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追憶

傷心

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プロローグ

人はさまざまな形の愛と出会い、喜び傷つき苦しみ失い涙しても幾度も起き上がり人生の歩みを続ける。

人生は誰のものでもなく自身で作り上げていくオリジナル。

ならば誰もが希望に満ちた最高の人生を望むであろう。

他力だけで救われ逃れられる人生など決してない

自らの手で人生はもっと楽しく自在に変えてゆけるはず


/この地球に生を受け生かされている命。今日もひたすら生きようとしている命。あれもこれも・どれもこれも

地球上のすべての命は愛おしく大切なかけがえのない尊い命/


1傷心

別れの時、それははじめて形となり姿を見せた。二人は改札口の人ごみを悲愴な面持ちで無言のまま幾度となく見送っていた。腕と腕がかするかに触れ合うと仄かに忘れかけていた温もりが甦ってきた。それでも瞳を合わせようとはしなかった。別れの最終電車がホームに入ってきた。バッグを持ち上げると男は背を向け離れていった。サヨナラひとつなく改札の人ごみに消えていった。愛の終わりがこんなにも冷酷だなんて・・別れてまだ日浅い恋人にかける優しさの一欠けらもなく悲しかった。手紙に書かれていた男らしい文字が重くずっしりと圧し掛かった。

/愛しあった男と女の別れは君が思っているほど甘くないからな/

好きだった大きな背中が小さくなって見えなくなった。


「雅和 まさかず」


しゃくり上げた声は愛する人を乗せた電車にかき消されていた。その声は闇に紛れいつまでも響いていた。あの日から歳月は足踏みをしたままだった。過ぎし日々がメリ-ゴーランドに乗って渦巻いていた。涙がとめどなく溢れ止められなかった


「悲しみの泉はいつ枯れてくれるのだろう いつになったら自分を取り戻せるの」


愛する人と過ごし輝いていたあの頃に戻りたかった。 


「愛の日々を追いやるのはやめよう このまま思い出や未練に溺れてしまおう」


投げやりや捨て鉢でなく素直にそう思えた。それが自分にとって癒しになり再生のきっかけになると信じたかった。抜け殻と化し自分を見失い苦しんでいた。悔恨の涙と傷心の溜息ばかりの日々が過ぎていった

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