6 / 47
ゼイン
しおりを挟む
翌朝、ゼンが目を覚ますと知らない天井が目に入る。
パッと目を覚まし起き上がる。
ここは何処なのか、どうしてここにいるのか、こうなったら経緯を思い出そうとしたが頭が割れるくらい痛いたく思いだせそうにない。
頭が痛いとか病気になったことがないゼンは初めての体験に驚き上手く対処ができず頭を押さえ痛みに耐える。
「大丈夫か、水は飲めるか」
「あぁ、ありがとう」
差し出されたコップに入った水を受け取り全部飲み干すゼン。
「助かった。ありがとう」
「そうか、なら良かった。まだ寝てた方がいい。朝食ができたらまた呼びにくる。まだ、時間がかかるからゆっくりしてろ」
上体を起こしていたゼンを横にして部屋を出て行くレオン。
横になって目を閉じていたが急にパッと目を見開き「えっ、誰?」とレオンのことを完全に忘れていた。
流石にまずいと思い昨日自分に何があったのか神の力を使って思い出そうとする。
「ゼイン様、おはようございます。朝食の準備が整いました。用意しても宜しいでしょうか」
ベルが部屋に入ってきてくる。
「あぁ、頼む」
昨日の夜に地上へと降り立ち、まだ慣れてない身体を起こして身支度をするゼイン。
「かしこまりました」
ゼインの許可がおり、夏の妖精達が次々に部屋へと入ってきて朝食の準備をする。準備が終わると「何かございましたらお呼びください」そう言って皆と一緒に部屋から出て行く。
用意された朝食をいつものように一人で食べる。地上の食事は天界とは全く違う。
天界には無い食材もあり初めて食べた時は驚いたが何千年も繰り返していたら、いつの間にか慣れていた。
今では地上での食事を楽しみにしていた。
「ベル」
食事が終わりベルを呼ぶ。
「はい、ゼイン様」
ベルが入った後妖精達も部屋へと入り片付けをしていく。
「本日はどうされますか」
「町へ行く。服を用意してくれ」
「かしこまりました」
ベルはゼインの言葉に心底驚いたが顔にはださず、すぐに用意しますと言って部屋から出て行く。
「四百年ぶりだな」
嬉しさのあまり泣きそうになるベル。
ゼインが人間達に関わることをやめて約四百年。
城で過ごすようになった期間にようやく終わりがきたのだと心の底から嬉しく思うベル。
何がゼインを突き動かしたのか気になったがが、それは自分が知る必要のないことだと判断し蓋をする。
感極まって少し目に溜まった涙を拭ってから、二回手を叩くベル。
「お呼びでしょうか、ベル様」
美しい三名の少女達がベルの前に音もなく現れる。
「ゼイン様が人間の町に行かれる。服を持ってきてくれ」
「かしこまりました、ベル様」
ゼインを人間らしくするための準備に取り掛かるため、返事をした後その場を去る少女達。
「ゼイン様、こちらの中からお選び下さい」
部屋の中に運ばれた衣類は全部百種類以上ある。
「多くないか」
若干引き気味に言うゼイン。
「これでもかなり絞ったのですが、申し訳ありません」
ベルもまさかここまで多くなるとは思っておらず少女達の張り切り具合に驚いていた。
「いや、こちらこそすまない。だが、こうも多いと悩むな」
自分のために用意してくれたので一つ一つ見てから選んでいこうと決める。
量が量なだけに結構時間がかかった。朝からはじめたのに、気づくと太陽が真上を通り過ぎていた。
「おかしくないか」
ようやく決まった服を皆に見せて感想を聞く。
「とてもよくお似合いです」
ベルの言葉に続いて一斉に褒めだす妖精達。
なら大丈夫か、と思い町へと行こうとするゼインに「お待ち下さい」と止めるベル。
「念のために髪と瞳の色を変えた方がよろしいかと」
夏の王ゼインの容姿は有名な為その姿でいくのは危険だと。
万が一の為にも変えていった方がいいと助言する。
「確かにそうだな」
金に近い茶髪を黒に近い茶髪に、白に近い緑の瞳を黒に近い緑に変える。
腰まであった長い髪は肩より少し下の長さへと変える。
背の高さも少しだけ低くする。
変えた容姿を鏡の前で確認する。
ベルに「この姿で夏の王ゼインに見えるか」と聞くと「いえ、見えません」と答えた。
今度こそ大丈夫ただ思い、フードのついたローブを羽織って人間の町へと飛び立つ。
「いってらっしゃいませ、ゼイン様」
飛び立ったゼインを見送るベルと妖精達。
パッと目を覚まし起き上がる。
ここは何処なのか、どうしてここにいるのか、こうなったら経緯を思い出そうとしたが頭が割れるくらい痛いたく思いだせそうにない。
頭が痛いとか病気になったことがないゼンは初めての体験に驚き上手く対処ができず頭を押さえ痛みに耐える。
「大丈夫か、水は飲めるか」
「あぁ、ありがとう」
差し出されたコップに入った水を受け取り全部飲み干すゼン。
「助かった。ありがとう」
「そうか、なら良かった。まだ寝てた方がいい。朝食ができたらまた呼びにくる。まだ、時間がかかるからゆっくりしてろ」
上体を起こしていたゼンを横にして部屋を出て行くレオン。
横になって目を閉じていたが急にパッと目を見開き「えっ、誰?」とレオンのことを完全に忘れていた。
流石にまずいと思い昨日自分に何があったのか神の力を使って思い出そうとする。
「ゼイン様、おはようございます。朝食の準備が整いました。用意しても宜しいでしょうか」
ベルが部屋に入ってきてくる。
「あぁ、頼む」
昨日の夜に地上へと降り立ち、まだ慣れてない身体を起こして身支度をするゼイン。
「かしこまりました」
ゼインの許可がおり、夏の妖精達が次々に部屋へと入ってきて朝食の準備をする。準備が終わると「何かございましたらお呼びください」そう言って皆と一緒に部屋から出て行く。
用意された朝食をいつものように一人で食べる。地上の食事は天界とは全く違う。
天界には無い食材もあり初めて食べた時は驚いたが何千年も繰り返していたら、いつの間にか慣れていた。
今では地上での食事を楽しみにしていた。
「ベル」
食事が終わりベルを呼ぶ。
「はい、ゼイン様」
ベルが入った後妖精達も部屋へと入り片付けをしていく。
「本日はどうされますか」
「町へ行く。服を用意してくれ」
「かしこまりました」
ベルはゼインの言葉に心底驚いたが顔にはださず、すぐに用意しますと言って部屋から出て行く。
「四百年ぶりだな」
嬉しさのあまり泣きそうになるベル。
ゼインが人間達に関わることをやめて約四百年。
城で過ごすようになった期間にようやく終わりがきたのだと心の底から嬉しく思うベル。
何がゼインを突き動かしたのか気になったがが、それは自分が知る必要のないことだと判断し蓋をする。
感極まって少し目に溜まった涙を拭ってから、二回手を叩くベル。
「お呼びでしょうか、ベル様」
美しい三名の少女達がベルの前に音もなく現れる。
「ゼイン様が人間の町に行かれる。服を持ってきてくれ」
「かしこまりました、ベル様」
ゼインを人間らしくするための準備に取り掛かるため、返事をした後その場を去る少女達。
「ゼイン様、こちらの中からお選び下さい」
部屋の中に運ばれた衣類は全部百種類以上ある。
「多くないか」
若干引き気味に言うゼイン。
「これでもかなり絞ったのですが、申し訳ありません」
ベルもまさかここまで多くなるとは思っておらず少女達の張り切り具合に驚いていた。
「いや、こちらこそすまない。だが、こうも多いと悩むな」
自分のために用意してくれたので一つ一つ見てから選んでいこうと決める。
量が量なだけに結構時間がかかった。朝からはじめたのに、気づくと太陽が真上を通り過ぎていた。
「おかしくないか」
ようやく決まった服を皆に見せて感想を聞く。
「とてもよくお似合いです」
ベルの言葉に続いて一斉に褒めだす妖精達。
なら大丈夫か、と思い町へと行こうとするゼインに「お待ち下さい」と止めるベル。
「念のために髪と瞳の色を変えた方がよろしいかと」
夏の王ゼインの容姿は有名な為その姿でいくのは危険だと。
万が一の為にも変えていった方がいいと助言する。
「確かにそうだな」
金に近い茶髪を黒に近い茶髪に、白に近い緑の瞳を黒に近い緑に変える。
腰まであった長い髪は肩より少し下の長さへと変える。
背の高さも少しだけ低くする。
変えた容姿を鏡の前で確認する。
ベルに「この姿で夏の王ゼインに見えるか」と聞くと「いえ、見えません」と答えた。
今度こそ大丈夫ただ思い、フードのついたローブを羽織って人間の町へと飛び立つ。
「いってらっしゃいませ、ゼイン様」
飛び立ったゼインを見送るベルと妖精達。
0
お気に入りに追加
12
あなたにおすすめの小説



真面目系委員長の同室は王道転校生⁉~王道受けの横で適度に巻き込まれて行きます~
シキ
BL
全寮制学園モノBL。
倉科誠は真面目で平凡な目立たない学級委員長だった。そう、だった。季節外れの王道転入生が来るまでは……。
倉科の通う私立藤咲学園は山奥に位置する全寮制男子高校だ。外界と隔絶されたそこでは美形生徒が信奉され、親衛隊が作られ、生徒会には俺様会長やクール系副会長が在籍する王道学園と呼ぶに相応しいであろう場所。そんな学園に一人の転入生がやってくる。破天荒な美少年の彼を中心に巻き起こる騒動に同室・同クラスな委員長も巻き込まれていき……?
真面目で平凡()な学級委員長が王道転入生くんに巻き込まれ何だかんだ総受けする青春系ラブストーリー。
一部固定CP(副会長×王道転入生)もいつつ、基本は主人公総受けです。
こちらは個人サイトで数年前に連載していて、途中だったお話です。
今度こそ完走させてあげたいと思いたってこちらで加筆修正して再連載させていただいています。
当時の企画で書いた番外編なども掲載させていただきますが、生暖かく見守ってください。

飼われる側って案外良いらしい。
なつ
BL
20XX年。人間と人外は共存することとなった。そう、僕は朝のニュースで見て知った。
なんでも、向こうが地球の平和と引き換えに、僕達の中から選んで1匹につき1人、人間を飼うとかいう巫山戯た法を提案したようだけれど。
「まあ何も変わらない、はず…」
ちょっと視界に映る生き物の種類が増えるだけ。そう思ってた。
ほんとに。ほんとうに。
紫ヶ崎 那津(しがさき なつ)(22)
ブラック企業で働く最下層の男。悪くない顔立ちをしているが、不摂生で見る影もない。
変化を嫌い、現状維持を好む。
タルア=ミース(347)
職業不詳の人外、Swis(スウィズ)。お金持ち。
最初は可愛いペットとしか見ていなかったものの…?

傷だらけの僕は空をみる
猫谷 一禾
BL
傷を負った少年は日々をただ淡々と暮らしていく。
生を終えるまで、時を過ぎるのを暗い瞳で過ごす。
諦めた雰囲気の少年に声をかける男は軽い雰囲気の騎士団副団長。
身体と心に傷を負った少年が愛を知り、愛に満たされた幸せを掴むまでの物語。
ハッピーエンドです。
若干の胸くそが出てきます。
ちょっと痛い表現出てくるかもです。

【完結】ぎゅって抱っこして
かずえ
BL
幼児教育学科の短大に通う村瀬一太。訳あって普通の高校に通えなかったため、働いて貯めたお金で二年間だけでもと大学に入学してみたが、学費と生活費を稼ぎつつ学校に通うのは、考えていたよりも厳しい……。
でも、頼れる者は誰もいない。
自分で頑張らなきゃ。
本気なら何でもできるはず。
でも、ある日、金持ちの坊っちゃんと心の中で呼んでいた松島晃に苦手なピアノの課題で助けてもらってから、どうにも自分の心がコントロールできなくなって……。

せっかく美少年に転生したのに女神の祝福がおかしい
拓海のり
BL
前世の記憶を取り戻した途端、海に放り込まれたレニー。【腐女神の祝福】は気になるけれど、裕福な商人の三男に転生したので、まったり気ままに異世界の醍醐味を満喫したいです。神様は出て来ません。ご都合主義、ゆるふわ設定。
途中までしか書いていないので、一話のみ三万字位の短編になります。
他サイトにも投稿しています。

ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる