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石鹸
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材料:苛性ソーダ(この時代にはないのでオリバーに作り方を書いた紙を渡して魔法使いの協力の元作らせたもの)、オリーブオイル、精製水(これは妖精王にもらう)
1.苛性ソーダ水をつくる。
2.苛性ソーダ水とオイルの温度を一緒にする。
3.温度が揃ったらオイルのなかに苛性ソーダ水を入れる。
4.20分間かき混ぜる。
(面倒なのでアスターにやらせる。この時代には泡立て器はないが、アスターならどうにかできるだ取ろうと信頼して任せる)
5.型に入れる。
6.本来なら保温箱に入れて一日寝かせるが、妖精王の力を借りて石鹸だけ時間の感覚を狂わす。
7.石鹸を型からだすと均等にきっていく。
8.ここも本来なら一ヶ月石鹸を風通しのいいところに置いて乾燥させるが、今すぐ使いたいのでまた妖精王の力を借りる。
9.完成!
※注1 引用元は下にきさいしています。
「完成!ああ~!やっとこれでお風呂に入れるわ~!」
私は嬉しさのあまり石鹸に頬擦りする。
その姿を見たアイリーン以外全員ドン引きする。
アイリーンは私の役にたてたことが嬉しくてニコニコと笑っていた。
「じゃあ、私は早速風呂に入るから着替え誰か持ってきてね」
そう言い残しアイリーンを連れて小屋へと入る。
「アイリーンあったかい水をここに満杯になるまで出して欲しい」
「はい。ご主人様。お任せください」
アイリーンは快くあったかい水を浴槽いっぱいに入れてくれる。
「おお~!」
私は嬉し過ぎて歓喜の声を上げる。
今すぐ飛び込みたいのを我慢し、体を洗う。
まずはアイリーンに全身に温かい水をかけてもらう。
その次に石鹸で頭を洗い、濡らしたタオルを石鹸で泡立たせてから体を洗う。
最後に顔を洗ってから湯に浸かる。
「ああ~!最高~!気持ちいい~!」
おっさんのような野太い声が出る。
「はい。とても気持ちいいです。ご主人様は天才ですね。こんなことを思い付かれるなてとても素晴らしいです」
「まぁね」
元の世界では普通のことだが、こうも褒められると悪い気はしない。
これから風呂の文化をして金儲けができると思うと余計に気分がよくなる。
「……なんか不気味な笑い声が聞こえるぞ」
「いつものことだろ」
オリバーの質問に淡々と答えるアスター。
二週間ずっといたアスターには当たり前に感じるが、屋敷で待っていた者たちにはいつものことではない。
アスターの言葉にその場にいた全員は慣れる程あの悪魔の声を聞いたのだなと同情する。
「それより今回は何をしたと思う?」
軽く咳払いをしてからオリバーは尋ねる。
「わからない。出てくるのを待とう」
アスターは首を横に振り、ローズ
が出てくるのを待つ。
一時間経過。
「あ~、さっぱりした。ビールを飲めればもっと最高なんだけどね」
ビールは昔からあったが、それは私の求めるビールではない。
昔のビールと近代のビールは違う。
飲まないことにはなんとも言えないが、今私が欲しているビールはキンキンに冷えた缶ビールだ。
氷も手に入りにくい。
私が飲みたいビールはさらに手に入りにくいだろう。
こればっかりはしかた……なくない。
魔法さえあれば絶対作れる!
時間はかかるが間違いなく大儲けできる。
ビール以外も作って売れば……
想像しただけで顔がニヤける。
「おい。また悪魔のような顔になったぞ。もう慣れたんならどうにかしろ。みんな怖がってるだろ」
オリバーはアスターを肘でこづく。
「無理。諦めろ。慣れしかない」
アスターは一緒にサイギアードに向かったその日、一日目で諦めた。
この顔をやめさせるのは絶対に無理だと。
「ん?なに?まだいたの?あー、あなた達も風呂に入りたいのね。でも一人ずつよ。狭いから。それで、もう誰から入るか順番はきまってるの?」
私は近づきながら尋ねる。
'え!なに!?すっごくいい香りがするんだけど!!'
全員が私から香る匂いを嗅ぎ同じことを思った。
風呂に入れば自分もこんな匂いになるのかと!
いつもは水でタオルを濡らし汚れを取るだけなため臭い。
何十年もそんな生き方をしてれば慣れるが、それでも夏はとても臭い。
全員もっと匂いを嗅ぎたくてローズに近づこうとするが「くさっ!!それ以上私に近づくな!匂いがうつる!風呂に入ったいみがなるなるわ!」と怒鳴れる。
そこまで言わなくてもいいじゃんと思うが、相手は雇い主の娘なので何も言えない。
「それで、誰が次に入るの?」
私がそう尋ねるとアスターが「私が入りますよう」と即答する。
「そうなの。とりあえず、入り方を説明するねまず、この石鹸の使い方だけど……」
私は石鹸の泡出せ方、頭、体の洗い方を教える。
そして最も重要な風呂に入るタイミングを伝える。
「絶対に体を洗ってから入るのよ。洗う前に入ったら全員これだからね」
クビのジェスチャーをする。
「はい。わかりました。では、入ってきます」
アスターは私の脅しを適当にあしらって小屋はと入る。
'あいつ。馬鹿だわ。着替え持っていってないじゃん。マッパででるつもりなのかしら?'
私は呆れて小屋を見つめる。
さすがに体を洗って綺麗にしたのに、またあの二週間近くも着ていた汚い服を着るのは可哀想だと思い、オリバーにアスターの服持ってくるよう指示してから部屋へと戻る。
「髪も乾かせたらいいけど、こればっかりは諦めるか……」
髪が傷むなと思いながらベットに入る。
「ご主人様。私が乾かしましょうか」
「え?できるの?」
「はい」
アイリーンは自信満々に答えてから髪の水を吸い取っていく。
「……!」
私は驚きのあまり何も言えなくなる。
「終わりました。どうでしょうか?」
「アイリーン。すごいわ!あなた、天才よ」
私は手のひらサイズのアイリーンを抱きしめ頬擦りをする。
「ご主人様に喜んでいただけてよかったです」
「これからもよろしくね」
「はい。お任せください」
毎日乾かしてもらう約束を取り付ける。
これで髪の心配はなくなる。
はぁ。この世界にきたときは終わったかと思ったけど、このままいけば悠々自適な生活を手にできる。
ベットは固いが、この世界にきて初めて安心して眠りにつけた。
その頃の入浴中のアスター。
「はぁ。気持ちいい」
すっかりお風呂の虜になっていた。
ローズのことは少しも信じてないが、料理と妖精王のことがあるので、もしかしたらお風呂と石鹸もいい物なのではと思い使ってみたら大正解!
臭かった体が石鹸で洗うといい匂いに変わった。
湯に浸かると疲れが吹き飛ぶような温かさに包まれ瞼がくっつきそうになる。
気持ち良すぎてずっと入っていたくなる。
湯も妖精王の力のお陰が冷めることがない。
これから毎日入れると思うと、あの悪魔のような顔にも我慢できる気がした。
気がしただけ……
「あっ。でてきた」
扉が開きアスターが出てくる。
皆がどうだったのかと感想を聞こうと口を開いたが、アスターの顔を見て何も言えなくなる。
顔は整っているのにいつもは仏頂面で愛想が全くないなに、幸せそうに微笑んでいる。
ローズの悪魔のような顔と同じくらい怖くて、全員鳥肌がたった。
「お待たせしました。これはとても気持ちいいですよ。正直かなりハマります」
アスターはそう言うとその場を離れ部屋へと戻り、さっさと寝ようとする。
アスターが去ると少しの間、誰も動こうとしなかったが、すぐに我に返り皆が我先に風呂に入ろうとする。
結局、位の高い順に風呂に入った。
全員、風呂から上がるとアスターと同じように幸せそうな顔をしていた。
翌日、このことが使用人達の間で噂になり自分達も入りたいと私の部屋に押し寄せてくる。
後日、使用人専用の浴室を作るがそれまでは小さい小屋の浴室に一人ずつ入っていく。
注1 石鹸の作り方
https://www.jfish.jp/html/page1.html
こちらを参考にしました。
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