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追憶

愛の終わりは1

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確かな愛を確信するかのように求め続ける雅和とは相反して佐知の熱い熱は冷めていった。


「佐知・・どうかした」


「わたし・・雅和とならこのまま地獄に落ちてもいい、雅和が欲しくて、いつもいつも欲しくてたまらなかったのに、前とは違う、今は違うの」


「佐知俺をしっかりみるんだ 俺はお前だけだ お前がいるから頑張れる 体だけじゃなく心が通っていれば強い絆でいられる 佐知とはずっとそんな仲でいたい」


「その心に曇りがあるなら一緒にはいられない やっぱり嘘はつけない」


「佐知の気持ちは俺の気持ちと同じじゃないそうなのか 許してくれたからこうして又君と、これも違うっていうのか」


「わたし本当はあなたがしたこと許してない まだ許せないんだと思う
欲情の体に偽りはなくてもそこに心が伴ってないなら私は昔の雅和と同じなの 自分が自分でなくなって壊れていくようで怖い あのまま別れていたらこんなに苦しむ事はなかったのかも」


「なぜ今、ここでそんな事を」


「ごめんなさい でも大切な人に嘘はつけない」


「嘘はないと信じるよ でも君の心が変わったのなら悲しすぎる 俺は腕の中で解けていく佐知が本当に愛おしくて堪らなかった 同時に傍で見つめているだけでいいと欲望を抑える自分もいたんだ 愛しているから大切にしたい俺はそんな感情を初めて君に教えて貰った」


「私も雅和がそばに居てくれるだけでそれだけで充たされたわ でも今は、ごめんなさい」


「佐知はここで俺との関係を片付けるのか やっと又やり直そうとしたばかりなのに まさか君が手のひら返すなんて信じられないよ 君を愛した俺はピエロだったのか 佐知と俺の絆はそんなに脆かったのか」


佐知は無言でベッドを離れワンピースのファスナーを静かに引き上げた。雅和の口から溜め息が漏れた。悲しみにも似たその溜め息はファスナーの音と重なり消されていた。


「ダンマリのままこの部屋を出て行く気か、本当に俺たちおしまいなのか 佐知はあの時の俺みたいに逃げるのか」


「ごめんなさい いま私が何かを言っても全てあなたを責めてしまう言葉ばかりなら黙ったままのほうがお互いのためだと・・」


「ごめんそれだけ?俺がどんな思いで会えない日を過ごしたか知っててそれでも君はだんまりを決め逃げるのか 此処で君を擁いた喜びも無かったことにしろと 今日の君は昔の俺同様最低だ」


両手の握り拳をベッドに叩き付け雅和は怒りを顕にしていた。肩で息する雅和から目を逸らしドアに手をかけた


「そうね、あなたが言う通り今日の私は本当に最低な女 もう会えないわね あなたと出会えたこと忘れないわ」


街路樹の下で佐知は唇を噛みホテルを仰ぎみて呟いていた。


/雅和ごめんなさい わたしが嫌う昔の男に戻ったあなたをどうしても許すことができないの 自分を騙して付き合うのはあなたを騙すことと一緒だから いっぱい愛してくれてありがとう私はあなたを忘れない/


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