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人生の機微
新たな命と共に3
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「だってあなたは秀行先生の子供を身篭っているんですもの」
「もしかして・・部長は私と秀行先生の関係を知っていたのですか」
「腹を痛めた子供の事は不思議なもので何でもわかってしまう 親ってそういうものなのよ この先秀行先生は健全な人と同じようには生きられないでしょうね でもあなたがいてくれたら秀行は幸せでいられるわ あなたとなら悔いのない人生を全うできる、母である私にはわかるの」
「部長はこれからも母だと名乗るつもりはないのですか」
「私が秀行の母と名乗るときがあるとしたらそれは神のみぞ知るかしらね」
「部長本当にそれでいいのですか」
「母と名乗れぬつらい時期はとうに終わったけど更なる別の苦しい時期を越えなければならない時が来たようね 人生山あり谷ありいい時も悪いときもその全てが自分の人生なのだとしたら逃げられないわ」
「そうですね どんなことがあっても進まなければ逃げちゃ駄目ですよね」
「皆井さんあなたはどんなことがあっても子供を離してはだめ 院長先生があなたの妊娠を耳にしたら私と同じになる気がしてならないの 秀行先生の子供は苦労してでもあなたの手で育てなさい 私の人生に汚点があるとすればわが子を自らの手でこの胸に抱き育てられなかったことよ この事をあなたに一番に伝えたかったの」
「ありがとうございます でも心配いりません 私は一人でも育てる覚悟は出来ていましたから」
「そう、それを聞いて安心したわ 体に気を付けて秀行の子を丈夫な子を産んで頂戴」
「まだ若くてきれいな部長には申し訳ないですがお腹にいる子供のおばあちゃんは部長です 秀行さんが元気になったら子供を連れて部長の家に会いに行きます 迷惑でなければ」
「迷惑だなんて、秀行の病気を知って沈んだ毎日を送っていたけど生きる楽しみが出来て嬉しい限り大歓迎よ」
「秀行さんのお母さんは私にとってもお母さんです だからまたお会いしたいです 会っていただけますよね」
「皆井さんあなたって人は・・・ありがとう本当にありがとう 年をとると涙腺まで弱ってしまって 久しぶりの勝負化粧がボロボロよ」
「部長は泣いたお顔も十分美しいですよ これからも身体にお気をつけてお仕事頑張ってください 今日はありがとうございました」
「皆井さん、私たち又会えるわよね」
「部長はお腹にいる子供の祖母で私の愛する秀行さんの母親です 会いたいって言ってくれたらすぐ飛んで会いにいきます」
両手を顔にあて泣き出した部長の揺れた肩を佐知は撫で続けた。顔を上げた部長は精一杯の笑顔を作り見せて病院に戻っていった。
病院でどんなに厳しく当たられても佐知はなぜか部長を嫌いにはなれなかった。その部長に秀行の母親だと告白され美香さんが言っていた人との縁を佐知は改めて考えさせられていた。
「もしかして・・部長は私と秀行先生の関係を知っていたのですか」
「腹を痛めた子供の事は不思議なもので何でもわかってしまう 親ってそういうものなのよ この先秀行先生は健全な人と同じようには生きられないでしょうね でもあなたがいてくれたら秀行は幸せでいられるわ あなたとなら悔いのない人生を全うできる、母である私にはわかるの」
「部長はこれからも母だと名乗るつもりはないのですか」
「私が秀行の母と名乗るときがあるとしたらそれは神のみぞ知るかしらね」
「部長本当にそれでいいのですか」
「母と名乗れぬつらい時期はとうに終わったけど更なる別の苦しい時期を越えなければならない時が来たようね 人生山あり谷ありいい時も悪いときもその全てが自分の人生なのだとしたら逃げられないわ」
「そうですね どんなことがあっても進まなければ逃げちゃ駄目ですよね」
「皆井さんあなたはどんなことがあっても子供を離してはだめ 院長先生があなたの妊娠を耳にしたら私と同じになる気がしてならないの 秀行先生の子供は苦労してでもあなたの手で育てなさい 私の人生に汚点があるとすればわが子を自らの手でこの胸に抱き育てられなかったことよ この事をあなたに一番に伝えたかったの」
「ありがとうございます でも心配いりません 私は一人でも育てる覚悟は出来ていましたから」
「そう、それを聞いて安心したわ 体に気を付けて秀行の子を丈夫な子を産んで頂戴」
「まだ若くてきれいな部長には申し訳ないですがお腹にいる子供のおばあちゃんは部長です 秀行さんが元気になったら子供を連れて部長の家に会いに行きます 迷惑でなければ」
「迷惑だなんて、秀行の病気を知って沈んだ毎日を送っていたけど生きる楽しみが出来て嬉しい限り大歓迎よ」
「秀行さんのお母さんは私にとってもお母さんです だからまたお会いしたいです 会っていただけますよね」
「皆井さんあなたって人は・・・ありがとう本当にありがとう 年をとると涙腺まで弱ってしまって 久しぶりの勝負化粧がボロボロよ」
「部長は泣いたお顔も十分美しいですよ これからも身体にお気をつけてお仕事頑張ってください 今日はありがとうございました」
「皆井さん、私たち又会えるわよね」
「部長はお腹にいる子供の祖母で私の愛する秀行さんの母親です 会いたいって言ってくれたらすぐ飛んで会いにいきます」
両手を顔にあて泣き出した部長の揺れた肩を佐知は撫で続けた。顔を上げた部長は精一杯の笑顔を作り見せて病院に戻っていった。
病院でどんなに厳しく当たられても佐知はなぜか部長を嫌いにはなれなかった。その部長に秀行の母親だと告白され美香さんが言っていた人との縁を佐知は改めて考えさせられていた。
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