ウィンドウと共にレベルアップ

アリス

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職業 王?

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「お前、今まで何で無視した!一体どこで何をしていたんだ!聞きたいことが山ほどあったと言うのに!」

強くなると誓った日から声の主は一度も話しかけてこなかった。

実が何度か話しかけたが全く反応がなかった。

『うるさいぞ。こちらにも用があるのだ。お前の都合ばかり優先はできん。それで何が聞きたいんだ?』

実は声の主の話し方に若干イラッとくるもそれを言ったところで意味もない。

聞きたいことを聞こうと頭を切り替える。

「呪いのことについて聞きたいんだ。俺はダンジョンの呪いにかかっていたと診断されたらしい。でも俺は二週間で目覚めた。呪いにかかって目覚めたことあるのは俺だけらしい。俺はどうして呪いに打ち勝てたのか知りたい。教えてくれ」

『教えるも何もさっきお前、自分で答えに辿りついていただろ。もう忘れたのか?』

声の主にそう言われ実は自分が言ったことを思い出す。

「え?本当に職業が関係してるのか?」

『そうだ。お前の職業は特別でな。呪いは一切きかん。そのためダンジョンの呪いも聞かず目が覚めたのだ』

「なるほど、そういうことか……ちょ、まってくれ。それじゃあ、いくら俺のことを調べても呪いを解く方法はないってことか?」

木村の娘の事を思い出す。

娘の目を覚まさせようといまも必死に調べているのに。

それも全て全部無駄なのか?

いや、そんなはずはない。

実はいま頭の中で浮かんだことを消し去るように首を横に振り声の主に縋るように尋ねる。

だが、そんな想いなど踏み躙るように声の主『そうだ』と認める。

'そんな……'

全て無駄だったのかと思い知らされ言葉を失う。

誰にも助けることができないのだと諦めかけていたとき、声の主がこう続けた。

『だが、一つだけ全ての呪いを解く方法がある』

「それはどんな方法だ!」

実は諦めかけていた心に希望の光が蘇り、誰もいない天井に向かって叫ぶ。

『お前が本物の強者になることだ。そうすれば、呪いを解くスキルが手に入る』

実はその言葉を聞いてゴクンッと喉を鳴らして唾を飲み込む。

「つまり、俺次第ってことか……」

『そうだ。全てはお前次第だ。どうした。怖気ついたか?今ならやめれるぞ。引き返すか?』

「いや、余計にやる気が湧いた。俺にしかできないことなんだろ。だったらやってやる。俺はたった一人のハンターに助けられた。その人に助けて良かったと思ってもらえるように。たった一人の養父を捜すためにも、俺は強くなる」

実は続けてこう宣言する。

「俺は万人を救う!」



その言葉を聞いた声の主は何度も瞬きをした。

我に返ると声を出して笑った。

久しぶりにこんなに笑ったとお腹を抱える。

笑いすぎたせいか涙がこぼれ落ちた。

ようやく落ち着きを取り戻し声の主は実に話しかける。

笑い声は実には届いていなかったので、なぜ何も言わないのかと不思議に思い、そんなおかしなことを言ったかと首を傾げる。

『そうか。よく言った。その言葉を決して忘れるな。約束だ。お前は万人を救うのだ』

実は声の主の声からいままでにない喜びを隠しきれない、そんな弾んだ声に驚く。

ずっと冷たい口調だったのに一体どうしたんだと怖くなる。

実が何も言えずに固まっていると声の主はそんな実を放ってこう言った。

『では、今からお前の職業を教える。これを見ろ』

声の主がそう言った瞬間、実の目の前にウィンドウが表示された。

「これは……」

いきなり表示されたウィンドウに驚き、重心が後ろに傾いてしまいそのまま倒れる。

ドンッ。

ベットの上だったおかげで大した痛みもない。

実はお尻をさすりながら立ち上がり、ウィンドウに何が書かれてあるのかみる。

'どれどれ……スキル、自己治癒能力……これってもしかして、俺の現在の能力が記載されているのか?なら、職業は?職業欄はどこに……'

声の主がなかなか職業を教えてくれないのでずっと気になっていた。

他の欄にも色々書かれてあるが、あとでじっくりみればいいと判断し違うとわかるとすぐに違う欄をみる。

'あった!'

職業と書かれた欄を見つける。

早くみたいような、みたくないような、どっちとも言えない感情が湧き上がり欄を見ないよう目を閉じる。

声の主の言葉で期待が上がりすぎて、もし大した職業ではなかったらと想像するだけで悲しくなる。

時間の無駄だとわかっていてもなかなか勇気がでない。

『おい。みないのか?なら、消すぞ』

'えい!どうにでもなれ!'

声の主に急かされ覚悟を決め目を開ける。



[職業:王?]



'王?……なぜハテナがついているんだ?'

想像の斜め上の職業に喜びもガッカリもしない。

むしろ困惑しすぎてどうしたらいいか落ち着こうと湯を沸かす。

「ふぅ……美味しい」

飲んでる物はただの白湯だが体はあったまるし、心も落ち着く。

もう一口飲もうと白湯を口に含むも、職業が王と書かれてたことを思い出しすぐに吹き出してしまう。

ゲホッゲホッ。

「おい!王ってなんだ!王って!それより何でハテナがついてる!説明しろ!」

実の声はとても大きく部屋の外にまで聞こえた。

外にいた人達は何事だ、と実の部屋を凝視してしまう。

『説明も何もそのままの意味だ。王は王だ。ハテナがついているのは、まだお前が完成に王と認められたわけではないからだ。王になる資格を手に入れただけだ。お前はこれからダンジョンとゲートに入り経験値を積む。そして、スキルと臣下を手に入れる。それと別にミッションもある。万人を救うのだろう。なら、頑張れるな」

「ちょっと、まってくれ!臣下とは何だ?ミッションって何だ?そもそも王に関しての説明が何一つされてない!ちゃんと説明してくれ!王にも色々種類があるだろう!」

『……説明はあとだ。誰かくる』

声の主はそう言うとウィンドウを消し何も言わなくなる。

「は?誰かって誰だ!話は終わってない!戻ってこい!」

実が声の主に向かって叫んでいる途中で扉が開き誰かが入ってくる。

実は文句を叫んでいる途中だったが、慌てて手で口を塞ぐ。

'聞こえてないよな……'

この部屋には実しかいない。

それなのに大声で独り言を叫んでいるのはおかしい。

頭がおかしくなったと思われ気味悪がれる。

実には声の主の声が聞こえるが、他の人達には聞こえない。

声の主のことを説明しても信じてもらないとわかっているので言う気はない。

それに言ったところで余計に頭がおかしい奴と思われるだけだ。

実は聞かれていませんようにと祈りながら誰が入ってきたのかと近く足音に耳を澄ます。

「花王さん」

入ってきたのは般若のような顔した看護師長だった。

実は看護師長だとわかると「あーっ」とどこから出したのかわからない声を出す。
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