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王妃 2
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「我が国の偉大なる美しい月、王妃陛下にご挨拶申し上げます」
部屋に入るなり貴族達がロベリアの機嫌をとるように挨拶する。
「座りなさい」
貴族達の態度に気分を良くしたロベリアが優しい声で言う。
貴族達が座ると急にロベリアの顔が曇る。
「王妃様。何かあったのですか」
とんだ茶番だ。
そう思いながらロベリアの茶番に付き合い、心配したように一人の貴族が声をかける。
「国王に流石に神官十人をアングレカムにだけに向かわせるのはよくないと、減らしてその分の神官を他の町に人員を割くようお願いしたのです。この国のことを考え神殿に神官を残すべきだと。ですが国王は私の進言などに聞く耳を持たず、あろうことか神官を増やそうとしました。流石にそれはいけないとなんとか必死に説得し増やす事態は免れましたが、減らすことはかないませんでした」
「王妃様のせいではありません。今回の件てはっきりしました。国王は間違いなくブローディア家だけ特別扱いをしています。もし、我らが助けを求めてもここまでのことはしてくれないでしょう」
国王のブローディア家に大する扱いは貴族達の中では有名な話だった。
ブローディア家ばかりいい思いをしている。
自分達もこの国の為に尽力をしている。
自分達にもいい思いをさせてくれてもいいのに、と。
国王は自分の力になるブローディア家のことしか興味がないのだ、と。
だが、これはロベリアと貴族達の言い分だ。
国王からすれば当然の配慮だと言いたい。
ブローディア家は国同士が戦争にならないよういつの時代も影から両国を守った。
自国だろうと他国だろうと危機が訪れれば自らの資金から支援金を送り安定するまで支援した。
他にも数え切れないほどの善行をしている。
歴代の国王がブローディア家を優遇するのにはそうするだけの理由があった。
もし、ブローディア家が王になろうとしたら一瞬で手に入れることができるだろう。
自国の民だけでなく他国からの支持を得ることができる。
だが、歴代の当主達はそんな事を一度もしなかった。
王家の人間に頭を下げ忠誠を誓った。
今の王家がその場にいることができたのは誰がなんと言おうとブローディア家のお陰だ。
ロベリアも貴族達もそのことは勿論わかっているが、自分立ちも甘い蜜が吸いたくて仕方ないのだ。
だが、ロベリアも貴族達も勘違いをしていた。
確かにブローディア家は歴代国王達から信頼されていたが、甘い蜜を吸った者など誰一人いない。
ブローディア家の今の権力や地位、名誉は全て自らの手で歴代当主達が掴みとったものだ。
楽していい評価を得ようとする者と正当な働きをして正しい評価を得たもの、どちらを信頼するかなんて子供でもわかる簡単な問題だ。
だが、この国の偉い人達ほどそのことに気づかなかった。
「何か手を考えなければなりません。このままでは、いずれブローディア家に全て取られてしまいます」
そんなこと絶対あり得ないと貴族なら誰でもわかっていることを平気で言う。
「ええ。その通りよ。国王は騙されている。私達の手で目を覚まさせてあげましょう」
魔女のような不気味な笑みを浮かべる。
これから、国王とブローディア家の未来を想像するだけで今日受けた屈辱が一瞬で晴れていく。
「王妃陛下のお望み通りに。では、我々はあれの準備に取り掛かります」
頭を下げて貴族達はニヤッと笑う。
「ええ。そちらは貴方達にお任せします。こちらは私に任せなさい」
トントントン。
「誰?」
「シルエラです」
ロベリアの侍女が名乗る。
ロベリアに忠実な僕(しもべ)で言われたことはなんでもする女。
「入りなさい」
失礼します、と美しい礼をして入ってくる。
「何かあったの」
今は会議中だとわかっているのにそれでも報告しにきたということは何かあったということ。
「はい。神官達が先程一斉に原因不明の体調不良に陥りました」
「「「は?」」」
シルエラが放った言葉に部屋にいた全員が素っ頓狂な声を出す。
「えっ、は?、今、なんと言ったのだ」
ロベリアがもう一度言うように命じる。
「先程神殿にいた神官達が一斉に原因不明の体調不良に陥りました、と申し上げました」
「それは本当なのか」
「はい。確かでございます。先程神官に仕える使徒がアキレア様に報告し国王に謁見を求めていたので間違いないかと」
アキレア。
この王宮を取り締まる執事。
国王の命令に従うためロベリアの命令に時には従わないときもある。
それが王宮執事としては正しいことだとわかっているが、ロベリアとしてはあまりいい気分ではない。
「王妃様。これは利用できるのでは」
一人の貴族が浮かれ口を滑らすとそれに続くように他も続き計画を早めるべきだと言い始める。
ロベリアとしてはもう少し慎重にことを運ぶべきだと思うが、運がこちらにある今動くべきだとも思う。
運を味方につけるのもまた実力。
天が実行しろと言っているのかもしれない。
「そうね。計画を早めましょう。きっと、天が私達に味方しているのよ。やることはわかってるわね」
「はい。お任せください。手筈はこちらで整えます」
全員、ロベリアに跪く。
「ええ。とりあえず、セドリックとアルバーノ、貴方達二人はランドゥーニ国に行ってきなさい。戦争を起こすきっかけを作りなさい」
本気で戦争を起こす気などないが、起きたら起きたで目障りなランドゥーニ国を皆殺しにすればいいと考えている。
ランドゥーニ国は国王のせいで両国の蟠りが薄れ関係が良好になった。
ロベリアはランドゥーニ族を嫌っていた。
別に何かされた訳ではないが、異形の血が入っている汚れた存在として同じ人間ではないと下に見ていた。
ランドゥーニ国の王族はドラゴンの末裔。
その血にはドラゴンの血が紛れていると噂が大陸中に流れている。
そのせいで他国から嫌われ孤立している。
それなのに国王のせいでランドゥーニ国が他国と交流をするようになった。
それに後三ヶ月後に王宮に訪れる。
国王が招待したせいで、異形の血が入った汚れた存在が神聖な王宮に足を踏み入れることが何より許せなかった。
それは、ロベリアを支持する貴族達も同じ気持ちだった。
そのため、最高のおもてなしをしようと計画を立てたのだ。
そして、ついでにブローディア家の名を地に落としてやろうと。
部屋に入るなり貴族達がロベリアの機嫌をとるように挨拶する。
「座りなさい」
貴族達の態度に気分を良くしたロベリアが優しい声で言う。
貴族達が座ると急にロベリアの顔が曇る。
「王妃様。何かあったのですか」
とんだ茶番だ。
そう思いながらロベリアの茶番に付き合い、心配したように一人の貴族が声をかける。
「国王に流石に神官十人をアングレカムにだけに向かわせるのはよくないと、減らしてその分の神官を他の町に人員を割くようお願いしたのです。この国のことを考え神殿に神官を残すべきだと。ですが国王は私の進言などに聞く耳を持たず、あろうことか神官を増やそうとしました。流石にそれはいけないとなんとか必死に説得し増やす事態は免れましたが、減らすことはかないませんでした」
「王妃様のせいではありません。今回の件てはっきりしました。国王は間違いなくブローディア家だけ特別扱いをしています。もし、我らが助けを求めてもここまでのことはしてくれないでしょう」
国王のブローディア家に大する扱いは貴族達の中では有名な話だった。
ブローディア家ばかりいい思いをしている。
自分達もこの国の為に尽力をしている。
自分達にもいい思いをさせてくれてもいいのに、と。
国王は自分の力になるブローディア家のことしか興味がないのだ、と。
だが、これはロベリアと貴族達の言い分だ。
国王からすれば当然の配慮だと言いたい。
ブローディア家は国同士が戦争にならないよういつの時代も影から両国を守った。
自国だろうと他国だろうと危機が訪れれば自らの資金から支援金を送り安定するまで支援した。
他にも数え切れないほどの善行をしている。
歴代の国王がブローディア家を優遇するのにはそうするだけの理由があった。
もし、ブローディア家が王になろうとしたら一瞬で手に入れることができるだろう。
自国の民だけでなく他国からの支持を得ることができる。
だが、歴代の当主達はそんな事を一度もしなかった。
王家の人間に頭を下げ忠誠を誓った。
今の王家がその場にいることができたのは誰がなんと言おうとブローディア家のお陰だ。
ロベリアも貴族達もそのことは勿論わかっているが、自分立ちも甘い蜜が吸いたくて仕方ないのだ。
だが、ロベリアも貴族達も勘違いをしていた。
確かにブローディア家は歴代国王達から信頼されていたが、甘い蜜を吸った者など誰一人いない。
ブローディア家の今の権力や地位、名誉は全て自らの手で歴代当主達が掴みとったものだ。
楽していい評価を得ようとする者と正当な働きをして正しい評価を得たもの、どちらを信頼するかなんて子供でもわかる簡単な問題だ。
だが、この国の偉い人達ほどそのことに気づかなかった。
「何か手を考えなければなりません。このままでは、いずれブローディア家に全て取られてしまいます」
そんなこと絶対あり得ないと貴族なら誰でもわかっていることを平気で言う。
「ええ。その通りよ。国王は騙されている。私達の手で目を覚まさせてあげましょう」
魔女のような不気味な笑みを浮かべる。
これから、国王とブローディア家の未来を想像するだけで今日受けた屈辱が一瞬で晴れていく。
「王妃陛下のお望み通りに。では、我々はあれの準備に取り掛かります」
頭を下げて貴族達はニヤッと笑う。
「ええ。そちらは貴方達にお任せします。こちらは私に任せなさい」
トントントン。
「誰?」
「シルエラです」
ロベリアの侍女が名乗る。
ロベリアに忠実な僕(しもべ)で言われたことはなんでもする女。
「入りなさい」
失礼します、と美しい礼をして入ってくる。
「何かあったの」
今は会議中だとわかっているのにそれでも報告しにきたということは何かあったということ。
「はい。神官達が先程一斉に原因不明の体調不良に陥りました」
「「「は?」」」
シルエラが放った言葉に部屋にいた全員が素っ頓狂な声を出す。
「えっ、は?、今、なんと言ったのだ」
ロベリアがもう一度言うように命じる。
「先程神殿にいた神官達が一斉に原因不明の体調不良に陥りました、と申し上げました」
「それは本当なのか」
「はい。確かでございます。先程神官に仕える使徒がアキレア様に報告し国王に謁見を求めていたので間違いないかと」
アキレア。
この王宮を取り締まる執事。
国王の命令に従うためロベリアの命令に時には従わないときもある。
それが王宮執事としては正しいことだとわかっているが、ロベリアとしてはあまりいい気分ではない。
「王妃様。これは利用できるのでは」
一人の貴族が浮かれ口を滑らすとそれに続くように他も続き計画を早めるべきだと言い始める。
ロベリアとしてはもう少し慎重にことを運ぶべきだと思うが、運がこちらにある今動くべきだとも思う。
運を味方につけるのもまた実力。
天が実行しろと言っているのかもしれない。
「そうね。計画を早めましょう。きっと、天が私達に味方しているのよ。やることはわかってるわね」
「はい。お任せください。手筈はこちらで整えます」
全員、ロベリアに跪く。
「ええ。とりあえず、セドリックとアルバーノ、貴方達二人はランドゥーニ国に行ってきなさい。戦争を起こすきっかけを作りなさい」
本気で戦争を起こす気などないが、起きたら起きたで目障りなランドゥーニ国を皆殺しにすればいいと考えている。
ランドゥーニ国は国王のせいで両国の蟠りが薄れ関係が良好になった。
ロベリアはランドゥーニ族を嫌っていた。
別に何かされた訳ではないが、異形の血が入っている汚れた存在として同じ人間ではないと下に見ていた。
ランドゥーニ国の王族はドラゴンの末裔。
その血にはドラゴンの血が紛れていると噂が大陸中に流れている。
そのせいで他国から嫌われ孤立している。
それなのに国王のせいでランドゥーニ国が他国と交流をするようになった。
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それは、ロベリアを支持する貴族達も同じ気持ちだった。
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