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さようならの予感

君を忘れはしない12

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病室を飛び出した雅和は受付の佐知を遠くから眺めていた。

「さっちゃん井川さんじゃない」

柱にもたれている雅和の姿はどこか悲しげだった。

「今日の井川さん疲れているみたい」

「そうね・・・」

「さっちゃん、少しだけなら上手くやるから話をしてきたら」

「ありがと、じゃちょっとだけ行ってくるね」


雅和と佐知は屋上のベンチに座った。黙りこむ雅和に寄り添い発する言葉を待っていた。

「美香さんは自分の定めをどこまで知っているのかな」

「・・・・・」

「万が一美香さんが、そんなこと考えたくないけど俺不安でたまらないよ このまま目を覚まさず旅立つなぜかそんな気がするんだ 俺は美香さんがいたから頑張れた 美香さんのために頑張ってきた それが俺の幸せに繋がっていた それを失くしたら俺は壊れてしまう 俺、恐ろしくておかしくなりそうだ」

「美香さんと子供と三人で温かい家庭を作る、だから美香さんの快復を願っているんでしょう 井川君は後ろばかり向いて余計な事考えるから不安になるのよ 現実からいくら目を逸らしても直視しなければならない時がくる 美香さんの死を回避できるなら私だって何だってするわ、でも出来ない私たちには出来ないのよ 私たちに出来ることは美香さんの命と向き合うそれしか・・美香さんが生きている今を人生を見届けてあげることしか」

「親父の時と同じ俺は病室を飛び出してきた 美香さんから逃げるなんて俺は本当に大馬鹿野郎だ 佐知ごめん俺戻るよ」

「早く行って美香さん待っているわ」


病室を早足で出入りする看護士の姿が見えた。ただならぬ様子に雅和は慌てて病室に入っていった。



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