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犯人捜し 4
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「おい!ちょっと待てよ!俺達は一緒にいたって言ってるだろ!何で俺達も容疑者にいれられるんだよ!」
深夜は学の言葉に苛立ち詰め寄る。
「君達は恋人だろ。そんなの信じられるわけないだろ。それに、どちらかが寝てるときにもう一方が部屋から出ても気が付かないかもしれないだろ」
「そうよ。彼の言う通りよ。それに貴方達二人が彼女を殺したのなら、アリバイは嘘になるわ」
学の意見に遥も同意する。
「そんなの言いがかりよ!私達は殺してないわ!貴方達の方こそ怪しいわ!私達を犯人に仕立てようとしてるもの!貴方の方こそ殺したんじゃないの!」
佳奈は人を殺したと疑われ怒りを露わにする。
「そんなわけないでしょ!私は正直に話したわ!それなのに自分達はアリバイがあるって言うから疑われるのよ!彼女が殺された時間もわからないのにどうして大丈夫だと思うのよ!全員に疑いがかけられるのが普通でしょ!」
佳奈の態度と言葉に腹を立て怒鳴りつける。
四人共殺人犯と疑われ気が立つ。
このままではストレスで先に心が病む。
一人になりたいが犯人が誰かわからない以上危険は冒せない。
皆でいれば殺される危険は低なる。
それがわかっているからこの場から離れられない。
「落ち着いてください。まだ、この中の誰かが彼女を殺したかなんてわかりませんよ。ここで俺達が言い争っては犯人の思う壺です」
藍はこれ以上言い争いがヒートアップする前に止めに入る。
「確かにその通りですね。取り乱してしまいすみません。気が立って失礼なことを言いました。すみません」
藍の言葉で我に返った遥は酷い言葉を言ってしまったと謝罪する。
遥の謝罪に他の三人も冷静さを取り戻し次々に謝罪をする。
「とりあえず、俺はこれから他の人の話を聞いてきますが皆さんはどうされますか。一緒にいきますか?」
どうするか尋ねるが内心では「来るな。ここにいろ」と祈る。
「私はここにいます。部屋にいるのは怖いので」
遥がそう言うと学も「僕もここにいます」と続く。
深夜と佳奈は部屋に戻りたそうだったが、遥と学の視線が怖く「ここにいる」と言った。
「彼はここにいてもいいですか?俺一人では怖いので藤爾と話を聞きに行こうと思うですが」
藍がそう言うと遥が「え?それは嫌です」と言う。
犯人がわからない今最も疑わしいのは蒼太だ。
遥はそう思って嫌だと言ったのだが知らない間に愛を助けていた。
藍は心の中で「よく言った!ナイスアシスト」と言う。
藍は蒼太に聞きたいことがあるので一緒に連れて行きたかったが、勝手に連れて行くと共犯と思われる可能性が出てくるので、四人が嫌だと言うので仕方なく一緒に行動しているという言い訳が欲しかった。
「僕もできれば嫌です」
学が続く。
深夜と佳奈は何も言わない。
「わかりました。では、彼は俺達と行動を共にさせます。まだ、彼が犯人ではないという確証がない以上逃げる可能性もあるし、もし犯人ではないのなら真犯人に狙われる可能性もありますので一人にはできません。それでいいですか」
「はい、お願いします」
遥はホッとする。
「すみません。一番嫌な役をさせてしまって」
学が申し訳なさそうに言う。
「気にしないでください。警察に通報もしてあるしすぐに来るはずです。もう暫くの辛抱ですから頑張りましょう」
口ではそう言うも警察が来ないことは知っている。
「そうですね。後もう少し我慢すれば警察に助けてもらえる」
学は警察という言葉に安心する。
藍は四人の元から離れ蒼太と藤爾の元へ行く。
「お待たせ。話聞いてきた。とりあえず、従業員達のいるところに移動しよう。白ちゃんの話は後で聞くよ。悪いけどこのまま他人の体でいこう」
「わかりました」
蒼太が返事をする。
「昨日の受付がいたらバレるんじゃないか」
藤爾が言うと蒼太は確かにと思う。
「多分、それは大丈夫だと思うよ。悲鳴が聞こえたとき昨日の子はいなかったし。今日は休みなんじゃない」
藍の言葉に蒼太はよく見てたなと感心する。
「それなら安心ですね」
「まぁ、一応確認はしといた方がいいかもね」
藍自身も受付の子のことを気にしていた。
いない可能性の方が高いが絶対とは言い切れない。
「あの、どうかしたんですか」
藍が従業員達に話しかける。
慌てた様子に警察が明日にならないと来れないと知ったのだろうと思った。
その予想は当たっていて若い女性の従業員が「それが、警察が明日にならないと来れないって言うです」と泣きそうな顔で言う。
「え?どうして?何かあったんですか?」
初めて聞かされ困惑した顔を作り藍は尋ねる。
「それが土砂崩れがあって道が塞がれたらしいのよ。でも、おかしいのよ。雨も地震も起きてないのに、どうしてかしら」
おばさん従業員は不思議そうに呟く。
土砂崩れという言葉を聞いて藍は爆弾でも使ったのかと思う。
「確かに不思議ですね」
「本当困るわ。警察が来れないと犯人は捕まらないわ。怖くて仕方ないわ」
別のおばさん従業員が言う。
「なら、俺が捕まえましょうか。こう見えて探偵なんですよ」
「あら、本当?」
藍の柔らかい雰囲気に安堵し任せてみようかと思う。
先程の的確な状況判断と指示を思い出し探偵は本当だと信じる。
「ええ。任せてください。なので、少し皆さんのお話を聞かせてください。犯人を見つける手がかりが見つかるかもしれないので」
「そういうことなら何でも話すわ」
ね、皆と聞くと他の従業員達も何でも聞いてと積極的に話し出す。
自分達を犯人だと疑ってかからない藍に好意的になる。
今のやり取りを見ていた蒼太は藍のことを恐ろしい人だと思った。
人を手玉にするのが上手い。
従業員達は完全に藍に心を開き何でも話している。
殺人がおこったのに、死体がまだこの建物にあるというのに、藍と従業員達の空間だけ別世界かと疑うほど楽しそうだった。
「あ、そういえば昨日いて今日いない人とかいます」
藍はふと今思い出したみたいに言う。
不審に思われないタイミングをずっと探していた。
「いるわよ、三人」
「その人達はいつ帰ったんですか?今日来ますか?」
もしかしたら何か見ているかも知らないから話を聞きたい、と付け加えていうと従業員達は確かにそうねと全く疑う様子もなくシフト表を確認して教える。
「二人は昼に帰って明後日にくるわ。今日と明日は休みね。それでもう一人は夜の十一時に帰って明日の昼に来るわね」
藍が話を聞きたいと言ったため電話をしようとする。
藍はその時間帯なら何も見てないだろうから電話はいいと断る。
従業員達の話しは大した手がかりを得ることはできなかったが、知りたかった情報は手に入った。
これ以上話を聞いても無駄だと判断しお礼を言ってその場を離れ蒼太の部屋へと向かう。
深夜は学の言葉に苛立ち詰め寄る。
「君達は恋人だろ。そんなの信じられるわけないだろ。それに、どちらかが寝てるときにもう一方が部屋から出ても気が付かないかもしれないだろ」
「そうよ。彼の言う通りよ。それに貴方達二人が彼女を殺したのなら、アリバイは嘘になるわ」
学の意見に遥も同意する。
「そんなの言いがかりよ!私達は殺してないわ!貴方達の方こそ怪しいわ!私達を犯人に仕立てようとしてるもの!貴方の方こそ殺したんじゃないの!」
佳奈は人を殺したと疑われ怒りを露わにする。
「そんなわけないでしょ!私は正直に話したわ!それなのに自分達はアリバイがあるって言うから疑われるのよ!彼女が殺された時間もわからないのにどうして大丈夫だと思うのよ!全員に疑いがかけられるのが普通でしょ!」
佳奈の態度と言葉に腹を立て怒鳴りつける。
四人共殺人犯と疑われ気が立つ。
このままではストレスで先に心が病む。
一人になりたいが犯人が誰かわからない以上危険は冒せない。
皆でいれば殺される危険は低なる。
それがわかっているからこの場から離れられない。
「落ち着いてください。まだ、この中の誰かが彼女を殺したかなんてわかりませんよ。ここで俺達が言い争っては犯人の思う壺です」
藍はこれ以上言い争いがヒートアップする前に止めに入る。
「確かにその通りですね。取り乱してしまいすみません。気が立って失礼なことを言いました。すみません」
藍の言葉で我に返った遥は酷い言葉を言ってしまったと謝罪する。
遥の謝罪に他の三人も冷静さを取り戻し次々に謝罪をする。
「とりあえず、俺はこれから他の人の話を聞いてきますが皆さんはどうされますか。一緒にいきますか?」
どうするか尋ねるが内心では「来るな。ここにいろ」と祈る。
「私はここにいます。部屋にいるのは怖いので」
遥がそう言うと学も「僕もここにいます」と続く。
深夜と佳奈は部屋に戻りたそうだったが、遥と学の視線が怖く「ここにいる」と言った。
「彼はここにいてもいいですか?俺一人では怖いので藤爾と話を聞きに行こうと思うですが」
藍がそう言うと遥が「え?それは嫌です」と言う。
犯人がわからない今最も疑わしいのは蒼太だ。
遥はそう思って嫌だと言ったのだが知らない間に愛を助けていた。
藍は心の中で「よく言った!ナイスアシスト」と言う。
藍は蒼太に聞きたいことがあるので一緒に連れて行きたかったが、勝手に連れて行くと共犯と思われる可能性が出てくるので、四人が嫌だと言うので仕方なく一緒に行動しているという言い訳が欲しかった。
「僕もできれば嫌です」
学が続く。
深夜と佳奈は何も言わない。
「わかりました。では、彼は俺達と行動を共にさせます。まだ、彼が犯人ではないという確証がない以上逃げる可能性もあるし、もし犯人ではないのなら真犯人に狙われる可能性もありますので一人にはできません。それでいいですか」
「はい、お願いします」
遥はホッとする。
「すみません。一番嫌な役をさせてしまって」
学が申し訳なさそうに言う。
「気にしないでください。警察に通報もしてあるしすぐに来るはずです。もう暫くの辛抱ですから頑張りましょう」
口ではそう言うも警察が来ないことは知っている。
「そうですね。後もう少し我慢すれば警察に助けてもらえる」
学は警察という言葉に安心する。
藍は四人の元から離れ蒼太と藤爾の元へ行く。
「お待たせ。話聞いてきた。とりあえず、従業員達のいるところに移動しよう。白ちゃんの話は後で聞くよ。悪いけどこのまま他人の体でいこう」
「わかりました」
蒼太が返事をする。
「昨日の受付がいたらバレるんじゃないか」
藤爾が言うと蒼太は確かにと思う。
「多分、それは大丈夫だと思うよ。悲鳴が聞こえたとき昨日の子はいなかったし。今日は休みなんじゃない」
藍の言葉に蒼太はよく見てたなと感心する。
「それなら安心ですね」
「まぁ、一応確認はしといた方がいいかもね」
藍自身も受付の子のことを気にしていた。
いない可能性の方が高いが絶対とは言い切れない。
「あの、どうかしたんですか」
藍が従業員達に話しかける。
慌てた様子に警察が明日にならないと来れないと知ったのだろうと思った。
その予想は当たっていて若い女性の従業員が「それが、警察が明日にならないと来れないって言うです」と泣きそうな顔で言う。
「え?どうして?何かあったんですか?」
初めて聞かされ困惑した顔を作り藍は尋ねる。
「それが土砂崩れがあって道が塞がれたらしいのよ。でも、おかしいのよ。雨も地震も起きてないのに、どうしてかしら」
おばさん従業員は不思議そうに呟く。
土砂崩れという言葉を聞いて藍は爆弾でも使ったのかと思う。
「確かに不思議ですね」
「本当困るわ。警察が来れないと犯人は捕まらないわ。怖くて仕方ないわ」
別のおばさん従業員が言う。
「なら、俺が捕まえましょうか。こう見えて探偵なんですよ」
「あら、本当?」
藍の柔らかい雰囲気に安堵し任せてみようかと思う。
先程の的確な状況判断と指示を思い出し探偵は本当だと信じる。
「ええ。任せてください。なので、少し皆さんのお話を聞かせてください。犯人を見つける手がかりが見つかるかもしれないので」
「そういうことなら何でも話すわ」
ね、皆と聞くと他の従業員達も何でも聞いてと積極的に話し出す。
自分達を犯人だと疑ってかからない藍に好意的になる。
今のやり取りを見ていた蒼太は藍のことを恐ろしい人だと思った。
人を手玉にするのが上手い。
従業員達は完全に藍に心を開き何でも話している。
殺人がおこったのに、死体がまだこの建物にあるというのに、藍と従業員達の空間だけ別世界かと疑うほど楽しそうだった。
「あ、そういえば昨日いて今日いない人とかいます」
藍はふと今思い出したみたいに言う。
不審に思われないタイミングをずっと探していた。
「いるわよ、三人」
「その人達はいつ帰ったんですか?今日来ますか?」
もしかしたら何か見ているかも知らないから話を聞きたい、と付け加えていうと従業員達は確かにそうねと全く疑う様子もなくシフト表を確認して教える。
「二人は昼に帰って明後日にくるわ。今日と明日は休みね。それでもう一人は夜の十一時に帰って明日の昼に来るわね」
藍が話を聞きたいと言ったため電話をしようとする。
藍はその時間帯なら何も見てないだろうから電話はいいと断る。
従業員達の話しは大した手がかりを得ることはできなかったが、知りたかった情報は手に入った。
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