールできなくなって……。
命を狙われたお飾り妃の最後の願い
幌あきら
恋愛
【異世界恋愛・ざまぁ系・ハピエン】
重要な式典の真っ最中、いきなりシャンデリアが落ちた――。狙われたのは王妃イベリナ。
イベリナ妃の命を狙ったのは、国王の愛人ジャスミンだった。
短め連載・完結まで予約済みです。設定ゆるいです。
『ベビ待ち』の女性の心情がでてきます。『逆マタハラ』などの表現もあります。苦手な方はお控えください、すみません。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる