涙が幸せの泉にかわるまで

寿佳穏 kotobuki kanon

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別れた二人の関係

昔の恋人は1

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雅和と佐知の新たな関係は美香を巻き込み展開していた。


親父の忘れられない人それが佐知の実母。そして二人の間には子供がいた。余程の因果があるんだろうな佐知と俺は・・


雅和は別れた佐知との新たな出会いには意味があると言った美香の言葉を思い出していた。いま雅和は佐知との縁を断ち切るか引き寄せてみるべきか悩んでいた。悩み事を抱えた雅和の最後の拠りどころはいつも美香だった。連絡をしようとしていた美香は突然すぎる雅和の訪問に驚いていた。


「いつも突然の訪問は必ず何かあるから恐いわ」


「今日は親父と佐知のことを聞いてもらいたくて来たんだ」


思いつめたような眼光に美香はあの夜のように部屋に入れた。


「そんな目で見ないで恐いわ」


「あっごめん 俺そんな怖い目してる」


「うん怖い怖い、ちょっと待って珈琲入れるわね」


立ち昇る珈琲の香りは鼓動を鎮めてくれた。珈琲に口も付けず雅和は話を始めた。


「美香さんに聞いて欲しいのは親父の過去なんだ 親父には由里子さんという恋人がいた その恋人は親父の子供を産んだ ここから先が重要だからよく聞いて…親父の恋人は皆井佐知の母親だった 佐知は両親を幼い頃に事故で亡くし施設に入り現在は養子先で暮らしている 彼女が親父の子だという証拠は何もないけど親父の子なら俺達は義兄妹 親父と佐知の母親が愛し合い子供がいたことは間違いない事実なんだ 今となっては真実を語る人はみんなあの世の別世界にいるからどうしようもないけどね」


「佐知さんは自分の出生をどこまで知っているのかしら」


「親父から聞いた限りでは養女のことは彼女もわかっていたらしい 親父と佐知は親交があったんだ 俺の親父とも知らないで佐知は親父と会っていた俺はそんなこと全く知らずそれを知った俺は二人に嫉妬した それが原因でひと悶着あって俺と佐知は別れた 思えば俺と佐知のまわりには色んな因縁が渦巻いていたんだ」


「佐知さんが雅和のお父さんの子供なら二人の愛は禁断の愛そのものね とっても複雑な切ない悲恋物語の小説が書けそう」

「美香さん、俺は真剣に話をしているんだから茶化さないでくれよ」


「そうねごめんなさい 今回はクイズみたいに、はいわかりましたって訳にはいかないわね 真実の答えはそんなに簡単にでるのかしら 真実は深い鉱山を掘り当てるようなものだから沢山のアンテナを張らないと答えはでないと思うわ 佐知さんがそのアンテナの一つだとしたら会うべきじゃないのかしら」


「うんそうかも・・一度会って話すべきかもな」


「そうよそれがいいわ やっぱり佐知さんとの縁には意味があったでしょ 会って話したら何かわかるかもしれないわ」


「佐知の実母と親父との関係をどう切り出すかが問題だな 実母の過去を知らされた佐知はきっと驚くだろうな 俺と同じようにきっと悩み苦しむそして同時に俺は余計なことをしたと後悔するんだろうな。幸せならこのままそっとしておく方がいいと思ったり佐知の気持ちを考えると会って話す決心がぐらつくんだ」


「子供には親を知る権利があるわ 佐知さんだって実の両親のこと知りたいと思っているはずよ 養父母に遠慮があって聞けないのかもしれない でも知りたくないはずがないわ たとえ親が悪人であっても知りたいと思うのが血を分けた肉親の情でしょう 佐知さんが何も知らないのなら知るべきよ それで苦しんだとしてもその後の人生は意義深いと思う」


「美香さんやけに熱くなってない?」


佐知さんの気持ちはきっと私と同じ・なぜか・・私にはわかる

美香には佐知の思いが自分と重なってみえていた。
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