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悪いのは絶対そっち!
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体が熱い。全身汗だくだ。呼吸もしばらくは落ち着きそうにない。
それは俺を組み敷くこの男も同じことで、眉間を寄せて妙に艶っぽい事後の表情を浮かべる恵太。その顔からふいっと、それとなく目を逸らした。
「てめえ……ふざけやがって……中出すなっつってんだろ」
声が掠れて上手く出てこない。恵太はしつこく俺を見下ろしている。
上下する俺の胸にヒタッと大きな手のひらで触れ、もう片方の腕はこの頭を囲い込むようにしてシーツにそっと沈ませてきた。
「嫌なら煽んな。耐えられるかよ」
「煽ってねえし、ッつーかゴムつけろっての最初から」
「うるせえ。お前が悪い」
言って、口を塞がれる。舌をねじ込まれてやむなく黙った。
この横暴クソ野郎。堪え性つけるかゴムつけるかどっちかにしろ。
と言っても、確かにあるのだが。堪え性の方は。
むしろこれ以上堪えられて今以上の長期戦に持ち込まれたら、死ぬのは間違いなく俺なんだけど。
「……ん」
「寝るなよ、風呂行くぞ。掻き出してやる」
最低。
「……死ね。ヘンタイ。死ね。今死ね、強姦魔」
「合意の上だろ」
「ホント死んでくれ」
そうでなければいっそひと思いに俺を殺ってくれ。恥ずかしくて憤死しそう。
至近距離から眺め落としてくるデリカシーの欠如した男から顔を背けた。それでも見てくるから自分の顔面を腕で覆った。強引に肩を抱いて起こそうとしてくるから、その手から素っ気なく逃れる。
今すぐ行く気かよ。立てねえんだよ、こっちは。
「おい、起きろ。風呂」
「…………」
「……おい。道哉」
耳元で喋んじゃねえバカ。
しつこく俺を抱き起こそうとする恵太の手をパシッと払いのけ、屈辱にまみれながらもギッとその顔を睨み付けた。
「なんだよ」
「うっせえな今ちょっと動けねえんだよっ、何年俺とヤッてんだ分かんだろそれくらい……ッ」
恥ずかしい事を勢いに任せて怒りのまま叫び上げた。
しばしの沈黙は非常に痛い。だけど我慢する。グサグサ突き刺さってくる恵太の視線にも耐える。
見てんじゃねえよこの野郎。笑いたきゃ笑えよ。どうせ今の俺は腰も立たねえよ。
屈辱で唇を噛みしめる俺。しかし恵太は何を思ったか、そこでガバッと圧し掛かってきた。
抱きしめられて困惑すると同時に、下半身に感じた不穏な熱。一気に緊張感が芽生えてきた。ぎゅうぎゅうと俺を抱きしめる恵太が、ボソッと呟いた一言はもっと不穏。
「煽るな」
なんの話だ。
「煽ってない。全力で言うぞ、煽ってねえからな。つーかお前はなんで勃たせてんだ」
「黙れ。テメエが悪い。責任取れ」
「取るべき責任がねえよ。どう考えても俺は何も悪くない。自制できないお前が悪い」
「煽った」
「しつこい。煽ってない」
「煽った。テメエは存在自体が俺を煽ってる」
「怖ぇよお前……」
病気かコイツ。病気だな確実に。
俺が頬を引きつらせているその間にも、恵太の手は俺の太腿を遠慮なく掴んでくる。制止の声をかける暇もなくパカッとカエルみたいに開かされた。もう恥ずかしいとか言ってる場合じゃない。
「……っとに最低だな。お前に抜かせるためにある穴じゃねえんだよ」
さっそく押し付けてくるこいつに最後の意地で悪態だけはつく。言葉の端に緊張感が滲み出ているのが情けない。
気づかいなんて欠片も見せずに恵太は腰を沈めてくる。グッと無理にねじ込まれるから、思わず体も強張った。
「……おい」
「ぅ、るせ……ヘンタイ」
何度ヤラれようが、いくら解れていようが、そのための場所じゃないんだから仕方がない。
意思とは別の体の作用でキツく締め付けてしまうソコ。眉間を寄せる恵太の顔に腹が立ち、せめてもの抵抗を示すためにその胸板を突っぱねた。
「ッ……はやく……済ませろ」
憎らしさを込めて吐きだした。すると恵太が、そこで止まった。こいつを突っぱねる俺の手を取り、シーツの上にそっと戻された。
「…………」
さも当然のように、互い違いに指を絡ませてくる。
「こうして欲しいならこうして欲しいって素直に言えよ」
「ほしくね、ぇ……」
ぼそっと口から出て行った言葉は、唇を重ねられたことによってしっとりと奪われた。指先には力が籠る。それでやんわり、握り返される。やっぱこいつ、死ぬほど嫌いだ。
貪るように舐め合って、長ったらしく続けた後に恵太がゆっくり顔を上げた。俺を見下ろすその顔は、心なしかうんざりしている。
「……これを煽ってるって言わねえでなんて言うんだ」
知るか。くたばれ。さっさと死ね。
それは俺を組み敷くこの男も同じことで、眉間を寄せて妙に艶っぽい事後の表情を浮かべる恵太。その顔からふいっと、それとなく目を逸らした。
「てめえ……ふざけやがって……中出すなっつってんだろ」
声が掠れて上手く出てこない。恵太はしつこく俺を見下ろしている。
上下する俺の胸にヒタッと大きな手のひらで触れ、もう片方の腕はこの頭を囲い込むようにしてシーツにそっと沈ませてきた。
「嫌なら煽んな。耐えられるかよ」
「煽ってねえし、ッつーかゴムつけろっての最初から」
「うるせえ。お前が悪い」
言って、口を塞がれる。舌をねじ込まれてやむなく黙った。
この横暴クソ野郎。堪え性つけるかゴムつけるかどっちかにしろ。
と言っても、確かにあるのだが。堪え性の方は。
むしろこれ以上堪えられて今以上の長期戦に持ち込まれたら、死ぬのは間違いなく俺なんだけど。
「……ん」
「寝るなよ、風呂行くぞ。掻き出してやる」
最低。
「……死ね。ヘンタイ。死ね。今死ね、強姦魔」
「合意の上だろ」
「ホント死んでくれ」
そうでなければいっそひと思いに俺を殺ってくれ。恥ずかしくて憤死しそう。
至近距離から眺め落としてくるデリカシーの欠如した男から顔を背けた。それでも見てくるから自分の顔面を腕で覆った。強引に肩を抱いて起こそうとしてくるから、その手から素っ気なく逃れる。
今すぐ行く気かよ。立てねえんだよ、こっちは。
「おい、起きろ。風呂」
「…………」
「……おい。道哉」
耳元で喋んじゃねえバカ。
しつこく俺を抱き起こそうとする恵太の手をパシッと払いのけ、屈辱にまみれながらもギッとその顔を睨み付けた。
「なんだよ」
「うっせえな今ちょっと動けねえんだよっ、何年俺とヤッてんだ分かんだろそれくらい……ッ」
恥ずかしい事を勢いに任せて怒りのまま叫び上げた。
しばしの沈黙は非常に痛い。だけど我慢する。グサグサ突き刺さってくる恵太の視線にも耐える。
見てんじゃねえよこの野郎。笑いたきゃ笑えよ。どうせ今の俺は腰も立たねえよ。
屈辱で唇を噛みしめる俺。しかし恵太は何を思ったか、そこでガバッと圧し掛かってきた。
抱きしめられて困惑すると同時に、下半身に感じた不穏な熱。一気に緊張感が芽生えてきた。ぎゅうぎゅうと俺を抱きしめる恵太が、ボソッと呟いた一言はもっと不穏。
「煽るな」
なんの話だ。
「煽ってない。全力で言うぞ、煽ってねえからな。つーかお前はなんで勃たせてんだ」
「黙れ。テメエが悪い。責任取れ」
「取るべき責任がねえよ。どう考えても俺は何も悪くない。自制できないお前が悪い」
「煽った」
「しつこい。煽ってない」
「煽った。テメエは存在自体が俺を煽ってる」
「怖ぇよお前……」
病気かコイツ。病気だな確実に。
俺が頬を引きつらせているその間にも、恵太の手は俺の太腿を遠慮なく掴んでくる。制止の声をかける暇もなくパカッとカエルみたいに開かされた。もう恥ずかしいとか言ってる場合じゃない。
「……っとに最低だな。お前に抜かせるためにある穴じゃねえんだよ」
さっそく押し付けてくるこいつに最後の意地で悪態だけはつく。言葉の端に緊張感が滲み出ているのが情けない。
気づかいなんて欠片も見せずに恵太は腰を沈めてくる。グッと無理にねじ込まれるから、思わず体も強張った。
「……おい」
「ぅ、るせ……ヘンタイ」
何度ヤラれようが、いくら解れていようが、そのための場所じゃないんだから仕方がない。
意思とは別の体の作用でキツく締め付けてしまうソコ。眉間を寄せる恵太の顔に腹が立ち、せめてもの抵抗を示すためにその胸板を突っぱねた。
「ッ……はやく……済ませろ」
憎らしさを込めて吐きだした。すると恵太が、そこで止まった。こいつを突っぱねる俺の手を取り、シーツの上にそっと戻された。
「…………」
さも当然のように、互い違いに指を絡ませてくる。
「こうして欲しいならこうして欲しいって素直に言えよ」
「ほしくね、ぇ……」
ぼそっと口から出て行った言葉は、唇を重ねられたことによってしっとりと奪われた。指先には力が籠る。それでやんわり、握り返される。やっぱこいつ、死ぬほど嫌いだ。
貪るように舐め合って、長ったらしく続けた後に恵太がゆっくり顔を上げた。俺を見下ろすその顔は、心なしかうんざりしている。
「……これを煽ってるって言わねえでなんて言うんだ」
知るか。くたばれ。さっさと死ね。
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