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悲しみの連鎖

大切なものが4

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私は自分の人生を十分楽しんで生きたそう思っているのよ だから私の死を悲しんでいつまでも引きずるのだけは止めてね 人生は移りゆく四季、季節に似ているわ 凍てつく季節の後にうららかな季節がくるように、そして耐え忍んだのち必ず報われる日が訪れ光さすように人生のさまざまな明暗に一喜一憂しながら人は生かされているのだと思っています いつだったか横たわる私の耳元にそっと囁く声が聞こえたてきたの

明暗繰り返しの人生は人を強く成長させながら生きる糧をもくれる 生が明なら死は暗、でも人の終わりは光なの だから恐がらないでいいのよ

あれは母だったと最近そんな気がしてるの 母はお迎えが近いことを私に伝えに来ていたんだわ 死を待つのってね、思わぬ落とし穴にはまって、もがいても抜け出せないようなものなの、でもこれが私の人生と受け入れる以外術がないのなら今は全てを神に委ねる覚悟ができたわ いま私は残りの命を生きるそれこそが私に課せられた天道だと思って生きている 病気に勝てなくとも自分の道を生き抜くことに意味があるそう思って私は授かったこの尊い命を最後の最後まで生き抜くつもりだから悲しまないでよく頑張った偉かったなって私を誉めてね 雅和と明日香には人の命には必ず限りがあることを忘れないでほしい そしてその命を最後まで大切にしてほしい 私はどんな時も起き上がれば必ず光がさすと信じ生きてきた そしてその光の世界に私は旅立つのそこは闇のない光だけの世界なの だから私のことは何も心配しないで、雅和本当にありがとう子供にはお腹に居る時に沢山言い聞かせてあるから大丈夫よ 多くの人に守られ助けられながら成長していく事を願っているわ きっと周りの人みんなが雅和と子供の力になってくれるはずよ

希望に満ちた未来を歩いてほしいから子供の名前は明日香に決めました

相談もしないで勝手に決めて雅和は、怒っているかしら、でもいつも病室のメモに書いて雅和にみえるようにしていたから明日香にしてくれると信じています あなたが香の字をつけたいって言っていたから香の字を入れたのよ貴方に愛され幸せだった美香の香ね 私がいなくなっても笑顔で明日に向って進んでいってね 雅和と明日香を空の上から見守っています 私たちの宝明日香をよろしくお願いします 

頑張れ雅和パパ・頑張れ明日香

美香ママが応援している事を忘れないで下さい 雅和あなたに出会えて本当に幸せだった今日まで沢山の愛をありがとう 愛する雅和明日香へ美香より


田鶴子への手紙に嫉妬したとき「子供ね」と笑った美香の顔が脳裏に浮かんでいた。最初で最後となった美香の手紙を顔にあて雅和は号泣した。手紙の枠外に小さな文字が書かれていた。

佐知さんとの縁は大切にして下さい その意味を知る日は必ず訪れます


涙に濡れた雅和は美香の大事な一文を見落としたまま手紙を手帳に戻してしまった。


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