涙が幸せの泉にかわるまで

予期せぬ巡り合わせ

こんなことって7

「あっそういえば彼女も同じようなことを言ってたよ　美香さんは感じのいい素敵な人だって　俺と美香さんはお似合いのカップルだって言われたよ」


「嬉しいな　以外と彼女と私、気が合うのかもね」


「やめてくれよ　二人でタッグを組まれたら太刀打出来ないよ　ありえない話は終わりにして何か食べに行こう　美香さん今日は何が食べたい？」


「久しぶりに中華料理が食べたいな」


「中華料理かいいね　ペンダントが戻って懐もあったかいしフカヒレでも上海蟹でも何でもごちそうするよ」


「今日はずいぶん太っ腹なのね　それではお言葉に甘えていっぱいご馳走になって、今夜もハッスルしちゃいま～す」

「そうしてまた動揺する俺の反応を楽しむつもりだろうけどその手にはもう乗らないよ」


「ほぉ～ずいぶん成長しましたねぇ」


「もういい加減こども扱いはやめてくれないかな　まー君と呼ぶのもやめてほしいんだ　今日から雅和って名前で読んでもらいたい　俺は今まで美香さんに甘えて守られてきたけど卒業したいんだ　まーあ君なんて美香さんは俺の母親じゃないんだから勝和でいい
頼りないだろうけど今日からは一人前の男として俺と向き合ってください　お願いします」


「今日のまー君は別人みたいね」


「俺、変わりたいんだ　将来を見据え美香さんに相応しい男になって美香さんを幸せにしてみせる」


「まー君の気持うれしいわ　今夜は最高級の中華料理三昧で幸せに浸らせてもらおうかな　たっぷりご馳走になっちゃいますけど大丈夫でしょうか雅和さん」


「あぁ任せとけ、金に糸目をつけずドーンとご馳走してやるよ」


「今日は一段と男っぷりがいいわね」


「惚れ直した？」


「私はもう十分惚れてますけど、はい惚れ直しました」


美香はペンダントヘッドをそっと持ち上げて笑って見せた。その笑顔はいつも雅和を癒し元気にしてくれた。無償の愛を注いでくれる母にも似た向日葵のような美香がこの上無く愛おしかった。雅和が心をこめて磨いたペンダントが美香の首に戻った。決して高価な品ではないが宝石にも負けない光を放つそのペンダントは美香の胸元で目映い輝きを見せていた。