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愛は陽炎(あいはかげろう)
決意5
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帰国した雅和はすぐさま佐知に秀行と会ってきたことを報告した。秀行の伝言を伝えると佐知は安堵し愛らしい笑顔を雅和に見せた。
緩やかに流れ行く日々はいつしか身重な佐知に苦渋にみちた決断の最終期限を告げていた。
辞表を出すなら今しかない・・・
辞表を書いて数日たったある夜、佐知は雅和に電話を入れた。
「わたしね今日、病院に辞表を出したの」
「やっぱりもう限界か」
「うん、お腹を隠しきれなくなってからじゃ遅いから」
「佐知はいまの仕事が大好きだったから辞表を出すのつらかっただろうな」
「仕事も授かった子供どちらも手放したくなかったけど私が守るべきものはひとつだから」
そうだなわかってる、佐知が守るべきものはお腹の子供だから」
「神様が私が持ってるもの全てが欲しいと言ってきてもお腹の子供だけは絶対渡さない」
「ずいぶん飛躍した話だけど気持ちは十分伝わったよ ところでその後どうするか考えてるのか」
「迷惑でなければ雅和のところに置いてほしいの・・」
「俺んちに転がり込むつもりだったのか」
「転がりこむなんて言い方すきじゃないわ 雅和の事務所で働かせてもらえないかな」
「働かなくたって俺の家でいいなら居てくれてかまわないよ」
「そうはいかないわ 私は雅和の恋人でも奥さんでもないもの お世話になるからにはちゃんと筋を通しておかないと」
「誰かさんは一度言ったことは曲げないからな 佐知には家で出来る仕事をやってもらう、それでいいね」
「お給料はいりません その代り子供が生まれるまでお願いします」
「あぁ心配するな、泉さんにもちゃんと話しておくから助けて貰えばといいよ」
「ありがとう、胸のつかえがやっと取れた」
「でも親にまだ何も話していないのならすべて話したほうがいいんじゃないか でないとそう簡単に佐知を家には置くわけには」
「それはわかってる 雅和との事はお母さん全部知っているからお母さんだけにはちゃんと話すつもり」
「そうしたほうがいい こっちに越して来たらまずは病院を探さないといけないな 西條先生に聞けばきっといい病院を紹介してくれると思うんだけどな」
「それはだめ、いま秀行さんに余計な神経を使わせたくないの 私には雅和という強い味方が付いているんだもの大丈夫」
「佐知は西條先生の気持ちばかり考えて自分の事はいつも二の次なんだな まぁ仕方ないか よし俺に任せろ手始めに病院を調べてやる絶対いい病院を見つけてやるから」
「こんな時わたしの頼りの綱はやっぱり雅和しか・・雅和に相談して良かった」
緩やかに流れ行く日々はいつしか身重な佐知に苦渋にみちた決断の最終期限を告げていた。
辞表を出すなら今しかない・・・
辞表を書いて数日たったある夜、佐知は雅和に電話を入れた。
「わたしね今日、病院に辞表を出したの」
「やっぱりもう限界か」
「うん、お腹を隠しきれなくなってからじゃ遅いから」
「佐知はいまの仕事が大好きだったから辞表を出すのつらかっただろうな」
「仕事も授かった子供どちらも手放したくなかったけど私が守るべきものはひとつだから」
そうだなわかってる、佐知が守るべきものはお腹の子供だから」
「神様が私が持ってるもの全てが欲しいと言ってきてもお腹の子供だけは絶対渡さない」
「ずいぶん飛躍した話だけど気持ちは十分伝わったよ ところでその後どうするか考えてるのか」
「迷惑でなければ雅和のところに置いてほしいの・・」
「俺んちに転がり込むつもりだったのか」
「転がりこむなんて言い方すきじゃないわ 雅和の事務所で働かせてもらえないかな」
「働かなくたって俺の家でいいなら居てくれてかまわないよ」
「そうはいかないわ 私は雅和の恋人でも奥さんでもないもの お世話になるからにはちゃんと筋を通しておかないと」
「誰かさんは一度言ったことは曲げないからな 佐知には家で出来る仕事をやってもらう、それでいいね」
「お給料はいりません その代り子供が生まれるまでお願いします」
「あぁ心配するな、泉さんにもちゃんと話しておくから助けて貰えばといいよ」
「ありがとう、胸のつかえがやっと取れた」
「でも親にまだ何も話していないのならすべて話したほうがいいんじゃないか でないとそう簡単に佐知を家には置くわけには」
「それはわかってる 雅和との事はお母さん全部知っているからお母さんだけにはちゃんと話すつもり」
「そうしたほうがいい こっちに越して来たらまずは病院を探さないといけないな 西條先生に聞けばきっといい病院を紹介してくれると思うんだけどな」
「それはだめ、いま秀行さんに余計な神経を使わせたくないの 私には雅和という強い味方が付いているんだもの大丈夫」
「佐知は西條先生の気持ちばかり考えて自分の事はいつも二の次なんだな まぁ仕方ないか よし俺に任せろ手始めに病院を調べてやる絶対いい病院を見つけてやるから」
「こんな時わたしの頼りの綱はやっぱり雅和しか・・雅和に相談して良かった」
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