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【04】スローヴァの森神さま
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ふ、と。
絶叫の間に挟まってきた穏やかな肯定に、アニは顔を上げた。
アニだけではない、部屋にいる全員が、声のした方向に目を向ける。窓際――出窓の方向に向けて。
そこには、長身の男が腰かけていた。
長い髪に緑の瞳、ぞっとするほど美しい男が、月を背負って、そこに居た。
「だ、誰だ貴様!?」
「あの時のお兄さん……?」
「ああ、名乗っていなかったな。スロヴィアという」
そう名前を告げた男は、アニに向けてにこり、と笑った。
「先日ぶりだね、アニ。美味なる菓子の娘。厄介なことになっていると石が教えてくれたのでな、文字通り飛んできた。救出が遅れたことを詫びよう」
「石!? あっ、あの緑柱石!?」
「説明は後だ。まずは不敬者から詫びをもらわねば」
言って、すとん、とスロヴィアは床に足を付けた。
領主が気色ばんで後ずさる。その前に数人の男たちが進み出た。手にぎらりと光る大振りのナイフ。殺気にアニが息を飲む。
「あ、危ない……」
だが、アニの呟きにスロヴィアは人差し指を唇に当てるだけだった。
その匂やかな唇の隙間から、不思議な音が漏れるのをアニは聞いた。色があるなら極彩色の、まろやかな煙のような韻律。
それが放たれたと共に、男たちは途端に、くにゃくにゃと床にへたり込んだ。
「何をしている、捕らえろ!寝ている場合か!」
領主が青ざめておろおろする。そこへ向かって、スロヴィアが長い裾を引きずって歩み寄る。
「さて、不敬者よ。神を騙った罪は重いぞ」
「き……貴様、人ではあるまい!? 化け物か!?」
「無礼な。罪に罪を重ねるでないよ。それ以上重なれば死ぬるぞ」
「死っ……!?」
「わたしはスローヴェの森を統べるもの。我が腕の内で羊を食い荒らす醜い獣には、相応の罰を与えねばならぬ」
「あなたは、一体……?」
呆然とした声が、アニの唇から滑り出た。
今彼は何と言ったか。スローヴェの森を統べると、聞き間違いでなければそう言った。
(そんなことが言えるのは、森神さま以外に存在しない)
それに今やってみせた不思議な力。明らかに人間が扱えるわざではない。
「“汝、偽りを述べることを禁ず”」
戸惑うアニの前で、事態は進行していた。
男の口から、今度は意味の聞き取れる旋律が放たれる。とたんに領主が、びくんと激しく全身を突っ張らせた。つま先から頭のてっぺんまでが真っ直ぐになり、それからびくびくと痙攣しだす。口の端から泡がこぼれ、床を汚してもなお止まない。
「“真実を人々へ、詳らかにせよ。疾く、疾く、疾く”」
「は――ひゃい!!!」
裏返った声で、領主は叫んだ。
そしてびんと身体を突っ張らせたまま、扉を乱暴に開いて階下へと駆けて行った。大声で叫びながら――
「わわわしは、スロヴェスタの民を騙そうと計画しておりました!! 斡旋と偽って人材を売買し私腹を肥やそうと画策し、自らを神と驕りましたァ!!!」
という、尋常ではない発言を喚き散らし、夜のスロヴェスタじゅうに自らの悪行を広めはじめたのだ。
「わしは罪を犯しました! 大罪人でありまァす!!!」
「な――何なの……?」
思わず呟いたアニだけではない。出窓の外からのざわつきが、同じように訝しんだ人々の様子を伝える。まだ起きていた多くの人が、なんだなんだと顔を出す。
「自白の呪いだ」
スロヴィアはふう、とため息をついた。
「あれで皆、真実を知るだろう。本人の口からの証言がいっとう分かりやすいゆえ」
そしてアニを見、痛ましそうに顔をしかめた。ふっと息を吹きかけられると、手足を縛っていた縄が音もなく解ける。
解放されたアニは、勢いのまま飛び起きて彼を見上げた。緑色の、スローヴェの森の緑にそっくりな瞳を。
「あ、あなた、森神さまだったんですか?」
まだ信じられない。でも信じるしかない。あんなことができるのは、神さま以外にありえない。
驚きと、喜び。
本当に神はちゃんといたのだという実感に身体が震える。
(神さまがあたしを助けてくれた、二回も)
一回目は、赤子の頃、森で生き延びさせてもらった。
二回目は今。領主の手に落ちる寸での所で、自分だけでなく町全体を助けてくれた。
(やっぱりいた。ずっといたんだ。誰ももう神さまの話なんてしないから、心配だったけど……)
「う、うぇ」
込み上げてくるのは、濁流のような怒涛の安堵感だった。
涙は盛大な嗚咽を引き連れていた。ぼろりと零れた雫と声に、スロヴィアが驚きの声を上げる。
「ゔぇっ、えええええ」
「ああ、泣くでないよ。怖かったろう、遅れてすまなかったね」
「ちがっ、ご、ごべんなさい、うれしくて、森神さまがいてくれて、ずっと、うえええええ」
泣きじゃくるアニの背中を、スロヴィアの手がゆっくりと擦った。あやす動きはまるで、顔も知らない母や父を想起させる温かさだった。
鼻をすすりあげる程度まで落ち着いた時、優しい声は少し、すまなそうな調子で実はな、と言った。
「おまえのいう森神と、わたしは少し違っている。わたしは代替わりしたばかりの新人、次世代の神なのだよ」
奇しくもあの領主と同じようにな、と、彼は続ける。
「先代は土と風に還った。後を継いだのは、森でいっとう長く生きたハシバミの樹木だ。つまりはこのわたしだな。
いくつかの遺言に沿って、此度、この現身を以て現れた。もう一度、森と人を結ぶ為に」
スロヴィアは床に膝をつき、アニの手をそっと取った。ひんやりと冷たいのに遠く温かい、日陰の土のような温度だった。
「よくお聞き、アニ。
神というのは、人が居なければ存在し得ぬ。信心こそが力の源。ゆえに先代は消え失せた。人が信仰を忘れたが故に。
誰にも望まれぬ神はただ朽ちるのみだ。だが責めはせぬよ。忘却は人に許された救い。真に不要であるというなら、わたしも身を引こう。だが」
と、言葉を切って、スロヴィアは遠くを見る目をした。
「スロヴェスタの人々は純粋だ。他者を疑わぬ赤子のようなもの。此度のように良からぬ輩に目をつけられることもあろう。わたしは君たちを守りたい。子が一人で立てるまでは見守りたい。そう願うのが親の情というものだ」
(なんてきれいな、瞳……)
歌のような説明を聞きながら、アニはぼんやりと、その瞳に見惚れていた。
きらりと光る、日を透かした葉の色をした瞳。
神を忘れてしまった人々を、それでも守りたいという神。その為に、後継として現れたハシバミの化身――
(私を助けてくれた、焼き菓子を褒めてくれた、あたらしい、優しい神さま……)
言葉にならなくて、見つめ続けるアニの視線にスロヴィアは気が付いた。目を細め、ごらん、と、大きな手で促す。並んで窓の向こうを見る。
町は大混乱だった。明かりに照らされた広場で、スロヴェスタの自警団が半狂乱の領主を押さえ込んでいる。遠巻きに見る人の輪は大きく、誰もがこの騒動を知ったことがうかがえた。
「領主は人の法でもって裁かれよう。ひとまずはこれでよし。
だが、わたしが目指すのはかつてのスロヴェスタ。森と人が共にある地だ。失われた信仰を取り戻したい。
アニ、協力してはくれないだろうか?」
絶叫の間に挟まってきた穏やかな肯定に、アニは顔を上げた。
アニだけではない、部屋にいる全員が、声のした方向に目を向ける。窓際――出窓の方向に向けて。
そこには、長身の男が腰かけていた。
長い髪に緑の瞳、ぞっとするほど美しい男が、月を背負って、そこに居た。
「だ、誰だ貴様!?」
「あの時のお兄さん……?」
「ああ、名乗っていなかったな。スロヴィアという」
そう名前を告げた男は、アニに向けてにこり、と笑った。
「先日ぶりだね、アニ。美味なる菓子の娘。厄介なことになっていると石が教えてくれたのでな、文字通り飛んできた。救出が遅れたことを詫びよう」
「石!? あっ、あの緑柱石!?」
「説明は後だ。まずは不敬者から詫びをもらわねば」
言って、すとん、とスロヴィアは床に足を付けた。
領主が気色ばんで後ずさる。その前に数人の男たちが進み出た。手にぎらりと光る大振りのナイフ。殺気にアニが息を飲む。
「あ、危ない……」
だが、アニの呟きにスロヴィアは人差し指を唇に当てるだけだった。
その匂やかな唇の隙間から、不思議な音が漏れるのをアニは聞いた。色があるなら極彩色の、まろやかな煙のような韻律。
それが放たれたと共に、男たちは途端に、くにゃくにゃと床にへたり込んだ。
「何をしている、捕らえろ!寝ている場合か!」
領主が青ざめておろおろする。そこへ向かって、スロヴィアが長い裾を引きずって歩み寄る。
「さて、不敬者よ。神を騙った罪は重いぞ」
「き……貴様、人ではあるまい!? 化け物か!?」
「無礼な。罪に罪を重ねるでないよ。それ以上重なれば死ぬるぞ」
「死っ……!?」
「わたしはスローヴェの森を統べるもの。我が腕の内で羊を食い荒らす醜い獣には、相応の罰を与えねばならぬ」
「あなたは、一体……?」
呆然とした声が、アニの唇から滑り出た。
今彼は何と言ったか。スローヴェの森を統べると、聞き間違いでなければそう言った。
(そんなことが言えるのは、森神さま以外に存在しない)
それに今やってみせた不思議な力。明らかに人間が扱えるわざではない。
「“汝、偽りを述べることを禁ず”」
戸惑うアニの前で、事態は進行していた。
男の口から、今度は意味の聞き取れる旋律が放たれる。とたんに領主が、びくんと激しく全身を突っ張らせた。つま先から頭のてっぺんまでが真っ直ぐになり、それからびくびくと痙攣しだす。口の端から泡がこぼれ、床を汚してもなお止まない。
「“真実を人々へ、詳らかにせよ。疾く、疾く、疾く”」
「は――ひゃい!!!」
裏返った声で、領主は叫んだ。
そしてびんと身体を突っ張らせたまま、扉を乱暴に開いて階下へと駆けて行った。大声で叫びながら――
「わわわしは、スロヴェスタの民を騙そうと計画しておりました!! 斡旋と偽って人材を売買し私腹を肥やそうと画策し、自らを神と驕りましたァ!!!」
という、尋常ではない発言を喚き散らし、夜のスロヴェスタじゅうに自らの悪行を広めはじめたのだ。
「わしは罪を犯しました! 大罪人でありまァす!!!」
「な――何なの……?」
思わず呟いたアニだけではない。出窓の外からのざわつきが、同じように訝しんだ人々の様子を伝える。まだ起きていた多くの人が、なんだなんだと顔を出す。
「自白の呪いだ」
スロヴィアはふう、とため息をついた。
「あれで皆、真実を知るだろう。本人の口からの証言がいっとう分かりやすいゆえ」
そしてアニを見、痛ましそうに顔をしかめた。ふっと息を吹きかけられると、手足を縛っていた縄が音もなく解ける。
解放されたアニは、勢いのまま飛び起きて彼を見上げた。緑色の、スローヴェの森の緑にそっくりな瞳を。
「あ、あなた、森神さまだったんですか?」
まだ信じられない。でも信じるしかない。あんなことができるのは、神さま以外にありえない。
驚きと、喜び。
本当に神はちゃんといたのだという実感に身体が震える。
(神さまがあたしを助けてくれた、二回も)
一回目は、赤子の頃、森で生き延びさせてもらった。
二回目は今。領主の手に落ちる寸での所で、自分だけでなく町全体を助けてくれた。
(やっぱりいた。ずっといたんだ。誰ももう神さまの話なんてしないから、心配だったけど……)
「う、うぇ」
込み上げてくるのは、濁流のような怒涛の安堵感だった。
涙は盛大な嗚咽を引き連れていた。ぼろりと零れた雫と声に、スロヴィアが驚きの声を上げる。
「ゔぇっ、えええええ」
「ああ、泣くでないよ。怖かったろう、遅れてすまなかったね」
「ちがっ、ご、ごべんなさい、うれしくて、森神さまがいてくれて、ずっと、うえええええ」
泣きじゃくるアニの背中を、スロヴィアの手がゆっくりと擦った。あやす動きはまるで、顔も知らない母や父を想起させる温かさだった。
鼻をすすりあげる程度まで落ち着いた時、優しい声は少し、すまなそうな調子で実はな、と言った。
「おまえのいう森神と、わたしは少し違っている。わたしは代替わりしたばかりの新人、次世代の神なのだよ」
奇しくもあの領主と同じようにな、と、彼は続ける。
「先代は土と風に還った。後を継いだのは、森でいっとう長く生きたハシバミの樹木だ。つまりはこのわたしだな。
いくつかの遺言に沿って、此度、この現身を以て現れた。もう一度、森と人を結ぶ為に」
スロヴィアは床に膝をつき、アニの手をそっと取った。ひんやりと冷たいのに遠く温かい、日陰の土のような温度だった。
「よくお聞き、アニ。
神というのは、人が居なければ存在し得ぬ。信心こそが力の源。ゆえに先代は消え失せた。人が信仰を忘れたが故に。
誰にも望まれぬ神はただ朽ちるのみだ。だが責めはせぬよ。忘却は人に許された救い。真に不要であるというなら、わたしも身を引こう。だが」
と、言葉を切って、スロヴィアは遠くを見る目をした。
「スロヴェスタの人々は純粋だ。他者を疑わぬ赤子のようなもの。此度のように良からぬ輩に目をつけられることもあろう。わたしは君たちを守りたい。子が一人で立てるまでは見守りたい。そう願うのが親の情というものだ」
(なんてきれいな、瞳……)
歌のような説明を聞きながら、アニはぼんやりと、その瞳に見惚れていた。
きらりと光る、日を透かした葉の色をした瞳。
神を忘れてしまった人々を、それでも守りたいという神。その為に、後継として現れたハシバミの化身――
(私を助けてくれた、焼き菓子を褒めてくれた、あたらしい、優しい神さま……)
言葉にならなくて、見つめ続けるアニの視線にスロヴィアは気が付いた。目を細め、ごらん、と、大きな手で促す。並んで窓の向こうを見る。
町は大混乱だった。明かりに照らされた広場で、スロヴェスタの自警団が半狂乱の領主を押さえ込んでいる。遠巻きに見る人の輪は大きく、誰もがこの騒動を知ったことがうかがえた。
「領主は人の法でもって裁かれよう。ひとまずはこれでよし。
だが、わたしが目指すのはかつてのスロヴェスタ。森と人が共にある地だ。失われた信仰を取り戻したい。
アニ、協力してはくれないだろうか?」
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