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不思議な三角関係
揺らぐ心2
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看護師に呼ばれ担当医と向き合う雅和の膝頭は小刻みに揺れていた。
「木内さんには身内がいないとお聞きしましたが親類縁者お一人もいらっしゃらないのですか」
「はい彼女は正真正銘天涯孤独の身で僕以外に頼る人はいないのです 僕は身内同然なんです だから彼女のことは包隠さず全部僕に話してください」
「そういわれましても・・困ります」
「彼女は婚約者で僕たち結婚の約束をしています だから身内と同じじゃないですか だから先生お願いします」
「わかりました。木内さんの意識が回復したらその辺のこともお聞きしてそれから判断させていただきます それまで個人情報はお伝え出来ませんのでご了承ください」
「わかりました 先生美香さんをよろしくお願いします」
雅和は美香との結婚を早く現実のものにしなければと思った。病室に戻るとイスの上に佐知が書いたメモが残されていた。
井川君、私は仕事に戻ります。美香さんの容態は安定してるそうです。安心ですね。目を覚まして笑顔で話せる日が来ることを祈りましょう
この日雅和は美香の病室からひと時も離れなかった。仕事を終えた佐知は帰りがけに美香の病室を覗いた。美香の枕元に頭を落とした雅和が見えた。
安心して眠ってしまったのね・・
佐知は起こさないように静かにドアを閉めた。
「さっちゃんはもう帰宅時間なのね お疲れ様でした あっそういえばさっちゃんは木内さんとは知り合いよね」
「はい」
「さっちゃんが井川君と言ってた人 木内さんの婚約者なんですってね」
「えっそうなんですか 私は聞いていませんでした」
「そう、でも木内さんは妊娠していたのに残念でしょうね 楽しみにしていたでしょうに気の毒だわ」
「それは赤ちゃんを産めないということですか」
「詳しいことは言えないけれど木内さんの場合、担当医なら堕胎して治療に専念するように薦めるでしょうね」
「彼女の病気は重いのですか 意識が戻れば良くなって退院できますよね」
「いまは何とも言えないわ でも病気との本当の戦いは木内さんの意識が戻ってからなの 本人の気持ちが萎えては苦しい戦いに勝てないわ 戦いはこれからだから、さっちゃん応援してあげてね」
「はい」
「引き止めてごめんね おしゃべりが過ぎたかな内緒話にしてねお疲れ様」
「お先に失礼します」
妊娠しているのに産めない、それだけで身がつまされるのに更につらい病気との戦いが美香さんを待っている。美香の病気が容易でないことを知り佐知の足取りは重かった。病院を出たそのときマナーモードの携帯が震えだした。
「木内さんには身内がいないとお聞きしましたが親類縁者お一人もいらっしゃらないのですか」
「はい彼女は正真正銘天涯孤独の身で僕以外に頼る人はいないのです 僕は身内同然なんです だから彼女のことは包隠さず全部僕に話してください」
「そういわれましても・・困ります」
「彼女は婚約者で僕たち結婚の約束をしています だから身内と同じじゃないですか だから先生お願いします」
「わかりました。木内さんの意識が回復したらその辺のこともお聞きしてそれから判断させていただきます それまで個人情報はお伝え出来ませんのでご了承ください」
「わかりました 先生美香さんをよろしくお願いします」
雅和は美香との結婚を早く現実のものにしなければと思った。病室に戻るとイスの上に佐知が書いたメモが残されていた。
井川君、私は仕事に戻ります。美香さんの容態は安定してるそうです。安心ですね。目を覚まして笑顔で話せる日が来ることを祈りましょう
この日雅和は美香の病室からひと時も離れなかった。仕事を終えた佐知は帰りがけに美香の病室を覗いた。美香の枕元に頭を落とした雅和が見えた。
安心して眠ってしまったのね・・
佐知は起こさないように静かにドアを閉めた。
「さっちゃんはもう帰宅時間なのね お疲れ様でした あっそういえばさっちゃんは木内さんとは知り合いよね」
「はい」
「さっちゃんが井川君と言ってた人 木内さんの婚約者なんですってね」
「えっそうなんですか 私は聞いていませんでした」
「そう、でも木内さんは妊娠していたのに残念でしょうね 楽しみにしていたでしょうに気の毒だわ」
「それは赤ちゃんを産めないということですか」
「詳しいことは言えないけれど木内さんの場合、担当医なら堕胎して治療に専念するように薦めるでしょうね」
「彼女の病気は重いのですか 意識が戻れば良くなって退院できますよね」
「いまは何とも言えないわ でも病気との本当の戦いは木内さんの意識が戻ってからなの 本人の気持ちが萎えては苦しい戦いに勝てないわ 戦いはこれからだから、さっちゃん応援してあげてね」
「はい」
「引き止めてごめんね おしゃべりが過ぎたかな内緒話にしてねお疲れ様」
「お先に失礼します」
妊娠しているのに産めない、それだけで身がつまされるのに更につらい病気との戦いが美香さんを待っている。美香の病気が容易でないことを知り佐知の足取りは重かった。病院を出たそのときマナーモードの携帯が震えだした。
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