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不思議な三角関係
決心8
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「美香さんはご両親や家族の話をしてくれたわ 記憶にないお父さんをとっても恋しがってお父さんに会いたい探してほしいと頼まれたの」
「それで佐知は探すと約束を」
「お父さんに会いたいと言った美香さんの気持ちが痛いほど伝わったわ 私は美香さんが言ったように本当の両親を知れて良かったと思っている だから美香さんの気持ちが分るの 即答できなかったけど探してあげたいと思ったわ でも探すのは私じゃない井川君よって美香さんにはきっぱり断わったわ だから井川君の力でお父さんを探してあげてお願い私も協力するから美香さんとお父さんを会わせてあげましょう これは誰でもない美香さんの願いよ、井川君が叶えてあげないで誰が叶えられるの、美香さんを愛するあなたにしか出来ないのよ」
「・・・・・・」
雅和なら美香の希望をきっと叶えてくれると信じていた。まだ見ぬ父との再会は実現に向け動き始めようとしているが美香のもう一つの願いである出産だけは命に関るだけに難しかった。美香の妊娠のことだけは自分が話すことではないと佐知は口をつぐみ雅和には話さなかった。しかし雅和がそれを知る日はそう遠くはなかった。
病院失踪後、病室に戻ってきた美香は雅和と目を合わせようとしなかった。二人の間に気まずい雰囲気が流れていた。佐知は重苦しい空気を変えようと美香に声をかけた。
「美香さん、井川君は病院からの電話で飛んで来てくれたの 心配してずっとここで待っていてくれたのよ」
「佐知さんの言いたいことは分かっているわ 雅和心配かけてごめんね でもわたし今は一人でいたいのごめんなさい 佐知さん雅和を連れてここから出て行ってお願い」
「俺が此処にいたら美香さんは迷惑なのか そばにいたいと思う俺の気持ちも・・」
「なに言ってるの井川君、そんなことある訳ないじゃない 美香さんは疲れているだけ だから美香さんの言う通り今日は帰りましょう、ねっ井川君、美香さんを休ませてあげましょう」
背を向け黙りこむ美香とその背中をじっと見つめる雅和そんな二人を佐知は哀しい目で見つめるしかすべはなかった。布団を頭から被り美香は顔を隠してしまった。佐知は渋る雅和の腕をつかみながら病室を出た。
「今日の美香さんは俺の知らない別人のようだった」
「井川君、もし・・もしもよ 自分の一生を振り返らなければならない状況に置かれたら人はどうなるかしら」
「・・・・・」
長い沈黙だった。
「そんなこと考えたくもないよ 俺にはとても耐えられない・・ もしかしてそれって美香さんのことを言ってるのか 彼女は自分の人生を そうなのか佐知」
「・・・ 」
「やっぱりなにか隠している 佐知、君は美香さんが俺に話せないでいる事を知っているそうだろう いい加減もう嘘つくのだけはやめろやめてくれ」
「私は看護士じゃないのよ 入院患者のことや病気のことは分からないわ 真実はどうあれ美香さんに限らず先のことなど誰にも分からないんじゃないかな 雅和わたしが知ってることはさっき全部話したわ」
「いや君は嘘をついているよ なにかまだ隠している どんなにごまかそうとしても俺にはわかるんだ 昔俺が愛した君のことは分かるんだ」
美香が言いそびれた妊娠の事実を雅和に告げるなら今しかないと決心した。
「井川君はすでに知っているでしょうけど・・美香さんはお腹にいる赤ちゃんのことで悩んでいたわ」
「・・・・・あかちゃん」
「それで佐知は探すと約束を」
「お父さんに会いたいと言った美香さんの気持ちが痛いほど伝わったわ 私は美香さんが言ったように本当の両親を知れて良かったと思っている だから美香さんの気持ちが分るの 即答できなかったけど探してあげたいと思ったわ でも探すのは私じゃない井川君よって美香さんにはきっぱり断わったわ だから井川君の力でお父さんを探してあげてお願い私も協力するから美香さんとお父さんを会わせてあげましょう これは誰でもない美香さんの願いよ、井川君が叶えてあげないで誰が叶えられるの、美香さんを愛するあなたにしか出来ないのよ」
「・・・・・・」
雅和なら美香の希望をきっと叶えてくれると信じていた。まだ見ぬ父との再会は実現に向け動き始めようとしているが美香のもう一つの願いである出産だけは命に関るだけに難しかった。美香の妊娠のことだけは自分が話すことではないと佐知は口をつぐみ雅和には話さなかった。しかし雅和がそれを知る日はそう遠くはなかった。
病院失踪後、病室に戻ってきた美香は雅和と目を合わせようとしなかった。二人の間に気まずい雰囲気が流れていた。佐知は重苦しい空気を変えようと美香に声をかけた。
「美香さん、井川君は病院からの電話で飛んで来てくれたの 心配してずっとここで待っていてくれたのよ」
「佐知さんの言いたいことは分かっているわ 雅和心配かけてごめんね でもわたし今は一人でいたいのごめんなさい 佐知さん雅和を連れてここから出て行ってお願い」
「俺が此処にいたら美香さんは迷惑なのか そばにいたいと思う俺の気持ちも・・」
「なに言ってるの井川君、そんなことある訳ないじゃない 美香さんは疲れているだけ だから美香さんの言う通り今日は帰りましょう、ねっ井川君、美香さんを休ませてあげましょう」
背を向け黙りこむ美香とその背中をじっと見つめる雅和そんな二人を佐知は哀しい目で見つめるしかすべはなかった。布団を頭から被り美香は顔を隠してしまった。佐知は渋る雅和の腕をつかみながら病室を出た。
「今日の美香さんは俺の知らない別人のようだった」
「井川君、もし・・もしもよ 自分の一生を振り返らなければならない状況に置かれたら人はどうなるかしら」
「・・・・・」
長い沈黙だった。
「そんなこと考えたくもないよ 俺にはとても耐えられない・・ もしかしてそれって美香さんのことを言ってるのか 彼女は自分の人生を そうなのか佐知」
「・・・ 」
「やっぱりなにか隠している 佐知、君は美香さんが俺に話せないでいる事を知っているそうだろう いい加減もう嘘つくのだけはやめろやめてくれ」
「私は看護士じゃないのよ 入院患者のことや病気のことは分からないわ 真実はどうあれ美香さんに限らず先のことなど誰にも分からないんじゃないかな 雅和わたしが知ってることはさっき全部話したわ」
「いや君は嘘をついているよ なにかまだ隠している どんなにごまかそうとしても俺にはわかるんだ 昔俺が愛した君のことは分かるんだ」
美香が言いそびれた妊娠の事実を雅和に告げるなら今しかないと決心した。
「井川君はすでに知っているでしょうけど・・美香さんはお腹にいる赤ちゃんのことで悩んでいたわ」
「・・・・・あかちゃん」
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