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消えた死体 2
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「それが一番可能性が高いのだな」
「はい」
「そうか」
ヘリオトロープがここまで言うのだから間違いないのだろうと受け止める。
まだ他に裏切り者がいるかもしれないという可能性を考えていないわけではなかったが、信じたくない気持ちがあった。
騎士も使用人もこの屋敷で働く者は大切な家族。
そう思っていたが、どうやらその者達はそうではなかったらしい。
「ヘリオトロープ様。貴方なら犯人を見つけ出すことはできますか」
「時間をいただけるのなら可能です」
「なら、見つけてください。この際全ての裏切り者を見つけ出し根絶やしにしますので」
「わかりました。必ず見つけましょう」
サルビアの命など神官であるヘリオトロープが従うことなど本来ならありえないが、このままではマーガレットに危険が及ぶかもしれないと思いその命を受けた。
「あの、クラーク様。一つ気になっていることがあるのですが……」
マーガレットがおずおずと声をかける。
「はい。何でしょうか」
「アドルフの死体は何故連れ去られたのでしょうか。いくら考えてもそれがわからないのです。わざわざ危険を犯して連れ去ろうとした理由があると思うのです。何か心当たりはありませんか」
神官なら呪術師の目的が何かわかるのではないかと思い尋ねた。
「考えられる可能性は二つあります」
やっぱり心当たりあるのね、と心の中で呟き何故それを言わなかったのかと不審に思ってしまう。
「一つ目は死体を始末する為です。ここでは残穢が残るので森や海、残穢がすぐに消えるところで行う為に連れ去った可能性です」
ヘリオトロープがそう言い終わるとカトレアは自分のせいで弔うこともできなくなったと絶望し「ああ」と泣き叫ぶと気を失った。
「二つ目は何ですか」
心臓が物凄い勢いで動くのを感じる。
嫌な予感がしてならない。
マーガレットはそうな想いを否定しようとヘリオトロープに二つ目を言うように促す。
「二つ目は死体を操る為でしょう」
死体を操る、その言葉に二人はヘルマンを思い浮かべた。
マーガレットは「うっ」と呻き声を上げ吐きけがした。
すかさずヘリオトロープが近づき「大丈夫ですか」と背中をさすり神聖力をおくり落ち着かせる。
神聖力のお陰で吐くことは無かったがどうしようもない気持ち悪さが胸に残る。
マーガレットが落ち着きを取り戻すのを確認すると「それは、つまりアドルフをヘルマンにするためということですか」と尋ねる。
ヘリオトロープは「いいえ、多分違います」と首を横に振って否定し続ける。
「もし、ヘルマンにするつもりならこの場でそうし公爵家に放って皆殺しにしていたでしょう。でも、そうしなかった」
「それはどうしてですか?」
マーガレットからの問いに顔を強張らせあくまでもこれは私の推測だと言い話し始める。
「それはヘルマンよりも強力な力を持ったものを作ろうと思ったからだと思います」
ヘルマンより上なのは二つ。
オグルとハウデア。
オグルは体が一回り大きくなり人の血肉を欲しがる。
知性は無いが怪力で人を見るや否その血肉を食べるまで衝動が治らない。
ハウデアは髪と肌の色が真っ白で顔に水色の模様が浮かび上がる美しい女神のような見た目。
その見た目とは裏腹に生きたまま氷漬けにして殺す残虐な一面をもつ魔物。
そんな魔物にアドルフは変えられるのか、そんな目でヘリオトロープを二人は見る。
ヘリオトロープはゆっくりと頷きそうだと。
「どうしたらそれを止められるますか?」
助けたい一心でマーガレットはそう尋ねるが「無理でしょう」とすぐに言われる。
「もう、すでに……」
呪術をかけられている可能性がある、そう言いかけるも声が喉に引っかかったみたいに詰まって何も言えなくなる。
ただ、ヘリオトロープはもう一つの可能性を思い浮かべていた。
確信に近い嫌な予感がしていた。
まだ、予感だから二人にはいう気はないがもしそれがあったら最悪なことがこの国に起きることになる。
「クラーク様。アドルフを見つけ出し取り返すことはできますか」
「はい、必ず取り返しましょう」
マーガレットが望むなら何でも叶えてみせる。
それがどれだけ困難なことでも。
「お願いします。私達にできることなら何でもしますので、どうか必ずアドルフを取り返してください」
「お父様、お母様の容体はどうですか」
まだ気を失っているカトレアの様子を見にくるとずっと傍で見守るサルビアがいた。
「ああ、ヘリオトロープ様のお陰で良くなった。明日の朝には起きるだろうって」
「そうですか。それならよかったです」
また後でヘリオトロープにお礼を言わないとといけないな、と思いながら話を続ける。
「お父様。もうお休みください。自分のせいでお父様が倒れたと知ったらお母様が悲しみます」
だから、もう休んで下さいと伝える。
「ああ、わかった。そうするよ。マーガレットももう休むんだ」
「はい、そうします。おやすみなさい、お父様」
「ああ、おやすみ。マーガレット」
マーガレットは部屋を出て自室に戻る。
夜遅くにお礼を言いにくのはどうかと思い、明日の朝会ったら言おう。
寝る前に今の状況とこれから起きること、過去の出来事を思い出し状況を確認し整理する。
一度目も二度目の人生両方とも結末は違うが最後は殺されるといのは一緒。
そしてもう二つどの人生でも変わらなかったことがある。
使用人の裏切りで殺される原因ができたとアネモネの策略によって殺されたということ。
この二つをどうにかしない限り自分達の死ぬ未来を変えることはできない。
使用人達はこれから考えるとして、優先してやらないといけないのはアネモネの手足となった男達をこちら側につけること。
その一人だった、カラント・フェイスフルは手に入れた。
次のターゲットは誰にすべきか。
残りは三人。
二度目の人生でアネモネの夫になった男。
一度目の人生で処刑を命じた第二王子。
一度目の人生で騎士や使用人達を虐殺した男。
もう少しで王宮のパーティーが開かれる。
本来なら中止にすべきところだが、王妃がどんな手を使っても開くだろう。
次のターゲットは直接会ってから決めよう。
男達の名前を書いた紙を見つめ手に入れたカラントの名前だけ線を引く。
「はい」
「そうか」
ヘリオトロープがここまで言うのだから間違いないのだろうと受け止める。
まだ他に裏切り者がいるかもしれないという可能性を考えていないわけではなかったが、信じたくない気持ちがあった。
騎士も使用人もこの屋敷で働く者は大切な家族。
そう思っていたが、どうやらその者達はそうではなかったらしい。
「ヘリオトロープ様。貴方なら犯人を見つけ出すことはできますか」
「時間をいただけるのなら可能です」
「なら、見つけてください。この際全ての裏切り者を見つけ出し根絶やしにしますので」
「わかりました。必ず見つけましょう」
サルビアの命など神官であるヘリオトロープが従うことなど本来ならありえないが、このままではマーガレットに危険が及ぶかもしれないと思いその命を受けた。
「あの、クラーク様。一つ気になっていることがあるのですが……」
マーガレットがおずおずと声をかける。
「はい。何でしょうか」
「アドルフの死体は何故連れ去られたのでしょうか。いくら考えてもそれがわからないのです。わざわざ危険を犯して連れ去ろうとした理由があると思うのです。何か心当たりはありませんか」
神官なら呪術師の目的が何かわかるのではないかと思い尋ねた。
「考えられる可能性は二つあります」
やっぱり心当たりあるのね、と心の中で呟き何故それを言わなかったのかと不審に思ってしまう。
「一つ目は死体を始末する為です。ここでは残穢が残るので森や海、残穢がすぐに消えるところで行う為に連れ去った可能性です」
ヘリオトロープがそう言い終わるとカトレアは自分のせいで弔うこともできなくなったと絶望し「ああ」と泣き叫ぶと気を失った。
「二つ目は何ですか」
心臓が物凄い勢いで動くのを感じる。
嫌な予感がしてならない。
マーガレットはそうな想いを否定しようとヘリオトロープに二つ目を言うように促す。
「二つ目は死体を操る為でしょう」
死体を操る、その言葉に二人はヘルマンを思い浮かべた。
マーガレットは「うっ」と呻き声を上げ吐きけがした。
すかさずヘリオトロープが近づき「大丈夫ですか」と背中をさすり神聖力をおくり落ち着かせる。
神聖力のお陰で吐くことは無かったがどうしようもない気持ち悪さが胸に残る。
マーガレットが落ち着きを取り戻すのを確認すると「それは、つまりアドルフをヘルマンにするためということですか」と尋ねる。
ヘリオトロープは「いいえ、多分違います」と首を横に振って否定し続ける。
「もし、ヘルマンにするつもりならこの場でそうし公爵家に放って皆殺しにしていたでしょう。でも、そうしなかった」
「それはどうしてですか?」
マーガレットからの問いに顔を強張らせあくまでもこれは私の推測だと言い話し始める。
「それはヘルマンよりも強力な力を持ったものを作ろうと思ったからだと思います」
ヘルマンより上なのは二つ。
オグルとハウデア。
オグルは体が一回り大きくなり人の血肉を欲しがる。
知性は無いが怪力で人を見るや否その血肉を食べるまで衝動が治らない。
ハウデアは髪と肌の色が真っ白で顔に水色の模様が浮かび上がる美しい女神のような見た目。
その見た目とは裏腹に生きたまま氷漬けにして殺す残虐な一面をもつ魔物。
そんな魔物にアドルフは変えられるのか、そんな目でヘリオトロープを二人は見る。
ヘリオトロープはゆっくりと頷きそうだと。
「どうしたらそれを止められるますか?」
助けたい一心でマーガレットはそう尋ねるが「無理でしょう」とすぐに言われる。
「もう、すでに……」
呪術をかけられている可能性がある、そう言いかけるも声が喉に引っかかったみたいに詰まって何も言えなくなる。
ただ、ヘリオトロープはもう一つの可能性を思い浮かべていた。
確信に近い嫌な予感がしていた。
まだ、予感だから二人にはいう気はないがもしそれがあったら最悪なことがこの国に起きることになる。
「クラーク様。アドルフを見つけ出し取り返すことはできますか」
「はい、必ず取り返しましょう」
マーガレットが望むなら何でも叶えてみせる。
それがどれだけ困難なことでも。
「お願いします。私達にできることなら何でもしますので、どうか必ずアドルフを取り返してください」
「お父様、お母様の容体はどうですか」
まだ気を失っているカトレアの様子を見にくるとずっと傍で見守るサルビアがいた。
「ああ、ヘリオトロープ様のお陰で良くなった。明日の朝には起きるだろうって」
「そうですか。それならよかったです」
また後でヘリオトロープにお礼を言わないとといけないな、と思いながら話を続ける。
「お父様。もうお休みください。自分のせいでお父様が倒れたと知ったらお母様が悲しみます」
だから、もう休んで下さいと伝える。
「ああ、わかった。そうするよ。マーガレットももう休むんだ」
「はい、そうします。おやすみなさい、お父様」
「ああ、おやすみ。マーガレット」
マーガレットは部屋を出て自室に戻る。
夜遅くにお礼を言いにくのはどうかと思い、明日の朝会ったら言おう。
寝る前に今の状況とこれから起きること、過去の出来事を思い出し状況を確認し整理する。
一度目も二度目の人生両方とも結末は違うが最後は殺されるといのは一緒。
そしてもう二つどの人生でも変わらなかったことがある。
使用人の裏切りで殺される原因ができたとアネモネの策略によって殺されたということ。
この二つをどうにかしない限り自分達の死ぬ未来を変えることはできない。
使用人達はこれから考えるとして、優先してやらないといけないのはアネモネの手足となった男達をこちら側につけること。
その一人だった、カラント・フェイスフルは手に入れた。
次のターゲットは誰にすべきか。
残りは三人。
二度目の人生でアネモネの夫になった男。
一度目の人生で処刑を命じた第二王子。
一度目の人生で騎士や使用人達を虐殺した男。
もう少しで王宮のパーティーが開かれる。
本来なら中止にすべきところだが、王妃がどんな手を使っても開くだろう。
次のターゲットは直接会ってから決めよう。
男達の名前を書いた紙を見つめ手に入れたカラントの名前だけ線を引く。
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