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悲しみの連鎖
大切なものが27
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秀行は封印してきた思いのたけを隠さず佐知にぶつけた
「彼女と僕は医大で出会って付き合いが始まった 互いに医師を父に持つ僕と彼女はよく似ていた 僕達はごく自然に友達から恋人関係になっていた 高校まで僕には親友と呼べる友人がひとりもいなかったというよりみんなライバルだったからあえて作ろうとしなかった 医大で初めて親友と呼べる友人が出来た 心許せる友人が出来た僕は嬉しくてたまらなかった 僕は彼に絶大なる信頼を置いて生涯の友にめぐり合えたと思っていた 彼女と親友と過ごした大学生活は人生最高の思い出になるはずだった あの日まではそう思っていた」
「あの日まで?」
「卒業してまもなくして彼女が結婚したことを知った 風の便りで耳にした相手の名前に僕は驚きを隠せなかった」
「まさか親友がその相手」
「僕は二人の関係など全く知らず疑いもしなかった 彼女と親友は俺の前ではそんな素振りは何ひとつ見せなかった 長い間ぼくを騙し裏切り続けた二人を許せなかった 親友と愛し合うようになった彼女はその後も変わらず僕に抱かれていた・・彼女が親友を愛し彼に抱かれたことを知っていたら僕は彼女に指一本触れはしなかったのに 騙されているとも知らず僕は真剣に彼女を愛し続け何も知らず彼女との事をノロケる僕を親友はどんな気持ちで見ていたのだろう・・神はときに残酷なことをするものだと、何かしらの天罰なのかと空を仰いだよ 二人への憎しみ彼女を奪われた嫉妬に僕は冷静さを失って後に送られてきた結婚の招待状も破り捨てていた あのとき無理してでも二人を祝福していればよかったのかもしれない」
「祝福していたら何かが変わっていたと思いますか」
「あぁ少なくてもいつまでも負の感情に苦しむことはなかっただろう」
「結婚式に出席したとしても彼女のウエディング姿に耐えられましたか 秀行さんは・・きっと式場を飛び出していたと思います」
「確かにそうかもしれない 花嫁姿の彼女の隣に居るのが僕でなく親友っていうのはさすがにね でも祝電だけでも送るべきだったとそれだけは後悔している あぁなんだか佐知さんに話したらすっきりしたな~ 僕の親友を愛した彼女と彼女を好きになった親友二人の傷はきっと僕よりも大きかったのかもしれないね 僕の前で笑顔を見せていた二人は実は僕の見えない所で苦しんでいたそう考えると二人の償いは既にすんでいる・・・ だから二人はもう許されていいんだ 愛憎の感情の憎しみだけを消していい思い出にしたいな」
「今日からいい思い出に、まだ間に合います 遅いなんて思わないで勇気を出してください 秀行さんに祝福してもらえたら二人は今よりもっと幸せになれます 二人が背負う秀行さんという錘をはずしてあげられますよ」
「人が関る揉め事は厄介だけどそれは相手も同じきっと痛みも同じなのだと思う、だとすれば僕は我執にとらわれていたことになる」
「人の痛みを知った人が一番の理解者で相談者になれるそうですよ 秀行さんは院長先生のようにいいお医者様になれますね」
「そうなれたらうれしいけど、佐知さんはいま付き合っている人は」
「秀行さんと同じ彼と別れてからはずっとひとりです 彼以外の人は考えられませんでしたから」
「佐知さんは僕と同じゃないよ 僕は忘れられなくて誰も愛せなかったわけじゃない 裏切られ人間不信になったからで勿論彼女を引きずってはいるけどそれは君の感情とは違う 親友と恋に落ちた彼女は可哀想に自分の背信行為に苛まれ続けたと思う それを隠しながら僕と関係を続けた彼女はあまりにも愚かで悲し過ぎるがそれが僕への償いだとでも思ったのか彼女は親友を思いながら僕に抱かれていた そこまでして俺達3人の関係を守ろうとしたのなら彼女は惨めすぎる・・もっと早く僕が気づいてやればこんなことにならずにすんだのに」
「なぜ彼女を・・・裏切れたのにそれでも彼女を気遣うのは何故」
「どんなに憎んでも彼女は僕が愛した人なんだ 酸いも甘いも知り尽くした男女の愛だからこそ常識では考えられない感情も生まれる・・どんなことが起こっても不思議でないのが男と女の関係なのかもしれない」
「彼女と僕は医大で出会って付き合いが始まった 互いに医師を父に持つ僕と彼女はよく似ていた 僕達はごく自然に友達から恋人関係になっていた 高校まで僕には親友と呼べる友人がひとりもいなかったというよりみんなライバルだったからあえて作ろうとしなかった 医大で初めて親友と呼べる友人が出来た 心許せる友人が出来た僕は嬉しくてたまらなかった 僕は彼に絶大なる信頼を置いて生涯の友にめぐり合えたと思っていた 彼女と親友と過ごした大学生活は人生最高の思い出になるはずだった あの日まではそう思っていた」
「あの日まで?」
「卒業してまもなくして彼女が結婚したことを知った 風の便りで耳にした相手の名前に僕は驚きを隠せなかった」
「まさか親友がその相手」
「僕は二人の関係など全く知らず疑いもしなかった 彼女と親友は俺の前ではそんな素振りは何ひとつ見せなかった 長い間ぼくを騙し裏切り続けた二人を許せなかった 親友と愛し合うようになった彼女はその後も変わらず僕に抱かれていた・・彼女が親友を愛し彼に抱かれたことを知っていたら僕は彼女に指一本触れはしなかったのに 騙されているとも知らず僕は真剣に彼女を愛し続け何も知らず彼女との事をノロケる僕を親友はどんな気持ちで見ていたのだろう・・神はときに残酷なことをするものだと、何かしらの天罰なのかと空を仰いだよ 二人への憎しみ彼女を奪われた嫉妬に僕は冷静さを失って後に送られてきた結婚の招待状も破り捨てていた あのとき無理してでも二人を祝福していればよかったのかもしれない」
「祝福していたら何かが変わっていたと思いますか」
「あぁ少なくてもいつまでも負の感情に苦しむことはなかっただろう」
「結婚式に出席したとしても彼女のウエディング姿に耐えられましたか 秀行さんは・・きっと式場を飛び出していたと思います」
「確かにそうかもしれない 花嫁姿の彼女の隣に居るのが僕でなく親友っていうのはさすがにね でも祝電だけでも送るべきだったとそれだけは後悔している あぁなんだか佐知さんに話したらすっきりしたな~ 僕の親友を愛した彼女と彼女を好きになった親友二人の傷はきっと僕よりも大きかったのかもしれないね 僕の前で笑顔を見せていた二人は実は僕の見えない所で苦しんでいたそう考えると二人の償いは既にすんでいる・・・ だから二人はもう許されていいんだ 愛憎の感情の憎しみだけを消していい思い出にしたいな」
「今日からいい思い出に、まだ間に合います 遅いなんて思わないで勇気を出してください 秀行さんに祝福してもらえたら二人は今よりもっと幸せになれます 二人が背負う秀行さんという錘をはずしてあげられますよ」
「人が関る揉め事は厄介だけどそれは相手も同じきっと痛みも同じなのだと思う、だとすれば僕は我執にとらわれていたことになる」
「人の痛みを知った人が一番の理解者で相談者になれるそうですよ 秀行さんは院長先生のようにいいお医者様になれますね」
「そうなれたらうれしいけど、佐知さんはいま付き合っている人は」
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