涙が幸せの泉にかわるまで

寿佳穏 kotobuki kanon

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不思議な三角関係

縁は異なもの2

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店内はステンドグラスのランプが方々に配され昭和の時代を思わせた。椅子も母が愛用していた年代ものと似ていて懐かしかった。辺りを見渡す美香にママが声をかけた。

「いらっしゃいませ はじめての方はみんなあなたと同じ呆然と立ちすくむの このお店にはじめての人はこないからあなたも誰かの紹介かしら」

「はい、お店まだ開店前でしたか」

「この時間はいつも閑古鳥こんな状態なの 常連さんはもう少し後にやってくるのよ あっごめんなさい、座って頂戴カウンターでいいかしら」

「はい」

「このお店分かりにくいし入りづらいでしょ でも長いことやってるから常連さんだけで十分成り立ってるのよ あなたは久しぶりの新客なの あなたなんだかさっきから落ちつかない様子ね 遠慮しないでいやなら出て行っても構わないのよ」

「いいえ私このお店気に入りました」

「そんな気遣いここではノウサンキューよ あっごめんなさいね、ご注文まだでしたね」

「コーヒーをお願いします」


カウンターの壁一面に貼られた写真に気がついた美香はママに尋ねた。

「後ろに張られた写真はすべてお客さんですか」

「ああこれ、そうよすごい枚数でしょう でも私が好きになれない客はカメラには収めないわ 見境なく誰でもってわけじゃないのよ ここ張られるのは私に選ばれし人たちなの」

「・・・・・」

「ちょっと面倒くさいママかもなんて思ったでしょ」

「いいえそんなこと・・」

「はい珈琲どうぞ、ゆっくりしていってね」

ママは黙々と果物や野菜を切る作業を始めていた。手帳を捲る美香に仕込みを終えたママが声をかけた。

「さっき誰かにこのお店を聞いたって言ったけどその人はあなたの恋人なんじゃないそうでしょ」

「えっ・・・・・」

「私のこと気味悪がっているみたいね」

「いいえ、そんなこと」

「私ねこれでも知る人ぞ知る霊能者占い師なのよ 常連さんしか知らない秘密だけど今日は特別よ」

「霊能者ですか・・」

「怖がらないで聞いてね 私ね好きになった客だと見えてしまうの、いやでも色んなことが分かってしまう、だからあなたのことも見えた、見えてしまったの」

美香は身震いしながらママの顔を凝視していた。


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