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黄道十二神 4
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三十三日後。
「皆様、これよりアナテマを始めさせていただきます」
黒い手紙が一斉に送られたのを神と代行者が一緒に見る。
「では、三十分後に開始の合図として上空に黄金の蓮の花火を打ち上げます。その瞬間から最後の一人が決まるまではこの闘いは終わりません。では、健闘をお祈りします」
前回と同じように手紙が燃えて跡形もなく消える。
「王。もう間も無く始まります」
アスターが王の前に現れる。
「そうか、ごくろう」
二人の間に長い沈黙が続く。
「アスター」
「はい」
「世に何か聞きたいことでも」
「いえ、ありません」
例え本当に聞きたいことがあってもアスターは下級の神。そんな神が王に質問することなど許されない。
「フフッ。建前はいい。あるなら申してみよ」
「王は何故この闘いを続けるのでしょうか」
アスターは真実の部屋である六冊の本を読んだ。その本の内容は今から行われる十二神と代行者の闘いについて全く同じことだった。ルールも闘いの進み方も勝者も毎回同じ。勝者は決まった筈なのに、その勝者は今の十二神の座にいない。そのため、アスターには王が何故この闘いを繰り返すなかわからなかった。
アスターの問いに王は笑みを浮かべ「アスターよ、世のいう勝者とは何だと思うか」と逆に問う。
「誰が一番相応しいか証明した者のことです」
王は十二神に証明しろと言っていた。
「そうだ」
「なら、どうして誰も…まさか」
生きていないのですか、と続けようとしてあることに気づいた。
「そう、誰一人証明できなかったからその座に居ないのだ。世のいう勝者とお前達の考える勝者は一緒だが、その勝者は証明できなかったのだ。たがら他の十一神同様消失したのだ」
つまり、この闘いで勝利しても証明できなければ死ぬ運命だということ。そして、誰一人生き残る者がいなければアスター自身も死ぬ運命だと。
「恐いか、アスター」
まるで、アスターの考えなどお見通しなのか王がそう尋ねる。
「恐くないと言ったら嘘になりますが、それ以上にこのような大役を任せていただけて私は幸せです」
例え死ぬ運命だとしてもアスターにとって王は絶対。そんな絶対的存在が自分に大役を任せてくれたことが何より幸せで光栄だった。
「そうか、なら後は頼んだ」
「はい、お任せ下さい。王」
そう言ってアスターは一度部屋から出る。
「只今よりアナテマを開始致します。それでは始めます」
ドーン。
上空に黄金の蓮の花が浮かびすぐ消えた。
「じゃあ、始めようか」
「こんな世界を求めてた」
「正義の為に」
「誰から殺そうかな」
「はぁー、誰かはやく来ないかな」
「神殺しなんて夢みたいだな」
「誰でもいいかり早く会いたいな」
「どうやって殺すか、楽しみだな」
「神の力で悪い奴は皆懲らしめてやる」
「全員皆殺しに決定」
「男は皆私の虜」
「めんどくさ」
アスターはアナテマの開始を告げるともう一度王の部屋へと戻る。
「王。先程アナテマが開始されました」
「そうか」
アスターが報告し終えると二神は沈黙した。
「(やはり、今回のアナテマも勝つのはあの神なのだろう)」
六回も勝者が同じ神なら今回もそうなると思うアスター。いや、確信していると言ったほうが正しい。
「アスターよ、何故一番気になることを聞かなかった」
アスターは王の問いの意味をすぐに理解した。何故毎回勝者が一緒なのかと。
「気づいたからです。ある神の能力は…」
その後の言葉を聞いた瞬間、王はアスターを選んで良かったと思った。六人の勝者の神でもそれを知っていたのは最初の神だけだった。それでも、代行者との相性が悪くて使うことはできなかった。それなのに、その能力に気づいたアスターに王は微笑む。
「やはり、そなたを選んで正解だったな」
「皆様、これよりアナテマを始めさせていただきます」
黒い手紙が一斉に送られたのを神と代行者が一緒に見る。
「では、三十分後に開始の合図として上空に黄金の蓮の花火を打ち上げます。その瞬間から最後の一人が決まるまではこの闘いは終わりません。では、健闘をお祈りします」
前回と同じように手紙が燃えて跡形もなく消える。
「王。もう間も無く始まります」
アスターが王の前に現れる。
「そうか、ごくろう」
二人の間に長い沈黙が続く。
「アスター」
「はい」
「世に何か聞きたいことでも」
「いえ、ありません」
例え本当に聞きたいことがあってもアスターは下級の神。そんな神が王に質問することなど許されない。
「フフッ。建前はいい。あるなら申してみよ」
「王は何故この闘いを続けるのでしょうか」
アスターは真実の部屋である六冊の本を読んだ。その本の内容は今から行われる十二神と代行者の闘いについて全く同じことだった。ルールも闘いの進み方も勝者も毎回同じ。勝者は決まった筈なのに、その勝者は今の十二神の座にいない。そのため、アスターには王が何故この闘いを繰り返すなかわからなかった。
アスターの問いに王は笑みを浮かべ「アスターよ、世のいう勝者とは何だと思うか」と逆に問う。
「誰が一番相応しいか証明した者のことです」
王は十二神に証明しろと言っていた。
「そうだ」
「なら、どうして誰も…まさか」
生きていないのですか、と続けようとしてあることに気づいた。
「そう、誰一人証明できなかったからその座に居ないのだ。世のいう勝者とお前達の考える勝者は一緒だが、その勝者は証明できなかったのだ。たがら他の十一神同様消失したのだ」
つまり、この闘いで勝利しても証明できなければ死ぬ運命だということ。そして、誰一人生き残る者がいなければアスター自身も死ぬ運命だと。
「恐いか、アスター」
まるで、アスターの考えなどお見通しなのか王がそう尋ねる。
「恐くないと言ったら嘘になりますが、それ以上にこのような大役を任せていただけて私は幸せです」
例え死ぬ運命だとしてもアスターにとって王は絶対。そんな絶対的存在が自分に大役を任せてくれたことが何より幸せで光栄だった。
「そうか、なら後は頼んだ」
「はい、お任せ下さい。王」
そう言ってアスターは一度部屋から出る。
「只今よりアナテマを開始致します。それでは始めます」
ドーン。
上空に黄金の蓮の花が浮かびすぐ消えた。
「じゃあ、始めようか」
「こんな世界を求めてた」
「正義の為に」
「誰から殺そうかな」
「はぁー、誰かはやく来ないかな」
「神殺しなんて夢みたいだな」
「誰でもいいかり早く会いたいな」
「どうやって殺すか、楽しみだな」
「神の力で悪い奴は皆懲らしめてやる」
「全員皆殺しに決定」
「男は皆私の虜」
「めんどくさ」
アスターはアナテマの開始を告げるともう一度王の部屋へと戻る。
「王。先程アナテマが開始されました」
「そうか」
アスターが報告し終えると二神は沈黙した。
「(やはり、今回のアナテマも勝つのはあの神なのだろう)」
六回も勝者が同じ神なら今回もそうなると思うアスター。いや、確信していると言ったほうが正しい。
「アスターよ、何故一番気になることを聞かなかった」
アスターは王の問いの意味をすぐに理解した。何故毎回勝者が一緒なのかと。
「気づいたからです。ある神の能力は…」
その後の言葉を聞いた瞬間、王はアスターを選んで良かったと思った。六人の勝者の神でもそれを知っていたのは最初の神だけだった。それでも、代行者との相性が悪くて使うことはできなかった。それなのに、その能力に気づいたアスターに王は微笑む。
「やはり、そなたを選んで正解だったな」
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