涙が幸せの泉にかわるまで

寿佳穏 kotobuki kanon

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別れた二人の関係

昔の恋人は12

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雅和は美香に佐知との再会の一部始終を話しはじめた。しかし佐知との一夜の件だけは話せなかった。

「佐知と会って俺たちは他人だとわかったんだ そして和由という子供の存在を知った 親父の子供は確かに存在していたけどもうこの世にいないんだ その子供は生まれてすぐに亡くなっていた」

「その子供は佐知さんとは父親違いの兄で雅和にとっても母親違いの兄。どちらにも和由という兄がいたというわけね それでそのとき佐知さんはどんな様子だった」

「佐知は実母の手紙で子供の存在を知ったらしい でもその子供の父親が誰かまでは知らなかったようだ でもあいつ笑顔で言ったんだ 実母が愛した人が俺の親父で良かったって」

「そう、よかったって言ったのね佐知さん」

「佐知は親父のことが大好きだったんだな よほど気が合ったんだろう俺が嫉妬するほど二人は仲が良かったからね」

「雅和のお父さんは佐知さんがかつて愛した由里子さんの子供とも知らず会っていた 恋人の面影を残す佐知さんに懐かしい感情が呼び起こされたとしたらお父さんには佐知さんが由里子さんの生まれ変わりに思えたのかもしれないわね」

「佐知と出会ってから不思議なことがいっぱい起きた・・これも美香さんが言うなにかの縁なのかもしれないね」

「大事なのはその縁をこれからどうするかなのよ」

「佐知とはまた会おうって約束してきたよ」

「喜んでたでしょ佐知さん」

「あぁ昔には戻れないけどありがとうって言ってくれた」

「丸く納まってよかったわね」

笑顔をつくる美香の心に雨雲が立ち込めていた。

雅和と佐知さん二人は血の繋がりのない赤の他人だった 愛の復活再縁の可能性がゼロではなくなった今二人の接近は危険だわ・・・

一抹の不安が美香に襲いかかってきた再会を頑強に薦めた張本人の美香がこの場に及んでうろたえていた。縁を切らないでと言った美香の心は揺らぎ始め雅和の口から佐知の名前が出るたび耳を塞いでしまいたい衝動に駆られていた 佐知の話になると過敏なまでに美香の神経が研ぎ澄まされていった 美香は二人が過ごした郷里を訪ねてみたくなった。


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