涙が幸せの泉にかわるまで

寿佳穏 kotobuki kanon

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人生の機微

新たな命と共に

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辞表が受理され佐知は区切りのよい月末で病院を去ることが決まった。新天地で新たな出発を始める佐知に同僚たちとの送別会が開かれることなった。

退職の挨拶に行った院長宅ではいつも男顔負けの強靭な夫人が浮かべた涙に胸が張り裂けそうになった。秀行との交際や妊娠した事を夫人に隠したまま去ることは心苦しいものだった。

勤務最終日の夕刻、受付の奥にある休憩室で佐知の門出を祝う会は盛り上がりを見せていた。


「さっちゃん、資格取ったらまた戻ってきてよ、待ってるからね」

「病院に戻る前にいい人が現れて結婚なんてことも有り得るんじゃないの」

「そうか私たち遅ればせながらもお年頃だものね」

「わたしの結婚はまだまだ先、みんなのほうが早いと思うわ」

「ところで資格ってあの心理なんたらかんたらの?」

「何度も教えたのにまだ覚えられないの さっちんがとる資格は心理カウンセラーよ」

「気配りの出来る佐知さんにはもってこいの資格ね 合格を祈っているわ」

「皆さんと過ごしたこの病院を離れるのはとても寂しいです これからつらい時悲しい時きっと皆んなのことを思い出すと思います みんなの笑顔を思い出し明日も又がんばろうと勇気を貰えると信じています だから最後は笑顔で見送って下さい 至りませんでしたがお世話になりました 本当にありがとうございました」

「頑張ってね、悲しいけど泣かないで笑顔でさっちゃんを送り出すね」 

「寂しくなったら電話してね」

「また会おうね」


別れを惜しむ同僚の顔それぞれに思い出がよみがえった。話は尽きなかった大好きな仲間に頭を下げ病院に別れを告げた。

病院を出ようとした佐知をハイミス部長が走って追ってきた。


「皆井さん長い間ご苦労様、お疲れ様でした」


「部長ありがとうございました お世話になりました」

「皆井さんに聞きたいことがあって追ってきたの、間違っていたら許してね あなたもしかしたら妊娠しているんじゃない」


「・・・・・」


 後書き
ハイミス部長の口から驚きの秘密があかされた佐知は・・
予測出来ない展開はまだまだ続きます

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