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悲しみの連鎖
大切なものが8
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佐知が出勤すると事務所は朝から何やらざわついていた。秀行が帰ってくる情報が病院中に知れ渡っていた。
「先輩、騒がしいようですが何かあったのですか」
「佐知さんお早う、さっき部長から話があって、みんなこの調子なのよ」
「秀行さんの事ですか」
「さっちゃんの呼び出しって秀行さんのことだったんだね~秀行さんと仕事が出来るなんて羨ましいな、さっちゃんいいなぁ」
「私が羨ましいの」
「そうよ、知ってのとおり秀行さんは女子職員の憧れの人だもの その秀行さんが帰って来るとなればみんな色めきたっても不思議じゃないでしょ」
「おかしいわ、色めきたつなんて言いかた」
「おかしくないよ、さっちゃんだって内心は嬉しいくせに」
「私が秀行さんと仕事をするのは頼まれたから仕方なく受けただけよ、本当は断ってみんなと仕事をしているほうが楽しくていいのよ でも院長夫人に頼まれたら断れないわ、私の気持ちわかるでしょ」
「うんわかる、それならよくわかる 私も院長夫人は苦手、どこかカリスマ的な迫力があってあの人にNOは言えないよね」
「でしょ、だから羨ましいなんて言わないで欲しいの それに私にはずっと思い続けている人がいるから心配しないで」
「それじゃ、ライバルが減ったってことだね なんだか燃えてきたなぁ~ ん・・なんかみんなして私のこと・・そこの主任笑いすぎですよ」
「仕事もそれくらいの熱意でやってくれると嬉しいんだけどな さぁ皆さん口を閉じて仕事を始めましょう 佐知さんは大変でしょうけれど秀行先生の補助頑張って頂戴」
「ありがとうございます ここでみんなと仕事が出来なくなるのは寂しいけど頑張ります」
カルテを持ち事務所を出た佐知の視線の先にこちらに向かって歩いてくる部長が見えた。部長のぎらぎら光る目がいつも以上に怖かった。
「部長、少しお話してもいいですか」
「急いでいるんだけど何かしら」
「もうお聞きと思いますがしばらく受付の仕事を離れ秀行さんの仕事に就くことになりました お世話になりました 部長また復帰した折はご指導くださいね ありがとうございました」
「何故なのかしらね、皆んながあなたの味方、あなたには敵がいない あなたは本当に幸せな人ね、あなたは私にないものを持っているみたいね 皆井さん秀行先生のサポートお願いしましたよ もう受付にあなたの場所はないと思ってしっかりおやりなさい 万が一困ったときは私を頼ってくれて構わないわ 張りなさい」
「はい頑張ります」
部長が柔和な眼差しで笑みを見せた。初めてだった。一瞬みせた微笑はどこか悲しげで憂いに満ちていた。まじかで見た部長のあまりの美しさに佐知は思わず息を呑んだ。眉間を寄せた仕事モードの部長は此処にはいなかった。別人のような部長に佐知は驚きを隠せなかった。目と鼻の先で話した部長に美香と同じにおいを感じとっていた。いつも恐れていた部長との距離が少し縮まり佐知は親近感さえ覚えた。
週末の今日は雅和が明日香に会いに来る日だった。遠距離恋愛の彼を待つ恋人のように胸を躍らせていたが美香の言葉を思い出し心揺らしてた。
「佐知さん、あなたに雅和をお願いしたいの 雅和を支えられるのは私とあなただけだもの 雅和はとっても打たれ弱い男だから誰か支える人がいないと頑張れないわ 彼の気持ちがどうあれ佐知さんは嘘のない心で雅和と向き合ってあげてね 雅和にはあなたが必要なのあなたも雅和のこと必要としているわ」
雅和に会える日は嬉しさと切なさが一緒に押し寄せてきた。
後がき
厳しかった部長の優しさに触れ部長に対する見方が変わった佐知は後に部長が隠し持った驚愕の事実を知ることになろうとは思いもしなかった。美香とおなじ匂いがした・・それがわかるのはまだまだずっと先の事だった
「先輩、騒がしいようですが何かあったのですか」
「佐知さんお早う、さっき部長から話があって、みんなこの調子なのよ」
「秀行さんの事ですか」
「さっちゃんの呼び出しって秀行さんのことだったんだね~秀行さんと仕事が出来るなんて羨ましいな、さっちゃんいいなぁ」
「私が羨ましいの」
「そうよ、知ってのとおり秀行さんは女子職員の憧れの人だもの その秀行さんが帰って来るとなればみんな色めきたっても不思議じゃないでしょ」
「おかしいわ、色めきたつなんて言いかた」
「おかしくないよ、さっちゃんだって内心は嬉しいくせに」
「私が秀行さんと仕事をするのは頼まれたから仕方なく受けただけよ、本当は断ってみんなと仕事をしているほうが楽しくていいのよ でも院長夫人に頼まれたら断れないわ、私の気持ちわかるでしょ」
「うんわかる、それならよくわかる 私も院長夫人は苦手、どこかカリスマ的な迫力があってあの人にNOは言えないよね」
「でしょ、だから羨ましいなんて言わないで欲しいの それに私にはずっと思い続けている人がいるから心配しないで」
「それじゃ、ライバルが減ったってことだね なんだか燃えてきたなぁ~ ん・・なんかみんなして私のこと・・そこの主任笑いすぎですよ」
「仕事もそれくらいの熱意でやってくれると嬉しいんだけどな さぁ皆さん口を閉じて仕事を始めましょう 佐知さんは大変でしょうけれど秀行先生の補助頑張って頂戴」
「ありがとうございます ここでみんなと仕事が出来なくなるのは寂しいけど頑張ります」
カルテを持ち事務所を出た佐知の視線の先にこちらに向かって歩いてくる部長が見えた。部長のぎらぎら光る目がいつも以上に怖かった。
「部長、少しお話してもいいですか」
「急いでいるんだけど何かしら」
「もうお聞きと思いますがしばらく受付の仕事を離れ秀行さんの仕事に就くことになりました お世話になりました 部長また復帰した折はご指導くださいね ありがとうございました」
「何故なのかしらね、皆んながあなたの味方、あなたには敵がいない あなたは本当に幸せな人ね、あなたは私にないものを持っているみたいね 皆井さん秀行先生のサポートお願いしましたよ もう受付にあなたの場所はないと思ってしっかりおやりなさい 万が一困ったときは私を頼ってくれて構わないわ 張りなさい」
「はい頑張ります」
部長が柔和な眼差しで笑みを見せた。初めてだった。一瞬みせた微笑はどこか悲しげで憂いに満ちていた。まじかで見た部長のあまりの美しさに佐知は思わず息を呑んだ。眉間を寄せた仕事モードの部長は此処にはいなかった。別人のような部長に佐知は驚きを隠せなかった。目と鼻の先で話した部長に美香と同じにおいを感じとっていた。いつも恐れていた部長との距離が少し縮まり佐知は親近感さえ覚えた。
週末の今日は雅和が明日香に会いに来る日だった。遠距離恋愛の彼を待つ恋人のように胸を躍らせていたが美香の言葉を思い出し心揺らしてた。
「佐知さん、あなたに雅和をお願いしたいの 雅和を支えられるのは私とあなただけだもの 雅和はとっても打たれ弱い男だから誰か支える人がいないと頑張れないわ 彼の気持ちがどうあれ佐知さんは嘘のない心で雅和と向き合ってあげてね 雅和にはあなたが必要なのあなたも雅和のこと必要としているわ」
雅和に会える日は嬉しさと切なさが一緒に押し寄せてきた。
後がき
厳しかった部長の優しさに触れ部長に対する見方が変わった佐知は後に部長が隠し持った驚愕の事実を知ることになろうとは思いもしなかった。美香とおなじ匂いがした・・それがわかるのはまだまだずっと先の事だった
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