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団会議
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「「団長」」
レオンが部屋に入ると十一騎士団の幹部達が中に集まっていた。
「皆、おはよう」
元気よく挨拶する。
「おはよう」
「おはようございます」
各々がレオンに挨拶する。
部屋に参加する人達はほとんどがレオンより年上だが、皆レオンを尊敬し団長として認めている。
もちろん、団員達全員同じ気持ちだ。
「おっ、今日はワッフルか。最高だな」
席についてワッフルを早速食べる。
レオンは大の甘党で、このことはレオンが守る区域にいる人達全員が知っている。
そのため、団会議が開かれるたび順番に甘い物の差し入れをしてくれる。
いつも自分達を守ってくれるお礼の品だと。
最初はお礼で始まったが、今ではほとんどが若い女性達がレオンにアピールする為に行われるようになった。
レオン以外の団員は全員知っているので、あからさまに何度も好意を伝えられているのに全く気づいて貰えないので女性達に哀れみの目を向ける。
「美味しいか」
副団長のリヒトが隣に座り尋ねる。
「ああ。とても美味しいよ」
あっという間に平らげる。
「なら、俺のも食うか」
自分のワッフルをレオンに渡す。
「いいのか」
「ああ、かまわんよ」
「ありがとう」
パァーと目を輝かせてリヒトの分のワッフルを口に入れていく。
二人分食べ満足したのか幸せそうにお腹を撫でる。
「じゃあ、そろそろはじめようか」
さっきまでの和やかだった雰囲気が一変し空気が張り詰める。
「まず、最初に昨日の団長会議の内容を皆に伝える」
レオンが昨日の会議での事を話すと皆の顔がだんだん強張っていく。
「すまない。俺の力不足でまた最悪な任務を押し付けられた。本当にすまない」
レオンは皆に深く頭を下げ謝罪する。
「団長のせいじゃねぇよ。寧ろよくやってるよ。団長がいなけりゃあここはとっくの昔に終わってる」
リヒトがすかさずレオンの言葉を否定する。
レオンは何も悪くない。
悪いのは全て王族や貴族。
何もしないくせに嫌なことは全て押し付けてくる。
何の力にもなれない自分の弱さに苛立ちを覚える。
レオンの力になりたいと思っているのにいつも助けられてしまう。
自分の無力さに腹が立つ。
「そうだよ。団長は何一つ悪くないよ。悪いのは全部あいつらじゃん」
唯一この幹部会議でレオンより年下のカイがムッとした表情をする。
「そうですよ、団長。団長は出来る限りのことは全てしてるではありませんか。もし、ここに団長がいなければこの町だけでなく、我々が守っている全ての町がとっくに消されています。今こうして皆が暮らせているのは団長のおかげです。もっと胸を張ってください」
柔らかい物腰でハイネが言うと皆「その通りだ」と大きく頷く。
「ありがとう、皆」
自分は団長で皆を慰めたり引っ張ったりする立場なのに、逆に慰められるなんて少し情けなく感じる。
でも、そう言ってもらえて嬉しく感じる自分もいた。
一人では難しくても皆となら何とかなる。不思議とそう思えた。
だが、自分は団長だ。
もう二度こんな情けない姿は見せない。
もっと頼れるような、ユエルのような立派な団長にならなければ、と自分に喝をいれる。
それから、今回命じられた任務をどうやって対処するか、化け物から町をどうやって守るか、国から与えられる資金が前年の半分にまで減らされ町をどう活性化させていくかを話し合う。
三時間くらい意見を出し合ったがいい案はでず、次回の会議までに各自で考えをだすとして解散し、皆今日の自分の管轄区域担当に戻っていく。
「団長。あんまり自分を責めるなよ。さっきも言ったが、団長がいなけりゃあ俺達に未来はなかったんだ」
リヒトは皆が部屋からいなくなるのを見届けてからレオンにもう一度責任を感じる必要はないと伝える。
「ああ、わかってるよ」
「そういうことにしといてやる」
リヒトは残りの仕事を片付けるため部屋から出ていく。
「あれは、バレてるな」
部屋から出ていく前のリヒトの顔で自分の考えがバレているなと感じ思わず苦笑いする。
流石に長年レオンの右腕を務めていただけのことはある。
レオンが何でもかんでも自分のせいにしてしまうのを見抜いている。
深くため息を吐く。
「一体どうすればいいんだ」
レオンは自分が言われたり、何かされたりするのはいいが、団員や町の人達にまで危害が及ぶのは耐えられなかった。
レオンは自分が王族や貴族達に嫌われているのは知っていた。
理由も勿論わかっていた。
レオンが平民の中でもさらに下の方の人間でありながら、同じ位もしくは上の位にいること。
他人が聞いたら下らないと笑うようなことでもお偉いさん達には大事なことだった。
たったその程度の理由でここまで酷い事をされるとは思わなかった。
自分は何も悪いことはしていないのに何故こんな事をされないといけないのかレオンにはどうしても理解できない。
それが貴族だから、と言われてしまえばそれまでだが、同じ国の民として納得できなかった。
今回の団長会議で第十一騎士団は国からの資金が半分にされ、魔物が大量に発生した場所に行くように命じられた。
資金が半分にされたのは貴族達からの反発が理由だった。
元々王族は十一団の資金を減らそうとは考えていたのでちょうどいいとそれを利用した。
魔物が発生したのは場所は第九騎士団の管轄区域場所。
本来ならレオン達第十一団が赴く必要などないが王からの命であれば従うしかない。
嫌がらせがどんどんエスカレートしていきとうとう、管轄外の場所まで戦わされるようになる。
まぁ、今回は他の理由もあるが。
レオンの団やジョンの団は他の十騎士団と比べ団員数が少ない。
今でさえ人数が足りずに大変なのに、魔物退治で数日離れないといけない。
ユエルとジョンはそこはレオンの管轄ではないからレオンが対処するのはおかしいと抗議してくれたが、王も他の団長もそれを許さず仕方なくレオン達の団が引き受けることになった。
団長会議の事を思い出してしまい今日何度目かわからないため息を吐く。
レオンが部屋に入ると十一騎士団の幹部達が中に集まっていた。
「皆、おはよう」
元気よく挨拶する。
「おはよう」
「おはようございます」
各々がレオンに挨拶する。
部屋に参加する人達はほとんどがレオンより年上だが、皆レオンを尊敬し団長として認めている。
もちろん、団員達全員同じ気持ちだ。
「おっ、今日はワッフルか。最高だな」
席についてワッフルを早速食べる。
レオンは大の甘党で、このことはレオンが守る区域にいる人達全員が知っている。
そのため、団会議が開かれるたび順番に甘い物の差し入れをしてくれる。
いつも自分達を守ってくれるお礼の品だと。
最初はお礼で始まったが、今ではほとんどが若い女性達がレオンにアピールする為に行われるようになった。
レオン以外の団員は全員知っているので、あからさまに何度も好意を伝えられているのに全く気づいて貰えないので女性達に哀れみの目を向ける。
「美味しいか」
副団長のリヒトが隣に座り尋ねる。
「ああ。とても美味しいよ」
あっという間に平らげる。
「なら、俺のも食うか」
自分のワッフルをレオンに渡す。
「いいのか」
「ああ、かまわんよ」
「ありがとう」
パァーと目を輝かせてリヒトの分のワッフルを口に入れていく。
二人分食べ満足したのか幸せそうにお腹を撫でる。
「じゃあ、そろそろはじめようか」
さっきまでの和やかだった雰囲気が一変し空気が張り詰める。
「まず、最初に昨日の団長会議の内容を皆に伝える」
レオンが昨日の会議での事を話すと皆の顔がだんだん強張っていく。
「すまない。俺の力不足でまた最悪な任務を押し付けられた。本当にすまない」
レオンは皆に深く頭を下げ謝罪する。
「団長のせいじゃねぇよ。寧ろよくやってるよ。団長がいなけりゃあここはとっくの昔に終わってる」
リヒトがすかさずレオンの言葉を否定する。
レオンは何も悪くない。
悪いのは全て王族や貴族。
何もしないくせに嫌なことは全て押し付けてくる。
何の力にもなれない自分の弱さに苛立ちを覚える。
レオンの力になりたいと思っているのにいつも助けられてしまう。
自分の無力さに腹が立つ。
「そうだよ。団長は何一つ悪くないよ。悪いのは全部あいつらじゃん」
唯一この幹部会議でレオンより年下のカイがムッとした表情をする。
「そうですよ、団長。団長は出来る限りのことは全てしてるではありませんか。もし、ここに団長がいなければこの町だけでなく、我々が守っている全ての町がとっくに消されています。今こうして皆が暮らせているのは団長のおかげです。もっと胸を張ってください」
柔らかい物腰でハイネが言うと皆「その通りだ」と大きく頷く。
「ありがとう、皆」
自分は団長で皆を慰めたり引っ張ったりする立場なのに、逆に慰められるなんて少し情けなく感じる。
でも、そう言ってもらえて嬉しく感じる自分もいた。
一人では難しくても皆となら何とかなる。不思議とそう思えた。
だが、自分は団長だ。
もう二度こんな情けない姿は見せない。
もっと頼れるような、ユエルのような立派な団長にならなければ、と自分に喝をいれる。
それから、今回命じられた任務をどうやって対処するか、化け物から町をどうやって守るか、国から与えられる資金が前年の半分にまで減らされ町をどう活性化させていくかを話し合う。
三時間くらい意見を出し合ったがいい案はでず、次回の会議までに各自で考えをだすとして解散し、皆今日の自分の管轄区域担当に戻っていく。
「団長。あんまり自分を責めるなよ。さっきも言ったが、団長がいなけりゃあ俺達に未来はなかったんだ」
リヒトは皆が部屋からいなくなるのを見届けてからレオンにもう一度責任を感じる必要はないと伝える。
「ああ、わかってるよ」
「そういうことにしといてやる」
リヒトは残りの仕事を片付けるため部屋から出ていく。
「あれは、バレてるな」
部屋から出ていく前のリヒトの顔で自分の考えがバレているなと感じ思わず苦笑いする。
流石に長年レオンの右腕を務めていただけのことはある。
レオンが何でもかんでも自分のせいにしてしまうのを見抜いている。
深くため息を吐く。
「一体どうすればいいんだ」
レオンは自分が言われたり、何かされたりするのはいいが、団員や町の人達にまで危害が及ぶのは耐えられなかった。
レオンは自分が王族や貴族達に嫌われているのは知っていた。
理由も勿論わかっていた。
レオンが平民の中でもさらに下の方の人間でありながら、同じ位もしくは上の位にいること。
他人が聞いたら下らないと笑うようなことでもお偉いさん達には大事なことだった。
たったその程度の理由でここまで酷い事をされるとは思わなかった。
自分は何も悪いことはしていないのに何故こんな事をされないといけないのかレオンにはどうしても理解できない。
それが貴族だから、と言われてしまえばそれまでだが、同じ国の民として納得できなかった。
今回の団長会議で第十一騎士団は国からの資金が半分にされ、魔物が大量に発生した場所に行くように命じられた。
資金が半分にされたのは貴族達からの反発が理由だった。
元々王族は十一団の資金を減らそうとは考えていたのでちょうどいいとそれを利用した。
魔物が発生したのは場所は第九騎士団の管轄区域場所。
本来ならレオン達第十一団が赴く必要などないが王からの命であれば従うしかない。
嫌がらせがどんどんエスカレートしていきとうとう、管轄外の場所まで戦わされるようになる。
まぁ、今回は他の理由もあるが。
レオンの団やジョンの団は他の十騎士団と比べ団員数が少ない。
今でさえ人数が足りずに大変なのに、魔物退治で数日離れないといけない。
ユエルとジョンはそこはレオンの管轄ではないからレオンが対処するのはおかしいと抗議してくれたが、王も他の団長もそれを許さず仕方なくレオン達の団が引き受けることになった。
団長会議の事を思い出してしまい今日何度目かわからないため息を吐く。
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