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美香のルーツ
私は父なし子12
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「珠実わたしね、私不倫をしていたの それを知って、それでお父さんは死を選んだ 借金で相当まいっていたのにさらに私の不倫 死の引きがねを引かせたのはきっと私」
「・・・・」
「驚いたでしょ」
「うん、少し」
「わたし誰かに話してそれで罪が許されるなんて思っていないのよ だけど黙っているのがつらくて誰かに話したかった たった一人、珠美にだけは隠さず話したかったの」
「早苗ちゃんの罪がどんなものなのか私には分からないけど話して楽になれるんだったら何でも聞くよ 心の痛手は溜め込まないで吐き出したら良くなるから聞いてあげるよ」
「珠実、わたしね・・いま父に対する二つの感情に戸惑っているの ひとつは不倫をしていた私の父に対する罪悪感そして母を手にかけ私をひとり残し逝った父への怒り このふたつの感情をどう受け入れていけばいいのか分からない、考えても考えても苦しいだけで答えがわからないの」
「言葉が・・・いま早苗ちゃんを救ってやれるような言葉が見つからない、ごめん でも現実を受け入れない限り苦しみはなくならないと思うんだ 疑念の心があったら又そこから新たな苦しみや悲しみが生まれる もう過ぎたことを考えるのはやめにしない?終わりにしよう 冷たい言い方だけれどそれが早苗ちゃんが楽になれる方法だとわたしは思うの」
「そうね、両親の死を受け入れられずいっぱい泣いて悩んで苦しんだ 人生って儚いんだなってしみじみ思った 家族との平穏な日々の積み重ねが幸せに繋がっていた そしてその幸せが永遠でないことを知った私は・・いま孤独が一番つらい でも私負けない、頑張るよ」
「早苗ちゃん、孤独の世界に逃げちゃだめだからね 内にこもったらもっとつらくなるだけだから つらい時は他人の力を借りていいんだよ おじさんおばさんがいなくても早苗ちゃんには帰る古里があるのよ その古里に私がいることを忘れないで 雄哉だって雄哉の両親も皆んな心配しているよ だから辛いときは甘えていいよ、私の所に帰って来ていいんだからね」
「珠美ありがとう、うれしくて泣きそう」
「泣いていいよ 我慢しないでいっぱい涙を流したら元気になれるよ 気がすむまで泣いたらゆっくり眠ってね 早苗ちゃんは一人じゃない、私がいるずっと一緒よ 離れていても早苗ちゃんの隣にはいつも私がいるこれからもずっと、だから早苗ちゃんはひとりぽっちなんかじゃないんだからね」
母早苗は大切な人がいたことに気づいた。手に届くところにあった大切なものを見つけた早苗は変容した。君には僕がいると言ってくれた父悟朗のその言葉はもはや空を舞う薄っぺらい紙切れ同然になっていた。珠美からの両親の親心にも似た言葉は母早苗の心に居座り続けた深い嘆きを解き放していた。
「・・・・」
「驚いたでしょ」
「うん、少し」
「わたし誰かに話してそれで罪が許されるなんて思っていないのよ だけど黙っているのがつらくて誰かに話したかった たった一人、珠美にだけは隠さず話したかったの」
「早苗ちゃんの罪がどんなものなのか私には分からないけど話して楽になれるんだったら何でも聞くよ 心の痛手は溜め込まないで吐き出したら良くなるから聞いてあげるよ」
「珠実、わたしね・・いま父に対する二つの感情に戸惑っているの ひとつは不倫をしていた私の父に対する罪悪感そして母を手にかけ私をひとり残し逝った父への怒り このふたつの感情をどう受け入れていけばいいのか分からない、考えても考えても苦しいだけで答えがわからないの」
「言葉が・・・いま早苗ちゃんを救ってやれるような言葉が見つからない、ごめん でも現実を受け入れない限り苦しみはなくならないと思うんだ 疑念の心があったら又そこから新たな苦しみや悲しみが生まれる もう過ぎたことを考えるのはやめにしない?終わりにしよう 冷たい言い方だけれどそれが早苗ちゃんが楽になれる方法だとわたしは思うの」
「そうね、両親の死を受け入れられずいっぱい泣いて悩んで苦しんだ 人生って儚いんだなってしみじみ思った 家族との平穏な日々の積み重ねが幸せに繋がっていた そしてその幸せが永遠でないことを知った私は・・いま孤独が一番つらい でも私負けない、頑張るよ」
「早苗ちゃん、孤独の世界に逃げちゃだめだからね 内にこもったらもっとつらくなるだけだから つらい時は他人の力を借りていいんだよ おじさんおばさんがいなくても早苗ちゃんには帰る古里があるのよ その古里に私がいることを忘れないで 雄哉だって雄哉の両親も皆んな心配しているよ だから辛いときは甘えていいよ、私の所に帰って来ていいんだからね」
「珠美ありがとう、うれしくて泣きそう」
「泣いていいよ 我慢しないでいっぱい涙を流したら元気になれるよ 気がすむまで泣いたらゆっくり眠ってね 早苗ちゃんは一人じゃない、私がいるずっと一緒よ 離れていても早苗ちゃんの隣にはいつも私がいるこれからもずっと、だから早苗ちゃんはひとりぽっちなんかじゃないんだからね」
母早苗は大切な人がいたことに気づいた。手に届くところにあった大切なものを見つけた早苗は変容した。君には僕がいると言ってくれた父悟朗のその言葉はもはや空を舞う薄っぺらい紙切れ同然になっていた。珠美からの両親の親心にも似た言葉は母早苗の心に居座り続けた深い嘆きを解き放していた。
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