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エピソード6 いにしえの魔法都市と試練
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険しい山脈を越え、荒涼とした大地を何日も旅した後、ようやくいにしえの魔法都市の遺跡に辿り着いた。かつては栄華を誇っていたであろうその都市は、今では風化し崩れかけた建物が散らばる、寂寥感漂う廃墟と化していた。
白い砂埃を蹴立てながら、遺跡の中心部へと向かう。道中には、魔法の力で動いていたと思われる、朽ち果てた機械や、用途不明の巨大な彫像などが散乱しており、かつての魔法文明の栄華を偲ばせた。
シアンによると、白き光の護符は、この都市のどこかにあった「時の塔」と呼ばれる塔に封印されているという。だが、その塔は地震か何かの災害で、半分ほど崩落しており、入るのも危険だとシアンは心配していた。
しかし、他に手がかりはない。意を決して、崩落した塔へと向かう。塔の入り口は瓦礫で塞がれており、魔法を使ってようやく通り抜けられる穴を開けることができた。
中は暗く、埃っぽい空気が漂っていた。懐中電灯の明かりを頼りに、崩落を避けながら、螺旋階段を上っていく。何層か登ったところで、道が完全に塞がっている場所に出くわした。
絶望しかけた時、白い猫が、壁の一角をしきりに引っ掻いていた。シアンがその場所を調べると、どうやら隠し扉があるらしい。魔法を使って扉を開けると、そこには別の通路が続いていた。
その通路の先には、ようやく「時の塔」の頂上に辿り着いた。頂上には、魔法陣が施された台座があり、その上に古びた宝石箱が置かれていた。これが、白き光の護符が封印されている箱に違いない。
しかし、箱を開けるには、魔法陣の力を解くための呪文が必要だった。壁には、呪文が記されているはずだったが、長い年月で風化してしまい、判別できないほど薄っすらとしか残っていなかった。
歴史オタクの私にとって、これはまたとないチャンスだった。魔法陣の形式や周囲の装飾などから、呪文に使われていると思われる単語を推測し、シアンと共に復元を試みた。
何時間もかけて、ようやく呪文を復元することができた。シアンが呪文を唱えると、魔法陣が光を放ち、宝石箱の鍵が解錠された。
箱を開けると、中には眩い光を放つ、白き光の護符が収められていた。護符を手に取ると、温かい力が伝わってきた。
「…やっと見つけた!」
シアンは、安堵の表情を浮かべた。だが、その瞬間、遺跡の地下から、不穏なオーラが感じられた。
「…何だ?」
シアンが警戒するように呟くと、地面が大きく揺れ始めた。そして、遺跡の地下から、禍々しい魔法の力が溢れ出てきた。
瓦礫の中から、ローブを纏った闇魔法使いが現れた。どうやら、この遺跡には、闇の勢力が潜んでいたようだ。彼らが、白き光の護符を狙っていたのかもしれない。
「…伝説の魔法使いの護符か。それを手に入れれば、闇の力が再びこの世を覆い尽くすだろう!」
闇魔法使いは、狂気的な笑みを浮かべながら、私たちに襲い掛かってきた。シアンは、咄嗟に魔法を使って応戦した。
だが、闇魔法使いの力は強大だった。シアンは善戦していたものの、徐々に追い込まれていく。私は、魔法が使えないため、傍観するしかなかった。
その時、白い猫が、闇魔法使いに向かって飛びかかった。鋭い爪で闇魔法使いのローブを引き裂いたのだ。しかし、闇魔法使いは、猫を一蹴り飛ばした。
猫は、苦しそうな鳴き声をあげながら、私の元に転がり込んできた。私は、傷ついた猫を抱きしめ、涙が溢れてきた。
怒りと悲しみがこみ上げてきた。私は歴史オタクかもしれない。魔法も使えない。だけど、大切な人を守りたい。
ふと、白き光の護符が温もりを増していることに気がついた。そして、護符から、かすかな声が聞こえたような気がした。
それは、優しく語りかけてくるような、女性の声だった。
「…力を貸して…」
その声に応えるように、私は白き光の護符を持ち上げた。すると、不思議な力が体にみなぎってきた。
その力は、魔法ではない。歴史書で学んだ過去の英雄たちの勇気や、人々の想いの強さ
白い砂埃を蹴立てながら、遺跡の中心部へと向かう。道中には、魔法の力で動いていたと思われる、朽ち果てた機械や、用途不明の巨大な彫像などが散乱しており、かつての魔法文明の栄華を偲ばせた。
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しかし、他に手がかりはない。意を決して、崩落した塔へと向かう。塔の入り口は瓦礫で塞がれており、魔法を使ってようやく通り抜けられる穴を開けることができた。
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何時間もかけて、ようやく呪文を復元することができた。シアンが呪文を唱えると、魔法陣が光を放ち、宝石箱の鍵が解錠された。
箱を開けると、中には眩い光を放つ、白き光の護符が収められていた。護符を手に取ると、温かい力が伝わってきた。
「…やっと見つけた!」
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「…何だ?」
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闇魔法使いは、狂気的な笑みを浮かべながら、私たちに襲い掛かってきた。シアンは、咄嗟に魔法を使って応戦した。
だが、闇魔法使いの力は強大だった。シアンは善戦していたものの、徐々に追い込まれていく。私は、魔法が使えないため、傍観するしかなかった。
その時、白い猫が、闇魔法使いに向かって飛びかかった。鋭い爪で闇魔法使いのローブを引き裂いたのだ。しかし、闇魔法使いは、猫を一蹴り飛ばした。
猫は、苦しそうな鳴き声をあげながら、私の元に転がり込んできた。私は、傷ついた猫を抱きしめ、涙が溢れてきた。
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ふと、白き光の護符が温もりを増していることに気がついた。そして、護符から、かすかな声が聞こえたような気がした。
それは、優しく語りかけてくるような、女性の声だった。
「…力を貸して…」
その声に応えるように、私は白き光の護符を持ち上げた。すると、不思議な力が体にみなぎってきた。
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