ケンカップル

わこ

文字の大きさ
上 下
5 / 13

早く仲直りして××したい

しおりを挟む
 道哉の野郎は黙ってさえいれば可愛いと思う。昔から可愛い顔をしていた。最近はどちらかと言うと、綺麗と言った方がしっくりくるようになってきたかもしれないが。
 整っているのは認めざるを得ない。どんなに口が悪かろうが、いくら男だと分かっていようが、近くにいるとどうにもこうにもムラっとさせられる瞬間がある。

 あとはあれだ。たとえ黙っていなくとも、まあ当然と言えば当然だろうけど、





「ン……っぁ……ぁ、あッ……」

 ヤッてる時。これはもう最強にヤバい。
 男心をくすぐりにくすぐるこいつのとんでもない淫れよう。とりあえずめちゃくちゃにしてやりたくなる。ブチ犯したくなる一級品だ。

「道哉……」

 シーツの上で繋いだ手をきつくギュッと握り返され、快感を追い求めながら耳元でもう一度呼びかけた。
 俺が呼ぶと、こいつの中は締まる。最高だ。すげえ気張ってないと一瞬でイく。

「んんッ……けい、ぁッ……ン……おく……」

 もっと。
 なんて言われてみろ。死ぬから。即死だ。きっとこいつは俺を殺す気に違いない。

 俺の下でこんな姿を晒して、こんな無防備な顔を見せつけて。普段のようにクソ生意気に突っかかって来る事もない。
 首筋にやんわりと噛みついてやっても、遠慮なく奥を突き上げても、そこらの女なんかよりもずっとイイ声でなくだけだ。

 喧嘩ばかりしていた俺達が、数年経った今じゃこんな事をしている。
 一線越えておいて本当に良かった。

「あッ……けいた、っ……」
「っ……」

 やっべーかわいい。
 こいつの顔見てるだけでイケる。毎回毎回どうしてこう。普段との差が激しすぎるだろ。

 思うままに貫いて、こいつが一番好きな場所をしつこく擦り上げてやる。その度に漏れる道哉の嬌声。
 たまんねえよ。あーもうカワイイ。ヤリ殺したいって気分をこいつで初めて味わった。

 キスすれば当たり前のように口を開けて俺を誘い込む。突き上げれば必死にしがみ付いて、誘うように足を絡めてくる。
 どれもこれもおそらくは無意識。その行動の一つ一つが、グサグサと俺の理性を切り裂いてくる。
 剥き出しになるのは欲望だけだ。生意気なこいつを、俺が抱いてる。

「んんっ……けいた、ぁ……も、っと……もっと……ッ」

 もう死んでもいい。




***




 そこでハッと途切れた。イク寸前だったこの体と、突如現実に引き戻された頭がグラグラして合致しない。
 さっきまで道哉を抱いていたはずのベッドに乱れた形跡は微塵もない。暗い視界の中で呆然と寝室の中を見回した。

 全身にかいた汗と、下半身が示す熱量。
 どうやら俺は欲求不満だ。

「…………」

 夢にまで見るとか。
 俺も若いな。いや、実際に若いんだけど。

 道哉と喧嘩してから何日が経ったか。六日だ。よく分かっている。なぜならば数えているから。あいつは一度機嫌を損ねると意地でも俺にヤらせようとしない。
 交代でやっている食事の用意とか洗濯とか、そういった二人分の家事はキッチリと申し分なくこなす。
 しかし喧嘩の開始と共に言葉すら発しなくなるのは、変なところで妙にガキっぽい昔からのあいつの習性だ。

 そんな野郎のせいでこっちは溜まって溜まって仕方がない。もういっそのこと隣に夜這いでもかけてやろうか。
 まあ、駄目だな。余計こじれる。

「…………」

 つーか、どうすんだよコレ。壁一枚隔てた向こうに食らい尽くしたい奴がいるってのに自分で処理しろとでも言うのか。

 クソ道哉め。夢にまで出てきやがってあのアホ。
 解禁されたら白いものが水になるまで犯してやる。

 しかしそうは言っても打開策は何かしら必要な訳で。そして極めて単純なあいつは、単純な方法で機嫌を直す。
 だったら選択肢の一つはこう。

「ケーキでも……」

 買ってくるか。新しい店ができたとかなんとか、女が見るようなサイトを見ながらこの前ブツブツ言っていたような気がする。

 確か駅前の店だった。この下半身は明日買って帰ってこいと訴えてくる。
 もちろんだ。

「……ブチ犯す」

 正直な下半身は一向に萎えてくれる気配がない。頭はどこかぼんやりとしたまま、隣の壁に向けてボソッと呟いた。
 犯そう。ケーキで機嫌を取ってから。
 夢の続きをしないとならない。
しおりを挟む
感想 3

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

壁乳

リリーブルー
BL
俺は後輩に「壁乳」に行こうと誘われた。 (作者の挿絵付きです。)

恋愛対象

すずかけあおい
BL
俺は周助が好き。でも周助が好きなのは俺じゃない。 攻めに片想いする受けの話です。ハッピーエンドです。 〔攻め〕周助(しゅうすけ) 〔受け〕理津(りつ)

執着攻めと平凡受けの短編集

松本いさ
BL
執着攻めが平凡受けに執着し溺愛する、似たり寄ったりな話ばかり。 疲れたときに、さくっと読める安心安全のハッピーエンド設計です。 基本的に一話完結で、しばらくは毎週金曜の夜または土曜の朝に更新を予定しています(全20作)

4人の兄に溺愛されてます

まつも☆きらら
BL
中学1年生の梨夢は5人兄弟の末っ子。4人の兄にとにかく溺愛されている。兄たちが大好きな梨夢だが、心配性な兄たちは時に過保護になりすぎて。

【BL】男なのになぜかNo.1ホストに懐かれて困ってます

猫足
BL
「俺としとく? えれちゅー」 「いや、するわけないだろ!」 相川優也(25) 主人公。平凡なサラリーマンだったはずが、女友達に連れていかれた【デビルジャム】というホストクラブでスバルと出会ったのが運の尽き。 碧スバル(21) 指名ナンバーワンの美形ホスト。自称博愛主義者。優也に懐いてつきまとう。その真意は今のところ……不明。 「絶対に僕の方が美形なのに、僕以下の女に金払ってどーすんだよ!」 「スバル、お前なにいってんの……?」 冗談?本気?二人の結末は? 美形病みホス×平凡サラリーマンの、友情か愛情かよくわからない日常。 ※現在、続編連載再開に向けて、超大幅加筆修正中です。読んでくださっていた皆様にはご迷惑をおかけします。追加シーンがたくさんあるので、少しでも楽しんでいただければ幸いです。

十七歳の心模様

須藤慎弥
BL
好きだからこそ、恋人の邪魔はしたくない… ほんわか読者モデル×影の薄い平凡くん 柊一とは不釣り合いだと自覚しながらも、 葵は初めての恋に溺れていた。 付き合って一年が経ったある日、柊一が告白されている現場を目撃してしまう。 告白を断られてしまった女の子は泣き崩れ、 その瞬間…葵の胸に卑屈な思いが広がった。 ※fujossy様にて行われた「梅雨のBLコンテスト」出品作です。

王道学園の冷徹生徒会長、裏の顔がバレて総受けルート突入しちゃいました!え?逃げ場無しですか?

名無しのナナ氏
BL
王道学園に入学して1ヶ月でトップに君臨した冷徹生徒会長、有栖川 誠(ありすがわ まこと)。常に冷静で無表情、そして無言の誠を生徒達からは尊敬の眼差しで見られていた。 そんな彼のもう1つの姿は… どの企業にも属さないにも関わらず、VTuber界で人気を博した個人VTuber〈〈 アイリス 〉〉!? 本性は寂しがり屋の泣き虫。色々あって周りから誤解されまくってしまった結果アイリスとして素を出していた。そんなある日、生徒会の仕事を1人で黙々とやっている内に疲れてしまい__________ ※ ・非王道気味 ・固定カプ予定は無い ・悲しい過去🐜のたまにシリアス ・話の流れが遅い

処理中です...