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予期せぬ巡り合わせ

こんなことって9

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事務所に着いた雅和はカバンを開けて青ざめた。アイロンをかけられたハンカチが封筒と並んで入っていた。


美香さんに気づかれただろうか そんな素振は美香さんからは見受けられなかった。いやまて美香さんは大人の女だ手紙を見たとしても彼女なら何も言わないだろう だとしたら知らない振りをしてくれた?


一刻も早く美香の疑念を晴らしておかないとまずいと雅和は仕事どころでなくなっていた。


「雅和さん東商さんから催促のお電話です 雅和さん雅和さ~ん」


事務の泉さんが何度も雅和を呼んでいた。


「雅和、朝からボーッとしてるんじゃない」


てっちゃん(手塚)の怒声がとんだ。雅和の電話が終わるのを見計らい手塚がやってきた。


「雅和、今日のお前は仕事なんて上の空って感じだぞ 上に立つものがそんなんじゃ示しがつかないだろ 仕事に集中できないなら仕事場から消えろ 士気を高める役目のお前がこんなんじゃ事務所の雰囲気が悪くなる 俺達は取引先に喜んでもらうため、しいてはお前のため頑張ってるんだ 俺の言いたいことわかるよな」


「てっちゃんすまなかった 気を入れ直すからこのまま仕事させてくれ」


「よしわかった 今日も一日がんばろうな」


手塚はいつしか雅和の親父のような存在になっていた。

皆が帰った事務所で雅和は美香にどう話せばいいのか思案していた。美香は相手が恋人であろうとも前触れもなく来訪されることを嫌った。以前美香に会いたくて深夜マンションを訪ねた雅和に美香が言った。

親しき仲にも礼儀あり、そういう一線はどんな関係にも必要なの

足蹴にされドアを閉められた記憶が蘇り足どりは重かった。雅和は開けてはくれないだろうドアを今夜はどんなに煙たがらようと開けさせる決意だった。


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