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予期せぬ巡り合わせ

新旧の恋人3

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美香が倒れたことをメールで知った雅和は車で病院に駆けつけた。てっちゃんから半ば強引に許可をもらっての上京だった。


「美香さん」


「まー君がどうしてここに」


「美香さんが倒れたってモンキーから聞いて会いに来た こんな一大事の時に仕事にかまけっぱなしじゃ会えないからね」


「ねぇここ触ってみて 心臓がバクバクしているのがわかるでしょ」


美香は雅和の手を胸元に誘っていた。


「驚かせてごめんね 体はどう」


「大丈夫、検査入院だから心配しないで でも勝手知らない場所で入院するって心細いのね」


「やっぱり来てよかったよ 寂しそうな美香さんが毎晩夢に出て心配だったんだ」


「寂しいのはまー君のほうじゃない 私がいないと寂しいのでしょう」


「ひどいよ、まるで子ども扱いだな」


「そんなことない 心配して来てくれて本当に嬉しいのよ ありがとう、まー君」


「俺、美香さんの退院に合わせて帰るよ そのつもりで来たから」


「仕事は平気なの」


「てっちゃんからこっちの仕事をもらってきたんだ あっ遅刻はまずいな、もう行かないと」


「まー君の目じり下がりぱっなしよ 仕事モードに切り替えて行ってらっしゃい」


「うんそうだね、襟を正して行ってきます」


美香は午後の検温に来たナースに退院の日程を尋ねた。


「まだ退院は無理でしょうか」


「木内さんの入院は5日間となっていますね 先生に聞いておきますがご希望はありますか」


「今週末は 聞いていただけますか」


「わかりました 先生に確認してお知らせします」


「宜しくお願いします」


美香の希望通り退院の許可は下りた。しかし条件付きだった。地元の病院で脳の精密検査を受けることを医師は強く薦めた。

雅和は新たな仕事を取り付けていた。手柄なく帰ることだけは避けたかった。出掛けに渋り顔をしていたてっちゃんになんとか報いること出来たと雅和は胸撫で下ろした。

退院の朝、美香は昨晩詰め込んだ荷物をゴソゴソあさっていた。とうとうバッグの中身すべてをベッドに並べ始めた。


「何か探しもの」


「ああぁ、どうしよう」


「大切なもの」


「まー君ごめんね、ほんとにごめん」


「何がごめんなんだかわからないよ」


「まー君から貰ったペンダントを失くしたみたいなの 家から持ってきたのに見つからない」


「探しものってあのペンダントのことか 安月給で買ったペンダントだから気にしないでいいよ もっといいのを買ってあげるから」


「あのペンダントはお気に入りだったのに」


「見つからないものはしょうがないよ 退院祝いに新しいの買うよ だからもうあきらめよう」


「そうね、あきらめるしかないわね あっ帰ったらお見舞いに来てくれたお礼をしなくちゃ、何が欲しい?まー君が欲しいのはわたしかな」


「・・・」



「いやだ、また恥かしがっている」


「俺、意地悪な美香さんなんか放って一人で帰ろうかな」


「いやよ置いていかないで、一緒に帰りましょう」


「だったらまずは荷物をバッグに戻してください さぁ早く支度して一緒に帰ろう」


二人は外で夕食を済ませ美香のマンションに帰った。ベッドに入った雅和は美香の体を気遣っていた。


「どうしたの 今日はほしくないの」


「今日はいいよ 美香さんは病みあがりだからこうして美香さんの側で眠れるだけでそれだけで」


「そんな事いわないで 病院の生活は寂しくてまー君が恋しかった こうして二人の時間が戻ったのよ 二人になれたのよ だからお願い」


その言葉が引きがねになって雅和の熱い思いが満ち溢れてきた。


「心配でいてもたっても居られなかった 美香さんが無事に帰ってきてくれて俺本当にうれしいよ」


二人は激しく重なり合った。動物精気がムクムクと顔をだし情念の炎となって燃え盛った。二人は悶え振るえ狂おしいまでの感情に見舞われていた。色香漂う美香のやけに白いうなじが艶めかしかった。美香の首筋に光る汗の滴はトパースの原石のようだった。背中の窪みさえ彫刻の女像のようでまぶしかった。しなやかな上半身を小刻みに振動させる美香は美しかった。美香の大人の色香に身も心も溶けていた。この夜、愛を確かめるかのように二人は体を重ね続けた。

久しぶりの二人で迎えた朝は爽快だった。鳥たちのさえずりで目を覚ました二人は朝のキスをして微笑んでいた。



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