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愛は陽炎(あいはかげろう)

愛の行方は4

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待ちに待った雅和から電話が入ると佐知は天から救いの手を差しのべられたような気持になった。


「佐知ごめん 講習に出てたりして連絡できなかったんだ」

「メールや留守電いっぱい入れてごめんね」

「仕事の時は個人的な電話には出ない主義だから悪かったね」

「講習はもう終わったの」

「海外から日本に来ている人の依頼やクライアントから外国人を雇いたいといった相談も受けられるように国際行政書士の資格を取ったんだ 今回の講習は外国人の帰化申請なんかを代わりに提出できる申請取次資格それも無事に終了した」

「頑張ってるのね、行政書士の資格のほかにも資格を取るなんてすごい」

「すごくはないけど、生き残るためには先々を読んで動かないと、ところで佐知の要件は?あんなに留守電やメールが来たのは初めてだから心配してたんだ」

「何から聞いてもらったらいいのか分からないくらいパニクってる こんなの生まれて初めてだから対処できなくてもう私ひとりでは無理、本当にどうしたらいいのかわからないの助けて 助けてほしいの」

「ものすごく深刻そうだな 俺そっちに行くよ 会って話し聞くからSIGNPOSTで会おう 日時は佐知に合わせるからメールで知らせてくれ」

「ありがとう、日時はまた追ってメールするわ」


雅和は佐知の声にただならぬ事態を察していた すぐにでも飛んで行ってやりたいと心からそう思った 雅和は今湧き出るこの思いがなんなのか不思議でたまらなかった 戸惑いながらも今もって切れない佐知との絆をあらためて再認識していた

どんな時も弱音を吐かないあいつがあんな切羽詰まった声で・・あいつには西條先生と幸せになってもらわなければ・・今度こそ俺はあいつを守ってやる

出会った夜ふたり星空の下で語り合った思い出が甦っていた。懐かしさとそれとは別の感情が雅和にいっきに押し寄せていた。


後書き
 引き続き秀行、佐知、雅和がつかもうとしていた幸せへの旅路をご一緒下さい。

人生に起きる苦しみや悲しみ苦悩に逆らわず全てを受け入れ過ぎ去るまで気持ち穏やかにして待つ、苦難苦境もひとつ変われば幸せに繋がるチャンスになる事を彼らは身を持って知る旅の途上にいた。終わりが見えない人生の荒浪を越えなければならない彼らがたどり着く幸せの場所は・・



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