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【01】勝手にお菓子を食べた貴人
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「クルミにハシバミ、それと無花果。よし、完成!」
テーブルにずらりと並べた焼き菓子を検品しおえ、アニは元気よく手を叩いた。
「なんとか明後日のお祭りに間に合った…… ぎりぎりになっちゃったけど」
そんな独り言に答えるのは、人間でなく鳥の鳴き声のみ。
ピチチ、と高い鳴き声に顔を上げると、おこぼれを狙う小鳥たちが屋根のふちからアニを見ている。アニは微笑み、エプロンのポケットに忍ばせた木の実のかけらを地に投げた。鳥たちがこぞって食べに来る。
「今日のお客さんは君たちだけだよ。ゆっくり食べな」
微笑ましい様子を眺めつつ、アニは菓子を詰め込んだ木箱を玄関に並べていった。
田舎町スロヴェスタ。
その更に奥まった場所、ほぼ森の中ですという立地のこの丸太小屋には、アニ以外に誰も住んでいない。
ここで採れる実や果実を使い、作り上げた焼き菓子を卸して生活してもう五年近くになる。本日の来客予定は菓子を納品先に運んでくれる荷馬車のおじさんのみ。昨日も一昨日ともさほど変わらない、穏やかな予定だった。
「いくついけるかな。五箱くらいは……」
三角巾でまとめた肩までの髪を揺らし、アニは次々と箱を家の軒先に並べていく。身体は小さいが力持ちだ、いつもの仕事なので苦労はない。ないが――
異変があったのは、三箱目を運び出した時だった。
「うん、美味い」
もぐもぐと、菓子を食べている人がそこにいた。
予定にまったくない来客。いや、客と呼べるのかすらわからない。
だって、その人は――箱から焼き菓子を、勝手に出して食べていたのだから。
●
見知らぬ男性に、納品用の菓子を食べられている。
両手に持って、ハシバミと無花果をそれぞれ一つずつ。
「――はっ」
あんまり堂々と食べているものだから、一瞬、何が起きたのか分からなかった。箱を持ったままアニは首を振る。呆けている場合ではない。
(え、何この人!? 勝手に食べてる? 包装までしてあるんだけど! どう見ても売り物だけども!? お祭り用の納品分、数ギリギリ!)
とかなんとか、頭の中で驚愕と混乱とそれでいて妙に冷静な部分がやかましく騒ぎ立てるのに、言葉が出てこない。十六年の人生で、こんな事態に遭遇したのは初めてだ。こういう時は一体どうすればいいのか。
(怒るべき? 叫ぶべき?)
ぐるぐる考えているうちに、男がアニに気が付いた。
ばっちりと目が合い、そして、にこり。
「これは君が作ったものかな?」
大層いい感じに、笑われた。
「実に美味だ。特に木の実の味わいが香ばしくて良い」
「え、そ、そうですか? えへへ嬉しい……じゃ、なくて!」
うっかり状況を受け入れてしまいそうになった。頭を振って、アニは慌てて軒先まで駆け寄る。男を止めて注意する為だ。
だが、うっ、と小さく唸ってすぐに後ずさる。
近寄ってみると、男はとても背が高かった。
(でっか! こわっ! 圧が、圧がなんかすごい!?)
首を垂直にしなければ目が合わないほど頭の位置が遠い。そして、全く見慣れない整った服装。白金の髪が肩から背中へさらりと流れ、柳眉の下には長いまつげに覆われた緑瞳。不思議なつくりの長衣をまとい、汚れるのも気にしない風で、裾を引きずっている。
(それになんて派手なの。すっごい高そうな服……)
生粋の田舎、スロヴェスタで生まれ育ったアニにとって、男の姿は何もかもが違和感でしかない。
気圧されそうになりながらも、アニはおずおず、静止の願いを込めて言った。
「それ、うちの売り物なんです。出荷の準備中で……」
「ああ、それはすまないことをしたね」
言いながら、もぐ、もぐ、ごくん。
残りの焼き菓子が男の口の中に消えた。ふうと満足な溜息が、薄い唇から漏れる音が聞こえる。全部食べられてしまった。食べかけを残されても困るのだけれど、こちらの願いは全く届いていなかったらしい。
「あまりに美味いものだから、つい全部食べてしまった」
そして、にっこり。
まったく邪気なく悪びれず、更に深い笑顔を彼は浮かべたのだった。
アニは困惑して俯いた。訳が分からない。怖い。何者と、問いたい気持ちが込み上げる。同時に褒められて悪い気がしないのが、菓子職人の悲しさだった。
おいしかった。その言葉は時に代金よりも大きな価値となる。アニの焼き菓子はスロヴェスタの町ではそこそこ人気だが、卸している都合上、作っている本人に讃辞が届くことはほとんどない。褒められ慣れていない分、これは効いた。
(でも、そっか。美味しかったのか。ならいいかな、ひとつふたつくらい。もう一回焼けばいいし……)
なんて思ってしまう。
そんなこんなで――結局出た言葉は、
「美味しく食べてくれんなら嬉しいです。次は買って下さいね。森神さまに感謝を」
という、ほだされまくった挨拶と、いつものくくりの言葉だった。
馴染みのない言葉だったのか、うん? と男が首を傾げる。アニはあっと気が付いて、ぱたぱたと手を振った。
「あ、今のは決まり文句っていうか。実りを授けて下さるスローヴェの森の神様に感謝をしたんです。ここは町が集落だったころから神様が守ってくれていると言われてる、ありがたい土地なんですよ」
「なるほど。うん、良いな。とても良い」
(……? わかってるのかな、この人)
終始笑顔の男に、アニは内心首を傾げた。
浮世離れした佇まい、どこか超然とした様子。勝手に菓子を食べて悪びれない感じ。ふと思った。もしかして彼は都の偉い人なのではないだろうか。
そうだとすれば納得がいく。貴族やそれに並ぶ人々は、お金を出してものを直接購入することなんてしないのだろう。
(使用人が用意したものを食べるんだろうから、ああいうことをするのも当たり前なのかも……)
とはいえこれ以上食べられたら困る。アニはさりげなく箱の上に蓋を被せ、てきぱきと紐でくくった。その様子を、彼は興味深そうに見つめていた。
「ええと…… お兄さんは、お祭り見物か何かで来られたんですか?」
「祭」
「スロヴェスタの花嫁祭です。あれ、違うんですか?」
テーブルにずらりと並べた焼き菓子を検品しおえ、アニは元気よく手を叩いた。
「なんとか明後日のお祭りに間に合った…… ぎりぎりになっちゃったけど」
そんな独り言に答えるのは、人間でなく鳥の鳴き声のみ。
ピチチ、と高い鳴き声に顔を上げると、おこぼれを狙う小鳥たちが屋根のふちからアニを見ている。アニは微笑み、エプロンのポケットに忍ばせた木の実のかけらを地に投げた。鳥たちがこぞって食べに来る。
「今日のお客さんは君たちだけだよ。ゆっくり食べな」
微笑ましい様子を眺めつつ、アニは菓子を詰め込んだ木箱を玄関に並べていった。
田舎町スロヴェスタ。
その更に奥まった場所、ほぼ森の中ですという立地のこの丸太小屋には、アニ以外に誰も住んでいない。
ここで採れる実や果実を使い、作り上げた焼き菓子を卸して生活してもう五年近くになる。本日の来客予定は菓子を納品先に運んでくれる荷馬車のおじさんのみ。昨日も一昨日ともさほど変わらない、穏やかな予定だった。
「いくついけるかな。五箱くらいは……」
三角巾でまとめた肩までの髪を揺らし、アニは次々と箱を家の軒先に並べていく。身体は小さいが力持ちだ、いつもの仕事なので苦労はない。ないが――
異変があったのは、三箱目を運び出した時だった。
「うん、美味い」
もぐもぐと、菓子を食べている人がそこにいた。
予定にまったくない来客。いや、客と呼べるのかすらわからない。
だって、その人は――箱から焼き菓子を、勝手に出して食べていたのだから。
●
見知らぬ男性に、納品用の菓子を食べられている。
両手に持って、ハシバミと無花果をそれぞれ一つずつ。
「――はっ」
あんまり堂々と食べているものだから、一瞬、何が起きたのか分からなかった。箱を持ったままアニは首を振る。呆けている場合ではない。
(え、何この人!? 勝手に食べてる? 包装までしてあるんだけど! どう見ても売り物だけども!? お祭り用の納品分、数ギリギリ!)
とかなんとか、頭の中で驚愕と混乱とそれでいて妙に冷静な部分がやかましく騒ぎ立てるのに、言葉が出てこない。十六年の人生で、こんな事態に遭遇したのは初めてだ。こういう時は一体どうすればいいのか。
(怒るべき? 叫ぶべき?)
ぐるぐる考えているうちに、男がアニに気が付いた。
ばっちりと目が合い、そして、にこり。
「これは君が作ったものかな?」
大層いい感じに、笑われた。
「実に美味だ。特に木の実の味わいが香ばしくて良い」
「え、そ、そうですか? えへへ嬉しい……じゃ、なくて!」
うっかり状況を受け入れてしまいそうになった。頭を振って、アニは慌てて軒先まで駆け寄る。男を止めて注意する為だ。
だが、うっ、と小さく唸ってすぐに後ずさる。
近寄ってみると、男はとても背が高かった。
(でっか! こわっ! 圧が、圧がなんかすごい!?)
首を垂直にしなければ目が合わないほど頭の位置が遠い。そして、全く見慣れない整った服装。白金の髪が肩から背中へさらりと流れ、柳眉の下には長いまつげに覆われた緑瞳。不思議なつくりの長衣をまとい、汚れるのも気にしない風で、裾を引きずっている。
(それになんて派手なの。すっごい高そうな服……)
生粋の田舎、スロヴェスタで生まれ育ったアニにとって、男の姿は何もかもが違和感でしかない。
気圧されそうになりながらも、アニはおずおず、静止の願いを込めて言った。
「それ、うちの売り物なんです。出荷の準備中で……」
「ああ、それはすまないことをしたね」
言いながら、もぐ、もぐ、ごくん。
残りの焼き菓子が男の口の中に消えた。ふうと満足な溜息が、薄い唇から漏れる音が聞こえる。全部食べられてしまった。食べかけを残されても困るのだけれど、こちらの願いは全く届いていなかったらしい。
「あまりに美味いものだから、つい全部食べてしまった」
そして、にっこり。
まったく邪気なく悪びれず、更に深い笑顔を彼は浮かべたのだった。
アニは困惑して俯いた。訳が分からない。怖い。何者と、問いたい気持ちが込み上げる。同時に褒められて悪い気がしないのが、菓子職人の悲しさだった。
おいしかった。その言葉は時に代金よりも大きな価値となる。アニの焼き菓子はスロヴェスタの町ではそこそこ人気だが、卸している都合上、作っている本人に讃辞が届くことはほとんどない。褒められ慣れていない分、これは効いた。
(でも、そっか。美味しかったのか。ならいいかな、ひとつふたつくらい。もう一回焼けばいいし……)
なんて思ってしまう。
そんなこんなで――結局出た言葉は、
「美味しく食べてくれんなら嬉しいです。次は買って下さいね。森神さまに感謝を」
という、ほだされまくった挨拶と、いつものくくりの言葉だった。
馴染みのない言葉だったのか、うん? と男が首を傾げる。アニはあっと気が付いて、ぱたぱたと手を振った。
「あ、今のは決まり文句っていうか。実りを授けて下さるスローヴェの森の神様に感謝をしたんです。ここは町が集落だったころから神様が守ってくれていると言われてる、ありがたい土地なんですよ」
「なるほど。うん、良いな。とても良い」
(……? わかってるのかな、この人)
終始笑顔の男に、アニは内心首を傾げた。
浮世離れした佇まい、どこか超然とした様子。勝手に菓子を食べて悪びれない感じ。ふと思った。もしかして彼は都の偉い人なのではないだろうか。
そうだとすれば納得がいく。貴族やそれに並ぶ人々は、お金を出してものを直接購入することなんてしないのだろう。
(使用人が用意したものを食べるんだろうから、ああいうことをするのも当たり前なのかも……)
とはいえこれ以上食べられたら困る。アニはさりげなく箱の上に蓋を被せ、てきぱきと紐でくくった。その様子を、彼は興味深そうに見つめていた。
「ええと…… お兄さんは、お祭り見物か何かで来られたんですか?」
「祭」
「スロヴェスタの花嫁祭です。あれ、違うんですか?」
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