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追憶
愛は砂の城2
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久しぶりのデートに佐知は朝から浮き浮きワクワクしていた。しかし遅れてきた雅和はブルーな雰囲気をただ酔わせていた。いつもと違う話しぶりや態度に佐知は違和感を感じ始めた。
「今日の雅和はご機嫌ななめのようね またお父さんと喧嘩」
言葉を遮られ無言で店から連れ出された佐知が辿り着いた先は雅和とクリスマスを過ごしたホテルだった。1102号室に入った雅和の般若のような顔に寒気がしていた。口火を切ったのは雅和だった。
「君なのか、さちという名の女は 親父の密会相手は君だったのか」
「急に何を言い出すの 雅和のお父さんとは会ったこともないのに
「じゃあ柳木沢という男とは面識があるだろう」
「私が知ってる柳木沢さんと雅和が知っている人が同じなら」
「君の知っている柳木沢は俺の親父だよ」
「雅和の苗字は井川よ」
「親父は母さんの家に入った婿だ だから親父は外では旧姓の柳木沢で通している これで分かったろ、柳木沢は俺の親父で君が密会していた男なんだ」
「まって、密会だなんて・・私と柳木沢さんは雅和が思っているようなお付き合いじゃないわ」
「君と親父はホテルで会ってたんだぞ 何でもない相手とホテルで会うなんてどう考えても普通じゃないよ 誰だっておかしいと思うだろ」
「何と言われても私は雅和を裏切るような事はしていない、それだけは信じて、柳木沢さんとは精神の繋がり同志というか・・上手く伝えられなくてごめんなさい
でも雅和の思っているような事は絶対ない それだけは信じて」
「精神の繋がりを持ってこられたらそれはもっときついよ 精神の繋がりというのならそれは簡単には切れないって事だからね」
「自分が何を言っているか分かって言ってるの 雅和はお父さんに嫉妬しているのね」
「そんなんじゃない 俺の知らないところで君は親父と会っていた そんな君が許せないんだ 俺が東京に戻るとすぐ君は親父と会った その後も頻繁に会っていた事すべて親父の手帳を偶然目にして知ったんだ 皆井佐知、スケジュール表の土曜日は君の名前で埋まっていた 信じられなくって体が震えたよ」
「ごめんなさい誤ります でもこれだけは聞いて 柳木沢さん、いえあなたのお父さんは病院長の知り合いで患者さんの一人だったの まさか雅和のお父さんだなんて本当に知らなかった」
「知っていたら君は親父との付き合いを止めたのか」
「雅和は誤解している 出会った頃の柳木沢さんは苦しんでいたわ 家庭の事や自分の人生を顧みて悩んでいたのそんな柳木沢さんを放って置けなかった患者さんだったし 会ってお話するそれだけでお元気になられる柳木沢さんが嬉しくて 本当にそれだけよ信じて」
「この部屋で俺は佐知と初めてのクリスマスを過ごした 同じこの部屋に親父が滞在し、そこに君は躊躇もせず足を運んでいた それをどう理解しろって言うんだ」
「ホテルで会ったのは本当に軽率だった ごめんなさい」
「この部屋の番号は俺の誕生日11月02日で1102号・俺は迷わずこの部屋を予約したんだ 君とのクリスマスを忘れずにいたかったから なのに君は同じこの部屋で親父と会っていた この事実をそうだったのかなんて受け止められるわけないだろう 君は俺がそんなお人よしだと思っていたのか」
「本当にごめんなさい 疚しい事は何一つないのに誤るのは不本意だけど・・雅和の気持ちがわかるから痛いほど伝わったから謝ります 私の軽薄な行動でクリスマスの思い出を台無しにしてしまった 何も知らず気付かないで・・ごめんなさい本当にごめんなさい」
雅和の気持ちが佐知のそれよりも数倍も濃くて深いと知った。あふれる涙を止められなかった。
「泣いてごまかすのは女の特権だな 俺はその手で何度も痛い目にあってきたよ」
佐知はもう限界だった。
「今日の雅和はご機嫌ななめのようね またお父さんと喧嘩」
言葉を遮られ無言で店から連れ出された佐知が辿り着いた先は雅和とクリスマスを過ごしたホテルだった。1102号室に入った雅和の般若のような顔に寒気がしていた。口火を切ったのは雅和だった。
「君なのか、さちという名の女は 親父の密会相手は君だったのか」
「急に何を言い出すの 雅和のお父さんとは会ったこともないのに
「じゃあ柳木沢という男とは面識があるだろう」
「私が知ってる柳木沢さんと雅和が知っている人が同じなら」
「君の知っている柳木沢は俺の親父だよ」
「雅和の苗字は井川よ」
「親父は母さんの家に入った婿だ だから親父は外では旧姓の柳木沢で通している これで分かったろ、柳木沢は俺の親父で君が密会していた男なんだ」
「まって、密会だなんて・・私と柳木沢さんは雅和が思っているようなお付き合いじゃないわ」
「君と親父はホテルで会ってたんだぞ 何でもない相手とホテルで会うなんてどう考えても普通じゃないよ 誰だっておかしいと思うだろ」
「何と言われても私は雅和を裏切るような事はしていない、それだけは信じて、柳木沢さんとは精神の繋がり同志というか・・上手く伝えられなくてごめんなさい
でも雅和の思っているような事は絶対ない それだけは信じて」
「精神の繋がりを持ってこられたらそれはもっときついよ 精神の繋がりというのならそれは簡単には切れないって事だからね」
「自分が何を言っているか分かって言ってるの 雅和はお父さんに嫉妬しているのね」
「そんなんじゃない 俺の知らないところで君は親父と会っていた そんな君が許せないんだ 俺が東京に戻るとすぐ君は親父と会った その後も頻繁に会っていた事すべて親父の手帳を偶然目にして知ったんだ 皆井佐知、スケジュール表の土曜日は君の名前で埋まっていた 信じられなくって体が震えたよ」
「ごめんなさい誤ります でもこれだけは聞いて 柳木沢さん、いえあなたのお父さんは病院長の知り合いで患者さんの一人だったの まさか雅和のお父さんだなんて本当に知らなかった」
「知っていたら君は親父との付き合いを止めたのか」
「雅和は誤解している 出会った頃の柳木沢さんは苦しんでいたわ 家庭の事や自分の人生を顧みて悩んでいたのそんな柳木沢さんを放って置けなかった患者さんだったし 会ってお話するそれだけでお元気になられる柳木沢さんが嬉しくて 本当にそれだけよ信じて」
「この部屋で俺は佐知と初めてのクリスマスを過ごした 同じこの部屋に親父が滞在し、そこに君は躊躇もせず足を運んでいた それをどう理解しろって言うんだ」
「ホテルで会ったのは本当に軽率だった ごめんなさい」
「この部屋の番号は俺の誕生日11月02日で1102号・俺は迷わずこの部屋を予約したんだ 君とのクリスマスを忘れずにいたかったから なのに君は同じこの部屋で親父と会っていた この事実をそうだったのかなんて受け止められるわけないだろう 君は俺がそんなお人よしだと思っていたのか」
「本当にごめんなさい 疚しい事は何一つないのに誤るのは不本意だけど・・雅和の気持ちがわかるから痛いほど伝わったから謝ります 私の軽薄な行動でクリスマスの思い出を台無しにしてしまった 何も知らず気付かないで・・ごめんなさい本当にごめんなさい」
雅和の気持ちが佐知のそれよりも数倍も濃くて深いと知った。あふれる涙を止められなかった。
「泣いてごまかすのは女の特権だな 俺はその手で何度も痛い目にあってきたよ」
佐知はもう限界だった。
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