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父の消息

眠れぬ夜1

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美香は会社から送られてきた書類に目を通していた。長期病気休暇承諾の書類だった。その書類を手帳に挿もうとしたそのとき一枚の名刺が何気に目に入った。SIGNPOSTその名前に美香はお店のちょっとミステリアスなママの事を思い出した。

「ママは私のこと覚えているかしら」

美香は会いたい気持ちを抑えられなくなっていた。土曜の夜、病室に駆けつけた雅和に美香は待ってましたとばかり大袈裟に手招きしてみせた。 

「雅和に頼みたい事があるの 明日行ってきてほしい場所があるんだけど、お願いしてもいいわよね」

「いいよわねってもう決まりなんだろ 俺がいくって」

「さすが飲み込みが早いわ じゃ用件を言うわよ、明日SIGNPOSTに行ってきてほしいの」

「・・・  」

「雅和、聞いているの」

「あっごめん、美香さんの口からSIGNPOSTの名前が出てくるとは驚きだな」

「出張のとき一度だけあの店に行ったの ママが何かあったら力になるからって声をかけてくれてこの名刺をくれたのよ 私あのママのことがどうしても気になって仕方ないの」

「あのママは気さくで面倒見がよくてみんなに慕われているからね」

「雅和はママがあの界隈でちょっとした有名人だって知っていたの」

「有名人?俺そんな話一度も聞いたことないな」

「実はママは占い師で超能力者なんですって」

「やめてくれよ そんなことありえないよ」

「でも・・見えるって言ったのよ、私のことが見えたって」

「見えるって何が?」

「人の人生が見えるらしいの」

雅和は美香の話がまったくのでたらめでないことは少しだが理解できた。

「私が倒れたあの日、ママには私が見えていたの 初めて会った私を見て早急に病院にいきなさい頭に注意しなさいって言ったわ」

「なんか背中がゾクゾクしてきたよ」

「初対面だったけど店を出た私を追ってきてくれたママの姿が忘れられないの、可笑しいでしょうけど何故だか無性に恋しいの 力になると言ってくれたママに私の何が見えたのか、わたしママに力をもらいたいからもう一度会いたいの」

「美香さんがそうしたいのなら俺がなんとしてもママを連れて来てやるよ」

「雅和はただこの手紙を届けてくれるだけでいいの 後はこれを読んだママにまかせたいから」

「わかった 明日病院に来る前にママに届けるよ」


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