涙が幸せの泉にかわるまで

父の消息

血は水よりも濃い3

「その中にはお父さんの思いがいっぱい詰まった指輪が入っているんだ　お父さんが両親を亡くした美香さんのお母さんを元気付けたいと出張先で買い求めた指輪だと言っていた　６月の誕生石ムーンストーンが幸せを呼び身を守ってくれる石だって知ってる？美香さんとお母さんは誕生月が同じだよね　お母さんに渡せなかった指輪を君に贈るお父さんの気持ち美香さんにはわかるよね」

「母のために買った指輪がいま私の手にあるなんて信じられない」

「生涯手にすることも見ることもなかった指輪がいま美香さんの手にある、こんなが事起きるなんて奇跡だよ」

「そうよね、わたし決めたこの指輪をお守りにするわ　母と一緒に私を守ってくれるそんな気がするから」

「お父さんは誰よりも美香さん君を思っていたよ　俺、美香さんをどんなに愛していてもお父さんだけには絶対に敵わないよ　それほど肉親の愛は絶大なんだ　君のお父さんと会ったあと俺は自分の親父を思いだしていた　あんなに憎しみ嫌っていた親父でも俺の中で親父は今も鮮明に生き続けていた　他人だったらこうはいかないんだろうけどこれが深い肉親の情ってやつなんだろうな」

「血は水よりも濃いって諺があるわ　血の繋がりはそういうものなのよ、きっと」

不思議な出来事はこれだけではなかった。美香と父に関わる人間模様に隠された新たな真実が見え隠れしていた。


あとがき
美香の命火が危うい最中、まさかと思う人が美香親子と繋がっていることが判明。天涯孤独と思っていた美香に、にわかには信じがたい事実が、美香の父にも奇跡としか思えぬ再会が・・