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不思議な三角関係

縁は異なもの5

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朝とは打って変わり静まり返った待合室だった。受付の終了のプレートがゆらゆら揺れていた。

喫茶店で話し込んでしまったから・・肩を落とし美香は長椅子に座り込んだ

受付に人影が見え声が聞こえてきた。

「あっあれは佐知さん」

イスから立とうした瞬間、美香の体が床に崩れ落ちた。バッグから飛び出したコンパクトの金属音が静まり返った待合室に響いた。

「大丈夫ですか、私の声が聞こえていますか、私の手を握れますか」

看護士の問いかけに床にうつ伏せに臥した美香に反応はなく微動だもしなかった。

佐知は治療室に運ばれていった患者の散らばった所持品を拾い集めていた。倒れた患者の身元や家族の手がかりがわかるものはないかと必死になって探していた。さちは患者の大きなバックから分厚い手帳を見つけた。手帳を開くと挿んだ一枚の名刺が開け放たれた窓からの突風に蝶のように舞い上がった。名刺を追いかけ床にしゃがみこんだ佐知の目の先に光る銀色の塊があった。見覚えのあるペンダントのヘッドだけが落ちていた。四方を見渡すとちぎれた鎖も見つかった。

まさかあの時とおなじペンダント・・

佐知は手にしたロケットペンダントの蓋を開けてみた。目に飛び込んできたのは微笑む雅和の写真だった。

倒れて運ばれて行ったのは美香さんに違いないと確信した佐知は慌てて手帳のアドレスを捲り雅和の名前を探していた。しかしアドレス欄に雅和の名前は見当たらなかった。手帳を丁寧に捲りなおしていると水色のページが出てきた。可愛らしい相合傘の下に書かれた美香と雅和・二人の名前その下に雅和の会社の番号と携帯番号が書いてあった。

間違いない やっぱり美香さんだ

雅和の会社と携帯にも電話をかけたがどちらも繋がらず佐知は伝言を残した

「佐知です 美香さんが倒れて私の勤務する病院にいます ご家族と連絡がとれなくて困っています井川君からの電話待っています」

診察が終わった受付の同僚はみんな帰宅していた。倒れた患者が美香と分かった以上佐知は放って置けなかった。院長の姿が見えた 診察を終えた院長が院内にいるのは珍しいことだった 嫌な予感を追い払い院長に言葉をかけた。

「待合室で倒れていた患者さんの知人と連絡が取れましたがご家族とはまだです。院長先生、患者さんは大丈夫でしょうか」

「脳神経の橘先生が立ち会って検査している 僕にまだお呼びがかからないということは心配ないのだろう」

院長の言葉に佐知は胸を撫で下ろしていた。

「さっちゃ~ん事務所に電話が入っているわよ ここで電話をとってもいいわよ」

ナースステーションで受話器をとった佐知の耳に聞こえてきたのはいつもとは違う慌てた雅和の声だった。



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