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追憶

会いたい2

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「皆井さん、皆井さん聞こえないの」


受付にすわる佐知の頭上に声が飛んできた。


「あっ、はい なんでしょうか」


「今日もう3度目ですよ 診察券がたまっていますよ 皆井さん大丈夫、具合でも悪いの」


「はい、あっいいえ大丈夫です

元気です」


「大丈夫ならしっかり仕事してくださいね」


ハイミス部長にお目玉を喰らっていた。気持ちを切り変えたが今日は時計ばかりが気になり仕事に集中できなかった。

仕事を終え一目散に駅へと駆け出していた。人ごみをかき分け身を乗り出して雅和を探した。岩のような荷物に座る彼を見つけ息急き切って駆けていった。


「遅れてごめんなさい」


「仕事なんだからしょうがないよ」


「お帰りなさい、疲れたでしょ」


「ああ、でも君の顔みたらもうひと頑張り出来そうだ」


「何をひと頑張りしてくれるのかな」


「人の揚げ足取るな」


じゃれながら二人は北風の町を歩き出していた。


「ねぇ私たち今日から名前で呼び合わない」


「いいね俺は佐知、でいいかな」


「えぇ、私は雅和、う~ん、まあ君はどう?」


「なんだか親に呼ばれているみたいで落ち着かないよ」


「本当に家でまあ君って呼ばれているの」


「とにかくその呼び方は勘弁して この通り頭を下げてお願いするよ」


「そんなに嫌なら雅和、これならいいでしょ」


「うん、さて上手くまとまったところでどこ行こうか」


「今日は一段と寒いわね どこでもいいからお店に入りましょう」


二人は目の先にあった小さなお店に入った。店内の暖かい気流が凍えた身体を包んでくれた。膨らんだ荷物を置いた雅和はグッタリと座り込んだ。


「ずいぶん大きな荷物ね」


「うん、今回は特別」


「なら、しばらくいられるのね」


「うん、少し長い滞在になるかも」


この件には触れたくないのか彼はすぐに話題を変えた。


「二人で何か計画立てないか」


「いいわね、クリスマスパーティーなんてどう?」


「クリスマスパーティーか」


「男の人とクリスマス、私はじめてなのよ」


「俺も久しぶりだよ」


言い終えた雅和はマズイと思ったのかコップの水を一気に流し込んだ。


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