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トライアングルLOVE

揺れ惑う心11

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秀行は急変した患者の容態もおちつき自宅に戻って寛いでいた。

「秀行、佐知さんから電話よ」

「もしもし秀行さん、佐知です いま井川君の病院を出て東京駅にいます」

「思っていたより早い帰宅だね」

「元気に歩く姿も見られたし安心しましたからもう満足です 暗くなる前に帰るって言ったら井川君もそれががいいって」

「佐知さん電車の到着時間に合わせて迎えにいくよ」

「迎えなんていいです 秀行さんはゆっくり体を休めて下さい」

「僕は会いたいんだ君に」

「・・・・・・」

「佐知さんごめん、井川君が大変な時に君の気持ちも考えず・・じゃ気をつけて帰るんだよ また明日病院で」

「待って、待ってください 私も会いたい・・です」


電車を降りあたりを見渡す佐知の肩ごしに手が伸びた。


「おかえり佐知さん」

「ただいま秀行先生」

「悲しい顔して立っていたから心配したよ」

「一人だったから無事帰って来られて力が抜けちゃったのかな」

「今回は僕がいないから心細かったんだね」

「え~それはなぁあ~い」

「迷いもなく即答するかな~」

「ごめんなさい 本当は私とてもうれしいの 秀行さんが来てくれて秀行さんの顔が見られてすごく嬉しいの」

「愛する人にそんなに喜んでもらえる僕は幸せ者だな」

「・・秀行さんって本当にいい人ですね」

「お願いだからいい人で終わりにしないで欲しいな」


秀行の行きつけの和食ダイニングで二人久しぶりの夕食をとった。


「秀行さん色々とありがとうございました。井川君も秀行さんに感謝してました 彼は必ず立ち直ってくれると信じています」

「佐知さんが支えてくれているんだ きっと井川君は心強いだろうね」

「そうでしょうか」

「佐知さんらしくない発言だな」

「支えが重荷になるなら・・意味がないんじゃないかな」

「井川君がそういったの」

「彼から西條先生のことを考えたことがあるかって聞かれました 振り返ると秀行さんはいつも私を支えてくれて当たり前のように私はそれに甘えてきました 私は秀行さんに何も返せていないし、井川君を支えるように先生の事を支えられるのか・・わからない 井川君のことなら何でも分かるのに 車中ずっと考えたけど・・ごめんなさい 私は自分の事ばかり、ずっと井川君のことしか考えていなかった」

「支えるとか支えられるとか考えないでありのままでいいんじゃないかな 頑張ってみたってやれる事には限界があるし、出来ない事だって一杯ある 大切にしたい思いが行動になってそれが支えだったり色んな形になっていけばいいと思うんだ 頭で考えなくても自分の心や信念が必ず答えを出してくれると僕は思っている だから自然体が一番、僕は心の赴くまま逆らわず君と向き合ってきた それが佐知さんの支えになったのなら僕は嬉しいよ」



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