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人生の機微
新たな命と共に4
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夕食後、町内の会合に出かける父を見送った佐知は母に今までの経緯を告白するには今が好都合だと思った。母と並んで食事の後片付けをしながら話すタイミングを探していた。それは洗い物を終えた母が食器を棚に戻そうと佐知に向きを変えた時だった。
「お母さん・・わたし病院をやめたの 黙っていてごめんなさい」
「今の仕事は天職だから楽しいって言っていた佐知だから何かあったのね」
「お母さんわたしね心理カウンセラーという資格を取りたいの でも病院を辞めた一番の理由はそれじゃなくて西條先生」
「西條先生と気まずくなったの」
「そうじゃなくてその逆」
「逆っていうことはうまくいっているのね なら辞める理由なんてないじゃない」
「お母さんごめんなさい、おなかに赤ちゃんがいるの 反対されても産みたい、わたし産む覚悟は出来てるの」
ダイニングテーブルに母と向い合わせに座った佐知は秀行が病気でアメリカにいること、昔お付き合いしていた雅和と秀行二人の関係、事務員だった泉さんと家族同然に暮らしている雅和の家に子供が生まれるまで居候させてもらうこと全てを打ち明けた。しばらく黙りこくっていた母が穏やかな口調で佐知に語りかけてきた。
「ねぇさち、さちはお父さんとお母さんに出会って幸せだった?お母さんは施設であなたを一目見た時、この子と一緒なら幸せになれると思ったのよ 両親を知らないあなたを誰よりも幸せに幸せが服をまとったような子供にしてみせるとあなたの亡き両親に誓ったのが昨日のことのように思えるわ
幸せにしてやりたいと願ったわたしとお父さんはいつからかあなたに幸せをもらっていた お父さんとお母さんの計り知れない幸せは全てさちが運んでくれたものなのよ」
「わたしもお母さんとお父さんの子供になれてよかった出会えてよかったって本当にそう思っている 幸せな子供その通りに育ててもらったわ お母さんが私にしてくれたように今度はおなかの子供を幸せにしてあげたいの お母さんと同じ私もこの子と一緒に幸せになりたい もらった幸せをわが子に繋げることがお父さんとお母さんへの恩返しそう思っているの」
「自分の道を歩き出すさちにエールを送るわ お母さんはさちが決めた選択を信じているから反対はしない でも決めたからにはそこには重い責任が生じるのよ だからどんなことがあっても負けない気持ちだけは持っていなさいね 困ったときは一番の味方であるお父さんとお母さんを思いだすのよ お母さんはいつだってさちの力になるそれだけは忘れないで」
「おかあさんありがとう」
「そうだお父さんにはこのことはしばらく伏せておきましょう 頃合いを見てお母さんがうまく話しておくから任せなさい」
「お父さん卒倒して寝込んじゃうかもね」
「そうよ、さちをまだまだ子供だと思っていたいお父さんにはきついわね お父さんには悪いけど当分はお母さんとさちの秘密にしておきましょう」
「うん」
まもなくして母は妊娠のことを伏せた上で佐知が資格を取るために家を出ることを父に話し承諾を取り付けてくれた。
「さち体に気を付けて頑張るんだぞ ここはお前の家だ、寂しくなったら帰ってくるんだよ」
「うん、わたし頑張るからお父さんお母さんも体に気を付けてね」
施設から佐知を引き取り温かく迎え入れてくれた両親が寂しさを隠して笑顔で見送る姿に万感の思いが込み上げていた。心強い助っ人雅和の力を借り、秀行の子供を産もうとしている佐知の新たな旅立ちが始まろうとしていた。
「お母さん・・わたし病院をやめたの 黙っていてごめんなさい」
「今の仕事は天職だから楽しいって言っていた佐知だから何かあったのね」
「お母さんわたしね心理カウンセラーという資格を取りたいの でも病院を辞めた一番の理由はそれじゃなくて西條先生」
「西條先生と気まずくなったの」
「そうじゃなくてその逆」
「逆っていうことはうまくいっているのね なら辞める理由なんてないじゃない」
「お母さんごめんなさい、おなかに赤ちゃんがいるの 反対されても産みたい、わたし産む覚悟は出来てるの」
ダイニングテーブルに母と向い合わせに座った佐知は秀行が病気でアメリカにいること、昔お付き合いしていた雅和と秀行二人の関係、事務員だった泉さんと家族同然に暮らしている雅和の家に子供が生まれるまで居候させてもらうこと全てを打ち明けた。しばらく黙りこくっていた母が穏やかな口調で佐知に語りかけてきた。
「ねぇさち、さちはお父さんとお母さんに出会って幸せだった?お母さんは施設であなたを一目見た時、この子と一緒なら幸せになれると思ったのよ 両親を知らないあなたを誰よりも幸せに幸せが服をまとったような子供にしてみせるとあなたの亡き両親に誓ったのが昨日のことのように思えるわ
幸せにしてやりたいと願ったわたしとお父さんはいつからかあなたに幸せをもらっていた お父さんとお母さんの計り知れない幸せは全てさちが運んでくれたものなのよ」
「わたしもお母さんとお父さんの子供になれてよかった出会えてよかったって本当にそう思っている 幸せな子供その通りに育ててもらったわ お母さんが私にしてくれたように今度はおなかの子供を幸せにしてあげたいの お母さんと同じ私もこの子と一緒に幸せになりたい もらった幸せをわが子に繋げることがお父さんとお母さんへの恩返しそう思っているの」
「自分の道を歩き出すさちにエールを送るわ お母さんはさちが決めた選択を信じているから反対はしない でも決めたからにはそこには重い責任が生じるのよ だからどんなことがあっても負けない気持ちだけは持っていなさいね 困ったときは一番の味方であるお父さんとお母さんを思いだすのよ お母さんはいつだってさちの力になるそれだけは忘れないで」
「おかあさんありがとう」
「そうだお父さんにはこのことはしばらく伏せておきましょう 頃合いを見てお母さんがうまく話しておくから任せなさい」
「お父さん卒倒して寝込んじゃうかもね」
「そうよ、さちをまだまだ子供だと思っていたいお父さんにはきついわね お父さんには悪いけど当分はお母さんとさちの秘密にしておきましょう」
「うん」
まもなくして母は妊娠のことを伏せた上で佐知が資格を取るために家を出ることを父に話し承諾を取り付けてくれた。
「さち体に気を付けて頑張るんだぞ ここはお前の家だ、寂しくなったら帰ってくるんだよ」
「うん、わたし頑張るからお父さんお母さんも体に気を付けてね」
施設から佐知を引き取り温かく迎え入れてくれた両親が寂しさを隠して笑顔で見送る姿に万感の思いが込み上げていた。心強い助っ人雅和の力を借り、秀行の子供を産もうとしている佐知の新たな旅立ちが始まろうとしていた。
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